社会保険料が払えない 納税緩和措置で困難突破を

 「社会保険料が払えなくなった」「差押予告通知書が届いた」「預金口座を差し押さえられた」など社会保険料に関する相談が全国から寄せられています。民主商工会(民商)では相談者と一緒に年金事務所と交渉し、「猶予制度」の活用や差し押さえの解除を求めています。社会保険料が払えないときや、差し押さえの通知が届いたときはどうすればいいのか、活用できる制度の内容と民商の取り組みを紹介します。

財政金融委員会 「社会保険料の納付猶予は最長4年」小池晃議員の質疑

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最長2年 分納できる

猶予期間中は延滞金も減額

 「売掛金が回収できなくなって資金繰りが行き詰まった」「災害などの被害を受けた」など、やむを得ない理由で社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、子ども・子育て拠出金)が払えなくなった場合は「換価(売却)の猶予」や「納付の猶予」制度が活用できます(表参照)。

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「換価の猶予」とは

 「換価の猶予」(国税徴収法151条①②)は次に述べる「納付の猶予」に比べて広範で、職員の裁量で適用できるとされています。「納付の誠意」があるかどうかが、適用される最大のポイントになります。
申請型の「換価の猶予」は保険料の滞納がなく、納期限から6カ月以内であれば申請することができます。定型の申請書があります。
納期限から6カ月以上の滞納がある場合は、民商の仲間と一緒に交渉し、年金事務所の所長による職権型の「換価の猶予」を認めるように要求しましょう。滞納が100万円以上は担保が必要になっていますが、提供できる財産がない場合は、担保提供は必要ありません。

「納付の猶予」とは

 「納付の猶予」(国税通則法46条②③)は事業者が震災、風水害、落雷、火災などの災害または盗難、生計を一にする親族の病気、事業の廃止・休止、事業の著しい損失などの理由で社会保険料が払えなくなった場合に適用されるものです。

メリットが大きい

 いずれの制度も認められれば、督促や滞納処分を受けることがなく、1年以内で分納(最長2年)することができます。新たな財産の差し押さえや換価が猶予できます。 また、猶予期間中の延滞金は年8・9%から1・6%(納期限から2カ月以降)に減額されます。

督促状は放置しない

民商の仲間と直ちに対策を

 社会保険料は納期限(月末)まで納付されない場合は督促状が送られ、指定された期日までに完納されない場合、年金事務所は差し押さえなど滞納処分の準備に入ります。
「督促状」や「差押予告通知」などを放置していると、差し押さえ処分の口実を与え兼ねませんので、民商の仲間とともに直ちに対策を立て、年金事務所に出向いて払えない理由を説明し、「換価の猶予」などを求めることが必要です。
一方、年金事務所と相談しながら社会保険料を分納していても担当者が代わった途端、一括納付を迫られ、納付できなければ差し押さえ処分を行うなどの事例も横行しています。差し押さえられた預金口座の中には、従業員の給料が含まれているケースもあります。

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「換価の猶予」とは

 「換価の猶予」(国税徴収法151条①②)は次に述べる「納付の猶予」に比べて広範で、職員の裁量で適用できるとされています。「納付の誠意」があるかどうかが、適用される最大のポイントになります。
申請型の「換価の猶予」は保険料の滞納がなく、納期限から6カ月以内であれば申請することができます。定型の申請書があります。
納期限から6カ月以上の滞納がある場合は、民商の仲間と一緒に交渉し、年金事務所の所長による職権型の「換価の猶予」を認めるように要求しましょう。滞納が100万円以上は担保が必要になっていますが、提供できる財産がない場合は、担保提供は必要ありません。

「納付の猶予」とは

 「納付の猶予」(国税通則法46条②③)は事業者が震災、風水害、落雷、火災などの災害または盗難、生計を一にする親族の病気、事業の廃止・休止、事業の著しい損失などの理由で社会保険料が払えなくなった場合に適用されるものです。

メリットが大きい

 いずれの制度も認められれば、督促や滞納処分を受けることがなく、1年以内で分納(最長2年)することができます。新たな財産の差し押さえや換価が猶予できます。 また、猶予期間中の延滞金は年8・9%から1・6%(納期限から2カ月以降)に減額されます。

民商に相談 差し押さえが解除に

千葉・船橋民商 加藤 隆さん(仮名)=建設

滞納処分の回避へ請願権活用し交渉

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加藤さんと民商の仲間が交渉した船橋年金事務所

 社会保険料が滞り、預金口座が差し押さえられていた千葉・船橋民商の加藤隆さん(仮名)=建設=は2日、民商の仲間とともに年金事務所で交渉し、差し押さえを解除させ、その後、「換価の猶予」が認められました。「徴収職員の対応が全然違うので、びっくり。これで従業員にも給料が支払える。本当に良かった」と笑顔を見せています。
加藤さんは会社を設立して5年目。10人の従業員の他に20人ほどの一人親方と一緒に仕事をしています。
昨年9月、工事代金600万円が回収不能となり、税金と社会保険料が払えなくなりました。船橋税務署の督促で国税を全額納税したため、11月から社会保険料の納付が困難に。弁護士に相談し売掛金回収の見込みが立った加藤さんは8月27日、経理担当者と一緒に船橋民商に相談しました。
626万円の社会保険料が未納となっており、8月5日に信用金庫の預金口座が差し押さえられました。その中には月末に支払わなければならない従業員の給料や、一人親方への工事代金が含まれていました。
翌日、山本雅彦会長=建築=や濱野一也副会長=建築、鈴木祥子常任理事=保険代理店=と事務局員2人とともに船橋年金事務所と交渉。千葉県連の橋沢政實会長らも応援に駆け付けました。
同席した経理担当者が「今年の2月まで税務署との対応で、連絡ができなったのは申し訳なかった。でも、その後、連絡しても差し押さえは変えられませんと言うばかりで、話を聞いてくれなかった」と訴え。徴収職員は初めて未納になった原因を知りました。橋沢会長は「中小業者の経営は苦しい現状にある。従業員の生活を守る責任もある。他人事とは思えず心配で応援に駆け付けた」と思いを伝えました。
徴収職員はようやく態度を改めて上司と協議。「信用金庫の差し押さえは即日解除されます。当月発生する保険料は9月2日まで納付し、換価の猶予申請書と計画書を9月6日までに提出してください」と話し、差し押さえを解除させることができました。
20日、年金事務所から、「換価の猶予決定通知書」を送ったとの連絡がありました。

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1. 法人事業者(株式会社、有限会社、財団法人等)の場合

事業の種類を問わず、従業員がいれば(社長1人でも)強制加入が適用されます。

2. 個人事業者の場合

1)任意適用事業所(健康保険・厚生年金の加入が任意)

  1. 従業員が5人未満の個人経営の事業所の加入は任意です。
  2. 個人経営で常時5人以上の従業員を使用する以下の事業所は任意適用を受けれらます。
    1. 第一次産業(農林水産業)
    2. サービス業(理容・美容業、旅館、飲食店、料理店、クリーニング店等)
    3. 士業(社会保険労務士、弁護士、税理士等)
    4. 宗教業(神社、寺等)

※【任意適用を受けるには】

事業主がその事業所の従業員の半数以上(2分の1以上)の同意を得て、厚生労働大臣(実際は地方社会保険事務局長)に任意加入の申請をし、認可を受ければ加入を希望しない人も含めて健康保険に加入することができます。

2)強制適用事業所

常時5人以上の従業員を使用する上記A ・B以外の「一定の事業所」(※2)は、強制加入が適用されます。

※2 法定16業種

「工業、鉱業、エネルギー業、運送業、貨物荷役業、商店、金融保険業、保管賃貸業、媒介斡旋業、集金案内広告業、焼却・清掃・屠殺業、土木建築業教育・研究・調査業、 医療、通信報道事業、社会福祉・更生保護事業」

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