新型コロナ 約7割が売り上げ減 全商連が影響調査|全国商工新聞

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「宣言」解除後も回復せず 「飲食」「宿泊」悪化目立つ

 全国商工団体連合会(全商連)はこのほど、「第2回新型コロナウイルス影響調査」を実施(6月25日~7月末)の結果を公表しました。47都道府県1002人から回答があり、政府の緊急事態宣言解除(5月25日)後も、前年同期比で売り上げが「減っている」との回答が約7割(68・9%)に上るなど、地域経済の悪化に歯止めがかかっていないことが明らかになりました(図1)。

過半数「支援足りない」

都内のある居酒屋。来店時の検温、手指消毒も欠かさず、席の間にプレートも。グループ客の来店は皆無で、1~2人客が中心です

 前年同期比で売り上げが減少した事業者のうち、持続化給付金の対象は37・2%、家賃支援給付金の対象は55・8%です。
 このうち、52%がすでに持続化給付金を受け取っていますが、48%が何らかの事由でいまだに受け取っていません。
 また、全回答者の過半数(51・2%)が国・自治体の支援策について「足りない」と答えています。
 他方、両制度の対象外となっている事業者は約4割(38・3%)に上ります。約4割の業者には国の支援が届いていません。
 業種別に見て、売り上げが5割超減少しているのは、多い順に、飲食45・6%、製造30・6%、宿泊30・0%の順で全体で25・6%です。
 国・自治体の支援について「足りない」と回答した割合は、多い順に宿泊70・0%、飲食69・6%、運輸53・3%、小売52・9%、製造52・4%の順で、全体で51・2%となっています。

再度の給付金が必要 「自粛続けば持たぬ」

 5月末の緊急事態宣言解除後、6月に入り景気の持ち直し感が現れたのも束の間、7月から8月にかけて感染者の人数が連日のように最多を更新。経済が再び急速に冷え込む事態になり、全業界に被害が拡大しています。特に「飲食」や「ホテル・旅館」などの宿泊関係の落ち込みが深刻です。
 青森市内でレストランを営む山下毅さんは、「緊急事態が解除され回復の兆しが見えたが、7月中旬から、感染拡大が報じられるようになって、またガタっと駄目になった。前年比で70%くらいか。お盆の帰省客も減っているし、3密を避けるために席数も42席から32席に減らしていることも影響していると思う」と話します。
 「年間の売り上げは1700万円くらいあるので、100万円の持続化給付金では3カ月間の減収分にも足りない。この傾向が続き、自粛が続くようなら持ちこたえられない。もう一度、給付金がほしい」と追加支援の必要性を強調します。

団体の利用激減 居酒屋

経産省と全商連のヒアリングで旅行業界の窮状を訴える参加者

 福岡県八女市内で居酒屋を営むMさんは、「7月時点では前年比50%を切っている。6月中旬に少し回復の兆しが見えたが、また落ち込みだした」と言います(図2)。
 個室6室とカウンターを含め60席。個室があるので家族利用はあるものの6人以上の団体客の利用が激減。25人は入れる大部屋はまったく使えていません。家族経営で社会保険に入っていないため雇用調整助成金は受けられません。
 「固定費や借入金返済もあり100万円は消えた。蓄えを取り崩し維持している」と状況を話します。

予約と週末のみ スナック・バー

 飲食関係の中でも、とりわけ厳しい状況にあるのがスナック・バーです。
 鹿児島県内の接待を伴う飲食店でクラスターが発生したため、県の要請により7月8日から21日の間、鹿屋市内の繁華街のスナック・バーは休業しました。きもつき民主商工会(民商)の小牟田勉事務局長は、「Iさんは、前年同月比10%にもならない。Nさんも10%に届かず。街に人が来ないため週末3日間だけの営業です。予約があるときと週末のみの営業で『仕入れ、電気代にもならないほどの売り上げ。8月も同じような状況』と話している」と会員の苦境を話します。
 新潟県長岡市内の「スナックT」は、カウンター席とボックス合わせて32席。今、来店は毎日1人、2人の状態が続いており、ママさん一人で切り盛りしています。
 「昨年7月は67万円の売り上げがあったが、今年は25万4800円。前年対比38%、とても半分までいかない。13万円の家賃は大家さんが半分にしてくれているものの、持ち出しが続いており、いつまで持つか分からない」と先行きの不安を隠しません。

GoToは拙速

 岩手県宮古市内の、ある和風旅館は、「今年の2月以降の売上実績は対前年比5割を切り(図3)解除後もお客さんは戻ってきていません」と話します。持続化給付金を受けましたが、月々の損失補填で使い果たしました。
 「GoToは拙速との批判を免れないが、大手も待っていられない状態なんだろうと思う。うちも案内が届き、登録の手続きをしたが、感染拡大対策も講じないといけない。資金もないので、お金が掛けられない。使える補助金などがあるといいのだが、しばらくこういう状態が続くようなら再度の給付金が必要だ」と追加支援の必要性を訴えます。

■新型コロナ事業者影響調査 回答結果

対象:小規模な自営商工業者1002人
実施:6月25日~7月31日

回答資料のダウンロードはこちら>>>
①全商連 第2回コロナ影響調査 回答まとめ(概要)
②全商連 第2回コロナ影響調査 回答まとめ(設問別結果一覧)
③全商連 第2回コロナ影響調査 回答まとめ(国・自治体への要望抜粋)

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