約2千件に及ぶ詳細な経費明細の提出を強要し、それを拒否したら、経費だけでなく人件費も否認する「経費否認調査」―。広島民主商工会(民商)の久保博隆さん=ビル管理=はこのほど、広島西税務署による不当な税務調査を打ち破り、原処分の「一部取消」の裁決を勝ち取りました。

「令和元(2019)年分、令和2(20)年分及び令和3(21)年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分はいずれもその一部を取り消す」―。広島国税不服審判所から、久保さんの下に待望の裁決書が届きました。22年10月の調査開始以来、約4年にわたる税務調査をたたかい抜いた久保さん。「時間はかかったが、一方的な経費否認が否定され、税務署の不当な処分が一部でも取り消された。これで、ようやく仕事に専念できる」と喜んでいます。
広島市内を中心にビルの管理保守などを手掛ける久保さん。広島西税務署から「税務調査をする」と連絡があったものの、24時間対応で仕事に追われる久保さんは帳簿に自信がなかったため、知人の紹介で広島民商に入会。「間違いは正し、納めるべきものは納める」姿勢で資料を整理し、調査に臨みました。
しかし、調査に来た税務署員は、民商関係者の立ち会いを理由に、準備した資料の確認や持ち帰りも拒否しました。久保さんは「資料を持ち帰っていい、と言っているのに持ち帰らない理由は何か」と抗議。約2千件にも及ぶ、ガソリン代やホームセンターでの支出の目的や業務関連性を明らかにする明細書の提出を要求されたことについても「領収書は全て仕事に関係あるものだ」と主張しましたが税務署は耳を貸さず、25年3月14日付で、法外な所得と税額を提示した上、経費だけでなく、人件費も否認する不当な更正処分を行いました。
納得できない久保さんは「再調査」を申し立てましたが、税務署はこれを「棄却」。久保さんは7月31日、民商の励ましもあり、広島国税不服審判所に審査請求を行いました。
久保さんは、新たに手帳などの証拠提出や口頭意見陳述などで税務署の処分の不当性を訴え続けました。約1年にわたる審理を経て、今年7月8日に、人件費全額を含む約1560万円を必要経費として認め、3年分合わせて334万7700円の課税処分を取り消す―という原処分の一部を取り消す裁決書が届きました。
久保さんは「一部と言えども税務署の誤りが認められて良かった。これからは民商で記帳を学んで仕事に専念したい」と話しています。
久保さんを支え続けた広島民商は「税務行政のデジタル化やAI(人工知能)選定による調査が進むからこそ自主記帳・自主計算・自主申告が自分の商売を伸ばし、守る最大の武器になる」と強調しています。

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