「監督指針」改正を力に 処遇改善へ連帯強め

「損保代理店の粘り強い運動が実り、大手損保会社への監督指針に代理店手数料は双方の『協議・合意により決定』との文言が盛り込まれた。この趣旨を生かし、顧客本位の代理店の役割をさらに発揮しよう」―。「第7回損保代理店院内集会」が先ごろ開かれ、損保代理店を営む長野、埼玉、岐阜、高知などの民主商工会(民商)会員をはじめ、108人が参加しました。主催は「損害保険代理店問題を考える」院内集会実行委員会。

岐阜県損害保険代理業協会元会長で、陶都民商会員の大江金男さんが開会あいさつ。「代理店手数料ポイント制度によって苦境に立たされる代理店の現状を広く訴えようと、2017年11月に院内集会を初めて開催して以来、今回で7回目。それだけ問題が根深いということだ。保険会社が代理店に一方的に廃業を迫ったり、火災保険の引き受けを拒否するなどの問題も起きている。保険契約の9割を担う代理店は、真に顧客のための代理店制度を切に願っている。東日本大震災から15年、熊本地震から10年たち、セーフティーネットを守る代理店の社会的役割の発揮が一層求められている。多くの方の発言で、実のある集会にしよう」と呼び掛けました。
手数料を合意で
金融庁監督局の下井善博保険課長が金融行政を報告。「昨年5月に成立した改正保険業法を踏まえた保険業法施行規則と『保険会社向けの総合的な監督指針』の改正作業を順次進めており、代理店手数料の算出方法の適正化についても改正した。代理店は現場の最前線でお客さんと接し、業務品質の向上に取り組んでいただいている。顧客本位の業務運営の実現に向け、保険会社と代理店が信頼関係を醸成し、二人三脚で業務品質向上に取り組むことが重要だが、一部の代理店から『保険会社から過度な体制整備を求められている』『業務品質を理由として代理店委託を解除される』などの声が寄せられている。保険会社との対話のツールとして『代理店業務品質評価制度』(代理店の業務品質の評価基準を業界共通で示し、第三者により点検・改善する仕組み)の活用を」と述べました。
兵庫県立大学客員研究員の松浦章さんが基調報告。「代理店は、1997年3月末の62万3741店から、2025年3月末の14万138店へと激減したが、その大きな要因が手数料ポイントだ。この間、健全な損保産業を求める私たちの持続的な運動が、業界を変える力になり、2月に改正された『監督指針』には、代理店手数料の算出方法は『損害保険会社と代理店との間の協議・合意により決定されている』という文言が盛り込まれた。しかし、大手損保会社の代理店施策はこの指針に逆行し『業務品質重視』の名の下に手数料を引き下げ、代理店の淘汰・再編を図ろうとしている。不祥事が相次いだ損保業界の再生の鍵は代理店だ。『監督指針』を実効性あるものにするため、引き続き声を上げていこう」と呼び掛けました。
成果を生かして
フロア発言では「ポイント制度によって手数料が低く抑えられているため、1日8時間、1カ月22日間働いても、最低賃金を割り込む」(福岡)、「昨年8月、東京海上日動が手数料ポイントを一方的に20%強も引き下げた。巨額の損失が生じるため、大津地裁に提訴した」(滋賀)、「車体整備の協同組合が大手保険会社と団体交渉をして工賃単価引き上げを勝ち取ったように、私たち代理店も、処遇改善に向けた団体交渉ができる組織が必要だ」(京都)など、代理店の厳しい実態や業界の課題が語られました。
日本共産党の大門実紀史参院議員が連帯あいさつ。「2017年に国会で損保問題を取り上げてから9年が経過した。金融庁の『監督指針』改正は、代理店の皆さんが声を上げて勝ち取った重要な成果。しかし、東京海上日動をはじめ、代理店の淘汰・選別に乗り出しているのが現状だ。『監督指針』を、たたかいに生かしてほしい。今後も代理店を巡る問題に超党派で取り組んでいく」と表明しました。
松本泉衆院議員(自民)、西田昌司参院議員(同)、柴慎一、高木真理の両参院議員(立憲民主)、田中健衆院議員(国民民主)、小池晃参院議員(共産)、ラサール石井参院議員(社民)の国会議員8人が出席しました。
保険会社の代理店つぶしはひどい
高知民商 Mさん
高知民商のMさんは、同業の民商仲間、岡田泰司さんらに誘われて、集会に初めて参加しました。大手保険会社が一方的に優位な関係性に以前から疑問を感じていたMさんは「保険会社による代理店つぶしは許せないとの思いを強くした」と言います。
「保険会社は自らの収益のために、代理店つぶしを進めています。手数料ポイントは、個々の代理店との『協議・合意』などは無く、保険会社の都合で一方的に決められているのが実情です。人口減少の下、毎年、右肩上がりで契約を増やせなければ、手数料が減る仕組みは理不尽です。こうして代理店が集まって、声を上げる取り組みは大切ですね」
代理店手数料 ポイント制度
損保代理店の主な収入源である損保会社からの手数料が、損保会社が定める基準によって一方的・大幅に変動する制度。以前は、一定の基準を満たせば一律で約20%だった手数料が、基準手数料にポイントを乗じて手数料額が決まるようになった。ポイントは、確認されている範囲で20~130と、6倍以上の格差が生じている。

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