ペット管理基準改正「厳しすぎる」と悲鳴 業者ら環境省に要請|全国商工新聞

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全商連 中小の経営に配慮を

環境省動物愛護管理室(左側)に要請する全商連の代表ら

 全国商工団体連合会(全商連)は国会内で9月17日、犬猫などペットに関わる事業者の飼育管理基準を定める省令改正の動きに関連して、環境省自然環境局動物愛護管理室に要請書を手渡し、懇談しました。とりわけ、管理基準の一方的で一律な強制によって、善良な中・小規模ブリーダー(繁殖業者)やペットショップなどの経営権が侵害されないよう強く要望。要請・懇談には事業者4人も参加して、実情を訴えました。

 「母娘2人で45頭の犬を育てており、引き取り先がほとんどない“引退犬”もいる。提案されている基準では、15頭を手放さなくてはならない」(犬のブリーダー・ペットショップ)
 「“悪徳業者”を排除するための仕組みづくりなのに、善良なブリーダーを苦しめる基準策定だ」(ペット流通業)
 「40年近くブリーダーをやっている。今回提案の基準が実施されると全国で15万~16万頭の行き場がなくなる」(犬のブリーダー)
 「家族4人で猫200頭を育てているが、新型コロナで売り上げが大幅に激減した。今回の基準策定は、経営悪化にさらに追い打ちをかける。事業者の廃業が相次げば、ペットの市場価格が上がり、密輸入が横行して伝染病が持ち込まれるかもしれない」(猫のブリーダー)

飼育管理基準で中・小規模のブリーダーの経営が危ぶまれます(記事とは関係ありません)

 これに対し環境省側は、「補償などは考えていない」としつつ、基準案の詳細について「検討中で、まだ具体的には説明できない」と回答しました。
 一方で、「善良な事業者を苦しめるつもりはない」「ペット収容の実態に即した内容にしたい」などとも説明。年末から来年にかけ、パブリックコメントを受け付けた上で検討委員会で省令改正を決め、来年6月に施行する考えを改めて示しました。
 要請・懇談に参加した全商連の中山眞常任理事は「科学的な見地に基づく動物愛護の立場に立ちつつも、事業者の経営を脅かさないため、パブリックコメントなどを通じた意見表明など、運動を広げていきましょう」と語りました。

動物愛護管理法省令改正

 昨年6月の法改正に伴い、犬猫へのマイクロチップ装着が義務付けられ、第2段階として、来年6月に飼育管理基準の施行が計画されています。示されている管理基準案では、ブリーダーなどが飼育できるペットを従事者1人当たり繁殖犬15頭・販売犬20頭、繁殖猫25頭・販売猫30頭に制限するなどの内容が含まれます。全商連が8~9月に実施した事業者アンケートによると、飼育管理基準案により、約6割の事業者が従業員の増員で人件費が大幅に高騰すると見られます。
 全商連は、①優良事業者の「飼養頭数の上限値緩和」など経営維持策②基準施行に伴う費用の補助③営業損失の補償④十分な準備期間の設定と相談体制の確立-を求めています。

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