自治体の独自支援次々と コロナ禍から地域の事業者を守る 「民商すごい」と喜びの声|全国商工新聞

全国商工新聞

 二度目の緊急事態宣言が発令・延長され、時短や外出自粛の要請で多くの中小業者が影響を受けています。業者を支援しようと、各地の自治体は民主商工会(民商)、県商工団体連合会(県連)の要請なども受け、独自支援を次々と講じています。

【岩手県一関市】不況7業種に40万円 県制度40万円と併給可

経営動向調査の結果なども示して中小業者支援を求めた一関民商の市交渉=1月26日

 岩手県一関市は2月22日、市が認める不況業種(飲食店、興行、運転代行、観光など7業種)に対して一律40万円を給付する「感染防止取組事業者緊急特別支援給付金」の受け付けを発表しました。市が昨年実施した「感染防止支援給付金一律20万円」の追加支援で、一関民商が「第4回・経営動向調査」などを踏まえ「重点9項目」の提案等で求めてきたものです。
 申請開始が伝えられると、民商会員から喜びの声が上がりました。1月26日の市交渉に参加し、飲食店への直接給付の重要性を訴えたAさんは「本当ですか? うれしいなぁ!厳しい状況に変わりないですが、やりくりは本当に楽になります。民商って、すごいですね」と笑顔。Mさんは「さまざまな給付金もすぐ無くなってしまうので本当に助かる。民商の頑張りに励まされます」と大喜びでした。
 2月25日の三役会では、みんなで「やったね!」と喜び合いました。岩渕正巳副会長=建築=は「売り上げ不振で苦しむ仲間の姿を目の当たりにし、どうにかしたいと頑張ってきた。喜びもひとしお」と力強く語りました。小野寺喜久雄会長は「アンケートを通じ、会員と対話したことが要求実現の源泉になった。これを確信に、コロナ禍で苦しむ業者支援をいっそう強め、コロナ禍後を見据えて『地域循環型経済』構築をめざしたい」と語ります。
 同支援給付金は、収入減少要件などはありません。市内で事業を営んでいること、店舗の写真など簡単な書類の提出だけで申請可能。前回の支援金を受けた業者には申請書が送付されます。
 県が同25日に発表した、新型コロナウイルスの影響を大きく受けている県内の中小業者への新たな支援策「地域企業経営支援金支給事業費補助」(1店舗当たり40万円、左上の別項)とも併給できます。

【岩手県】30%減収などに40万円 複数店舗は上限200万円

 岩手県は2月25日、新型コロナウイルスの影響を大きく受けている県内の中小業者への新たな支援策として「地域企業経営支援金支給事業費補助」を発表しました。
 対象者は、県内に店舗を持ち、小売業、飲食業、サービス業を営む中小企業や個人事業主。売り上げが前年同月比で50%以上減少しているか、連続する3カ月の売り上げの合計が前年同期と比べて30%以上減少していることが要件です。
 1店舗当たり40万円を支給します。複数店舗を経営する事業者には、法人200万円、個人事業主100万円を上限とします。
 緊急事態宣言が発令されていない岩手県でも、コロナ禍で多くの事業者が収入減に陥っていることを受け、事業継続を支援するものです。
 岩手県連の坂下豊事務局長は「繰り返し求めてきたもので、うれしい。事業継続の大きな力にしたい」と話します。

【熊本県内】独自「宣言」に協力金 飲食関連や減収25%にも

 熊本県連は1月13日に発出された県独自の「緊急事態宣言」に対し、時短要請を受ける飲食店などへの協力金、取引先などへの支援拡充を要望してきました。これを受け、県内の各自治体では、事業継続が困難になる事業者への独自支援の創設等が次々と発表されています。

熊本市

 熊本市は、同県の「緊急事態宣言に基づく営業時間短縮要請に応じた飲食店と直接取引のある事業者や、タクシー及び運転代行事業者の事業継続を後押しするため」、独自に10万円(個人)、20万円(法人)を支援します。「1月または2月のいずれかの事業収入(売上)が、対前年同月比で50%以上減少していること」が要件です。

八代市

 八代市は「売上が大きく減少した宿泊業、飲食店等に関連する(取引のある)事業者に対し」30万円を支援。昨年12月から2月までの「いずれかの月の売上高が前年同月に比して、30%以上減少している」事業者が対象です。

宇土市

 宇土市は、コロナウイルスの影響で売り上げが減少している小規模事業者に対し独自支援を行います。2020年度の売り上げが前年比で25%減少した事業者に30万円、40%以上は60万円を給付。県の事業継続・再開支援一時金受給事業者には別途30万円が加算されます。

大津町

 大津町は、飲食店等の時短要請により影響が大きい取引先事業者やタクシー事業者、運転代行事業者に支援給付金10万円を給付。減収要件はありません。

【長崎市】20~30万円一時金 市内9千業者が対象

 長崎市は2月22日、新型コロナウイルス対策として、中小事業者に支給する20万~30万円の一時金創設を明らかにしました。3月上旬以降、申請受け付けを開始し、約2~3週間の審査をへて支給する予定です。
 同一時金を含む補正予算案は「緊急を要する」として市議会定例会の初日に審議。同環境経済委員会では、委員から「正確で素早い支給が重要」「制度の周知徹底を」との声が上がりました。
 市は、飲食店の時間短縮営業や不要不急の外出自粛要請の影響で1月か2月の売上高が、前年同月から20%以上落ちた事業者には20万円、50%以上落ちた事業者には、県負担の10万円に市が20万円を上乗せして計30万円を支給します。
 業種は不問で、同市の納税義務者が対象。1日4万円の時短要請協力金の受給者は除かれます。
 売り上げが減少した事業者と取引し、協力金の支給条件が合わない農業者や漁業者、創業1年未満の事業者も対象とします。
 市によると、市内の半数以上に当たる約9千事業者が支給対象になる見込みです。
 コロナ支援金創設は、長崎県連と長崎民商が要望を重ねてきたものです。
 市内で飲食店と酒店を営む会員は「飲食店は売り上げが激減し、大幅な赤字。酒店も、料飲店の時短や休業に伴って売上減で厳しい状況だ。新たな支援金で乗り切っていきたい」と喜びます。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから