大企業偏重の「GoTo」 全ての業者に恩恵が及ぶ制度に|全国商工新聞

全国商工新聞

 1兆6794億円もの予算が計上された「Go Toキャンペーン」(トラベル、イート、イベント、商店街の4事業)に批判が高まっています。
 7月22日から宿泊・交通費など旅行代金の35%分を支援するGo Toトラベルが始まりましたが、東京発着の旅行を対象外にするなど混乱を招き、「あまりに拙速」「いったん中止すべき」との声が広がっています。
 Go Toイートは、都道府県ごとに登録した飲食店で使える「プレミアム付き食事券」(1セット1万2千円を1万円で、1回2万円分まで購入可能)と、「オンライン飲食予約」(登録された予約サイト経由で来店した場合、次回以降に使用できるポイントを昼食時500円分、夕食時間帯1千円分付与)の二つがあります。8月25日に33府県で35の運用委託事業者が決まりましたが、全国を網羅するには至っていません。
 「Go Toイベント」はコンサートや演劇、美術館などのチケットを登録されたチケット販売業者から購入した場合、代金の2割分を軽減する計画です。「Go To商店街」はにぎわい回復を図る商店街を募ってイベント等を実施する際の事務局業務を担う企業等を国が選定し、最大800万円支給する構想です。いずれも実施時期は未定です。4月30日の予算成立からすでに4カ月が経過しており、政府の姿勢が問われています。
 業務委託の在り方も大問題です。Go Toトラベルの委託先にはJTBなど業界大手をはじめ、自民党の二階俊博幹事長が会長を務める全国旅行業協会などが名を連ねています。JTBはGo Toイートの食事券発行事業でも33府県のうち20県に食い込んでいます。オンライン飲食予約の委託事業者は「ぐるなび」や「食べログ」の運営会社など13社が占めています。
 業務委託費の上限は3095億円に上ります。政府はキャンペーンの目標を「需要喚起と地域活性化」としていますが、実態は「新型コロナ危機という惨事に便乗した大企業支援」とみなされても仕方ありません。
 早急に各事業の問題点を洗い出し、全ての中小業者に恩恵が及ぶ制度へと改善すべきです。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから