全国商工新聞

応能負担で42兆円増 消費税は廃止できる

 コロナ禍が中小業者の営業を直撃する中で、消費税5%への減税を求める声が大きく広がっています。全商連(全国商工団体連合会)も参加する「不公平な税制をただす会」は所得税や法人税を総合累進課税にするだけで、42兆円を超える財源が生まれるとの新たな試算を発表しました。立正大学・浦野広明客員教授(税理士)が解説します。

▽コロナ対策費の財源

 コロナ対策のための第1次、2次の補正予算総額は57兆6028億円、財源は国債である。国債の返済財源については憲法上の応能負担原則(応能原則)を貫くことが最重要である。
 応能原則は経済力に応じた税負担である。原則一律税率の消費税は、庶民重課、高所得者軽課となり応能原則に反する。不公平な税制をただす会は昨年から各政党に増収試算を示し消費税の減税を訴えてきた。
 消費税率引き下げを求める国会議員数は、自民112、立民・国民・社民・社保72、れいわ2、共産25と211人に達し、全国会議員の29・8%になっている(中山眞「コロナ危機打開・消費税減税を」月刊民商20年6月号)。
 所得(利益)課税は、課税対象を総合的に捉え、超過累進税率を採用することにより、各所得階層に応分の負担を求めることができ、福祉を充実させる所得再分配を可能にする。だから応能原則の中心は所得課税(所得税・法人税)となる。

▽所得課税の総合累進化による税収額

 応能負担原則の具体化の中心に位置する所得課税の総合累進化により以下の増収が確保できる。
〈申告所得税〉
 74年当時に適用されていた税率を適用すると16兆4702億円の税収となる。18年度予算の申告所得税の概算収入額は3兆2950億円であるから、13兆1752億円の増収となる(国税庁18年分「申告所得税標本調査」〈20年3月31日〉に基づき計算)。
〈源泉所得税〉
 消費税導入前の源泉分離課税(35%)を18年度の源泉分離課税実績に当てはめると4兆9999億円の増収となる(国税庁統計年報「直接税・源泉所得税」〈19年12月27日〉に基づき計算)。
〈個人留保所得5億円超への課税〉(相続税)
 5億円超~100億円超の相続財産について88年の相続税の最高税率75%(実負担率61・25%)を適用すると、1兆1079億円の増収となる(国税庁統計情報〈17年中の相続開始で18年10月31日までに申告されたもの〉に基づき計算)。
〈法人税〉(法人所得課税)
 大企業優遇税制をなくし、法人税に所得税並みの超過累進税率を適用すると、法人税の税収は35兆2023億円となる(18年度)。この年の実際の法人税収は12兆386億円であるから、約23兆386億円の増収となる(不公平な税制をただす会共同代表・菅隆徳税理士の計算)。
 法人税と所得税(個人留保所得5億円超に超過課税をする相続税を含めた)を総合累進課税にしただけでも42兆3216億円の財源が生まれる(表)。20年度予算の消費税税収21兆7190億円を廃止しても、20兆6026億円もの余剰が生ずる。

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