各地の年金事務所で相次ぐ 「社保倒産」など強権的徴収|全国商工新聞

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「民商が頼れる相談先に」 全商連保険料徴収対策を交流

250カ所から接続があった全商連の社会保険料徴収対策交流会

「社保倒産」が大きな社会問題となる中、全国商工団体連合会(全商連)は9日、社会保険料徴収対策交流会をオンラインで開きました。民主商工会(民商)の事務所など全国250カ所で役員や事務局員らに視聴され、「徴収対策を強め、社保問題でも民商が頼れる相談先になろう」「実態を明らかにし、徴収行政の是正と、社会保険料の負担軽減を求めていこう」と意思統一しました。

 全商連社会保障部会の久保田憲一部長・常任理事が開会あいさつ。「各地の年金事務所は、違法・不当な社会保険料の強権的徴収を行っている。困っている業者は大勢いる。”人助け”を実践する声掛け、宣伝を強めよう」と呼び掛けました。
 民商・全商連にはこの間、社会保険料の徴収を巡って「担当者が代わり、これまでの納付計画を、ほごにされた」「『一括納付か、差し押さえか』の選択を迫られる」「売掛金を差し押さえられた」などの相談が多数寄せられています。全国に312カ所ある年金事務所を統括する日本年金機構によれば、差し押さえ件数は、2023年度上半期だけで2万6300社に及びます。
 牧伸人常任理事が報告を行い、「今、どの地域にも社会保険料の支払いに苦しむ中小業者が多数いる」と指摘。強権的徴収を迫られる加入事業主の権利救済を図るために①相談者を励ましながら、その後の納付交渉を行うための事実確認を行う②年金事務所が当事者に寄り添う姿勢で納付相談を行うよう、請願の提出や猶予の申請を行う③年金事務所が対応を改めない場合、厚労省の監督・指導を求める④各県の商工団体連合会(県連)や全商連を通じて、徴収行政の是正を求める広範な取り組みを行う―を柱に取り組みを強めようと提起しました。
 各地の強権的徴収の実態と民商のたたかいの報告では、3人が発言。「売掛金をいきなり差し押さえて、滞納者を事実上の倒産に追い込んだ事例もある。これは違法で、犯罪ではないか」(東京・新宿民商)、「会外から『担当者が話を聞いてくれない、分納を認めてくれない』との相談を受け、請願書を出すことにした。取り組みを通して相談者が民商に入会した」(山形民商)、「差し押さえを強行され、売掛金全額を保険料に充当された事案では、民商とともに経営分析し、年金事務所と交渉を重ね、解決を勝ち取った」(岩手・一関民商)などと語りました。
 国会でこの間、「社保倒産」の問題を連続追及している小池晃参院議員(共産)が連帯あいさつ。「消費税の減税と併せて、高過ぎる社会保険料の引き下げが必要だ。国会でも引き続き、この問題を取り上げる」と表明しました。

事業の継続に配慮を 業者の立場で国会でただす

武見敬三厚労相「倒産させないように」
日本共産党倉林明子議員に答弁

厚労省が指導文書
厚生労働省年金局から日本年金機構への指導内容(PDFファイルが開きます)

 各地の年金事務所が、社会保険料(社保料)の滞納者に対し強権的な差し押さえなどを行い、大問題となっています。日本共産党の倉林明子参院議員は4日、厚生労働委員会で厚生労働省と日本年金機構に強権的徴収の是正を求めました。
 昨年11月の行政監視委員会で同問題を取り上げていた倉林議員は、この間の厚労省の対応を確認しました。武見敬三厚労相は「個々の事業所の状況を丁寧に聞きながら、適切に対応するよう日本年金機構に指導してきた。事業主が納付協議に応じず、猶予の取り消しや財産の差し押さえを行う場合であっても、法令上の根拠を示し、丁寧な対応を行うよう、日本年金機構や年金事務所に周知徹底した」と答弁しました。
 倉林議員は、この間の予算委員会や財政金融委員会で与党議員も年金事務所の行き過ぎた徴収の是正を求めていることを紹介し、「現場の実態と国会答弁は、あまりに開きがある」と指摘。日本年金機構に説明を求めました。
 大竹和彦理事長は「納付に向けた協議を行うに当たっては、個々の事業所の状況を踏まえて丁寧に対応していくのが基本と考えている。直ちに財産の差し押さえを行うのではなく、まずは事業主と協議をして、事業所の経営状況、将来の見通しなどを伺い、状況に応じた丁寧な対応を行うよう、各年金事務所に周知徹底していく」と述べました。
 倉林議員が、中小企業をつぶさない手立てとして、社保料の減免制度や応能負担への見直しを検討するよう求めたのに対し、武見大臣は「中小企業の経営を著しく圧迫して、倒産させるようなことは、我々としては避けなければいけない。現状のルールに基づいて猶予したり、対応を緩和することが必要で、その趣旨を現場に徹底することで、中小企業の経営基盤を守っていく」と答えました。
 厚生労働省は16日、日本年金機構に向けた指導文書「厚生年金保険料の滞納・猶予適用事業所への対応について」を発出。国税関係法令に基づく取り扱いの徹底と徴収職員への研修で浸透を図るよう指導しました。

参議院・厚生労働委員会 「倒産させることは避け、中小企業の経営基盤を守る」倉林明子議員の質疑(2024年4月4日)

国税庁「職権型の猶予適用も」
日本共産党 小池晃議員に答弁

 「『納期限から6カ月以上経過した期間があるため、換価の猶予の要件に該当しない』と年金事務所に言われたが、本当か」―。全国商工団体連合会(全商連)に寄せられた相談です。これに連携し、日本共産党の小池晃参院議員は11日、財政金融委員会で社会保険料(社保料)の滞納問題を取り上げ、国税庁から換価の猶予の適用に関して法律の趣旨にそった徴収の在り方をただしました。
 換価の猶予のうち、申請型は納期限から6カ月以内の申請が必要です。国税庁は職権型の換価の猶予にふれて「納期限を6カ月経過した場合であっても、要件に該当する時は、税務署長が職権により換価の猶予を適用」していると述べ、「納税者の事業内容、資金や財産の状況と個々の実情を十分把握した上で分割納付を認めている」と回答しました。
 また、3月22日の財政金融委員会で、厚労省が「事業に影響が少ない財産を差し押さえても滞納解消が認められない場合には売掛金の差し押さえを行う」と、売掛金を自動的に差し押さえられるかのような答弁を行ったことをただしました。国税庁は「差し押さえる財産の選択にあたっては、滞納者の生活の維持または事業の継続に与える影響を十分に留意して行う。売掛金を差し押さえる場合は、組織として十分検討した上で慎重に対応することとしている」と答弁しました。
 鈴木俊一財務相も、「国税当局において法令に基づき納税者の事業や財産の状況など、個々の事業状況を十分に把握した上で、納税の猶予など緩和制度を適用するなど、適切な処理に努めている。滞納者への配慮は、社会保険料についても同じであるのがふさわしい」と答えました

参議院・財政金融委員会 「社会保険料の納付猶予は最長4年」小池晃議員の質疑(2024年3月12日)

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