全国商工新聞

 全国商工団体連合会は3日、以下の提言を発表し、内閣府に届けました。

自粛要請に伴う損失補償と中小業者支援の抜本的強化を

2020年4月3日全国商工団体連合会

 安倍首相は3月28日の記者会見で、「さまざまな活動の自粛などに伴って日本経済全体にわたって極めて甚大な影響が生じている」と述べ、政府の自粛要請が急激な経済悪化を招いたことに触れました。
 同時に、「これまでにない規模で前例のない中小・小規模事業者支援を実施する」とし、リーマンショック時の経済対策を上回る、かつてない規模の対策を取りまとめ、「あらゆる政策を総動員して、かつてない強大な政策パッケージを練り上げ、実行に移す」と表明しました。
 問題は、どういう姿勢で臨むかです。「新型コロナウイルス感染をこれ以上拡大させない」決意と、「自粛要請や緊急事態宣言によって発生する労働者や中小業者・フリーランスの損失は政府の責任で補償する」という基本姿勢を貫くことです。
 政府がまとめようとしている新型コロナウイルス対策の2020年度補正予算に、以下の中小業者支援策を盛り込むよう緊急に提言します。

1、さまざまな自粛要請に対する損失補償や給付金の支給を行うこと

 国・自治体による自粛要請や一斉休校、緊急事態宣言は、国民・中小業者の収入減少や失業に直結しています。また、要請に対応するための必要経費、業態転換への新たな負担などを伴います。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議などが行くことを避けるように名指しした、ライブハウス、カラオケボックス、クラブ、立食パーティーなどの事業者も同様の影響を受けています。
 自粛要請を実効あるものにするためにも、発生しうる損失や負担をあらかじめ想定し、「要請が解除されるまで損失補償を行う」あるいは、「年収の9割を給付する」など自粛要請に伴う損失補償や給付金の支給を実施するべきです。

2、固定的経費の負担を軽減する緊急対策を実施すること

 中小業者は収入が途絶えても、給料、家賃、リース料、税金・社会保険料、公共料金、著作権使用料など、さまざまな負担が求められており「出血多量による瀕死」の状態です。年金事務所による社会保険料の過酷な徴収も続いています。
 危機的状況の広がりを抑える「固定費補助」や、固定的経費の負担を減額・免除する緊急対策を実施するべきです。新型コロナウイルス感染の影響に限定せず、本人の申し出によって税金や社会保険料の徴収や差し押さえをストップすることも必要です。中小業者への雇用調整助成金の給付は10分の10に引き上げ、遡及適用するべきです。

3、融資制度の改善と判断基準の緩和で資金繰り支援を強化すること

①新型コロナ対策として行われる緊急融資を「完全無利子」にすること

 日本政策金融公庫が行う特別貸付の「無利子」は3年間だけで、4年目からは基準金利1・36%の負担が迫られます。しかも、日本政策金融公庫が行う融資の原資を国から調達する際に、一番多く発行されている10年ものの国債で賄えば、調達金利は0・003%ですみます。これを450倍の1・36%で貸し付けていいのかが問われています。「苦難にあえぐ中小業者を相手に、1万円で仕入れたものを450万円で売るようなことを公的機関がやっていいのか」と怒りの声が上がるのは当然です。金融機関が行う融資を含め、直ちに「完全無利子」にするための予算措置を行うべきです。

②審査基準を劇的に緩和し、スピード感のある資金繰り支援を徹底すること

 「融資の実行件数、申し込みの半分」(「日経」3月27日付)、「融資実行に1カ月半かかると言われた」など、融資実行までの手続きが緊急な資金需要に対応しきれていません。
 「借り入れ実績のある場合は前年度の売り上げ分までの申し込みには即決で融資を実行する」「既存の借り入れがある場合は利用している制度の違いを問わず、借り換えを認めることを原則とする」など、審査基準や制度適用の条件を劇的に緩和し、危機に間に合う資金繰り支援に転換するべきです。
 日本政策金融公庫では、5年の据置期間を「原則1年」と制限する動きも見られます。「中小業者の要望を最優先して融資を実行する」よう徹底することが急務です。理由も言わず謝絶することは絶対に許されません。

4、国保の傷病手当金を事業主にも支給する自治体への財政支援を行うこと

 国民健康保険(国保)で傷病手当金を支給する自治体への国の財政支援は、被用者(事業者に雇用されている人)に限られています。この間の新型コロナ対策では、中小業者への休業補償は一切ありません。国保に加入する個人事業主と家族専従者、フリーランスを傷病手当金の支給対象にするよう、国が推進するべきです。その裏付けとして、国保の傷病手当金を個人事業主に支給するよう条例を改正した自治体への財政支援を行うべきです。

5、消費税率の引き下げを決断し、実行への準備を直ちに始めること

 消費税率10%への引き上げがGDPを押し下げ、急激な消費の低迷を招くなど、新型コロナウイルス感染症が広がる前から日本経済を悪化させていたことを直視する必要があります。
 消費税率引き下げに踏み出すことが、「新型コロナ危機」打開をめざす政府の決意を示し、インボイス制度の実施を中止すれば、中小業者・フリーランスの経営を守るという強力なメッセージになります。免税点の引き上げは、赤字に苦しむ小規模事業者を救うことにつながります。国民・中小業者・フリーランスが直面する暮らしと経営の危機を打開するために、消費税率の引き下げとインボイス制度の実施中止、免税点の引き上げを緊急に決断するべきです。

6、感染症を重症化させない医療体制を確立すること

 いま広がっている「新型コロナ危機」の特徴は、人の行き来が失われ、生業の基盤が壊されていることにあります。その原因は新型コロナウイルスに感染することに対する不安と恐怖です。これを取り除くことが喫緊の課題です。
 重要なことは、必要な検査を確実に実施し、感染拡大を防ぎ、絶対に重症化させない医療体制を緊急に確立することです。政府が進める公的・公立病院の再編・統合案は撤回し、保健所や地域医療の体制強化を図るべきです。

7、大企業中心の経済から地域循環型経済に転換すること

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、外国に依存する脆弱な日本経済の実態を浮かび上がらせました。外国人観光客なしに成り立たないほど地域経済の地力が低下し、輸入品が途絶えれば製品作りもままならない国になっています。
 この危機を契機に、新自由主義による大企業中心のグローバル経済重視の姿勢を改め、食糧、再生可能エネルギー、医療・介護を地域で自給し、中小業者を経済の柱に据え、人・モノ・資金を地域で循環させる経済へと転換するべきです。

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