新型コロナ特別貸付 借りて活路開こう|全国商工新聞

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 「消費税増税とコロナ感染拡大のダブルショック。コロナ特別貸付で廃業を食い止め、もう一度頑張ろう」-東京・玉川民主商工会(民商)では、民商が配布したチラシ「新型コロナ被害 緊急融資が始まっています!」に問い合わせが相次いでいます。全国の民商は資金繰りに悩む中小業者に、緊急融資を活用し経営を守ろうと呼び掛けています。

玉川民商の新型コロナ特別貸付を知らせるチラシ

「断然使い勝手いい」 相談、申し込み次々 東京・玉川民商

資金繰りで悲鳴

会外業者を含め、「コロナ特別貸付」対策学習交流会を開催(4月1日)

 昨年10月に消費税が10%に増税されて以降、「イベントの中止が相次ぎ、仕事がなくなった。使えそうな『つなぎ融資』はないものか」(料理コーディネーター)、「昼はサラリーマンなどのお客さんがめっきり減り、夜もファミリー層が来なくなった」(中華料理)、「キャンセルが76件も出た」(割烹料理)などの悲鳴が上がっています。
 また、「税金を滞納し催告書が送られてきた」「滞納整理機構から滞納処分執行通知がきた」などの相談も相次いでいます。
 こうした切実な要求を受け、民商は3月6日には世田谷区長、都税事務所、年金事務所、税務署宛てに「支払い猶予」「(滞納)延滞税の免除」「相談窓口の設置」を要請しました。

43人が申し込み

 高まる融資要求に対しては、日本政策金融公庫「新型コロナウイルス感染症特別貸付」(コロナ特別貸付)を43人の会員が申し込み(4月6日時点)、会外向けにも4千枚のチラシを作製し、活用を呼び掛けてきました。
 「区独自のコロナ対策緊急融資もあるが、政策公庫のコロナ特別貸付は断然使い勝手もいい」と活用を勧めています。
 簡単な借入申込書に必要事項を記入して申し込むだけで、ほぼ1週間以内に「面談」の通知が送られてきます。持参する資料は預金通帳と決算書(個人の場合は確定申告書)、「感染症による影響の確認資料」(売り上げの減少率を示すもの)と、一般の融資申し込みに比べ簡素化されています。
 「売上金額の確認資料」は「メモでもかまわない」と注記されています。民商では独自に「コロナ感染病資金繰り表」を作成。事業の継続に必要とされる資金繰り計画を作り、申し込もうと話し合っています。

滞納者にも門戸

 「これまでは運転資金だと、売り上げの3カ月分だとか、現金商売は1カ月分しか認められないといった基準があったが、今回はそんな厳格な縛りはない」との声も寄せられています。
 税金や公共料金の滞納があるなど、申し込むこと自体が「非常識」と、門前払いされてきた業者にも門戸が開かれてきています。
 「将来性などと言われても、先も見えないほど厳しいんだから、謝絶されて当たり前。しかし諦めず、営業存続への決意や意欲を示し、もう一度頑張っていこう」と資金繰りに苦しむ業者を励ましています。

経営講座が力に

 「長年、取り組んできた連続経営講座が役に立っていると思う。地域での役割や経営への思いなど、自信を持って語れる業者が増えてきた」と会長の関英俊さん=建築=は話します。
 コロナ特別貸付を申し込み、200万円の運転資金を得た飲食店経営のKさんが話します。
 「コロナに伴う自粛要請で急激な来客数の減少となり、予約も全てキャンセルに。先が見えないので余裕のある資金が必要だった。面接後1週間で決定が届いたので驚きました」
 申請では「物流に滞りが出ており、資材の確保や、固定費と従業員の賃金確保のため」と記入。さらに、「ロスの少ない新メニューを考えるとともに、衛生面の対策を強化し、顧客と従業員の安心・安全を共有していきたい」など、運転資金の必要性をしたためた文書を添えて申し込みました。
 「借りられるものは借りて、営業を守っていかないと。皆さんも、どんどん申し込んで」と呼び掛けます。

私も借りました これで息がつける

 兵庫県西宮市の阪神西宮駅前の商店街で、洋風居酒屋を営む増田さんはコロナ特別貸付を申し込み、3月30日に融資が決定しました。申し込みから、わずか10日。書類だけで審査が通りました。
 増田さんは、夫婦で32年間、商売を続けてきました。阪神・淡路大震災やリーマン・ショックに直面しましたが、二人で力を合わせて困難を乗り越えてきました。
 お客さんのほとんどはサラリーマンで、2月中旬ごろまでは、店はいつもどおりの客足でした。

書類郵送で実現

 ところが、20日過ぎからキャンセルの電話が入り始め、あっという間に3月、4月の予約が全てキャンセルに。「歓送迎会が入る書き入れ時に、お客さんがこんなに来ないのは初めてや」と危機感を募らせました。
 売り上げは例年の6割減まで落ち込み、家賃や公共料金、仕入れ代金などの支払いに不安を感じた増田さんの妻は、民商に相談。コロナ特別貸付があると知らされ、事務局員のアドバイスを受けながら書類を完成させ、18日に速達で日本政策金融公庫に郵送しました。
 「とりあえず、運転資金として希望どおりに融資が決定してホッとした。でも、コロナがいつ終息するか、先が見えない。融資だけでなく、家賃などの固定費の負担を軽くする対策を取ってほしい」。ともに店を切り盛りする妻は訴えます。

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