「ホルムズ危機による石油由来資材の高騰や不足で、多くの中小業者は”仕事ができない”と悲鳴を上げ、資金繰りや支払い、従業員の雇用維持に苦慮している。休業を余儀なくされている業者への休業補償や、燃料費や家賃・リース代などへの補助、税・社会保険料の支払い猶予など緊急支援を直ちに講じてほしい」―。各地の県商工団体連合会(県連)・民主商工会(民商)は、生業のかつてない危機を打開するため、自治体要請を強めています。
「中小への影響大きい」 長崎県連県に要請 地元メディアも報道


「個人の経営努力だけでは、この困難は打開できない。困窮している全中小業者を対象に直接支援を」―。長崎県連は5月12日、ホルムズ危機による中小業者の苦境打開を求め、長崎県に要請を行いました。徳永隆行会長、大串博副会長、小山絵里子事務局長の県連三役と、島原、大村、東彼の各民商の事務局長ら7人が「ホルムズ海峡封鎖等による影響緊急調査」などに基づいて県内の中小業者の深刻な実態を訴え、支援を求めました。堀江ひとみ県議(共産)が同席しました。県産業労働部の永峯裕一郎部長ら4人が応対し「中小業者への影響は大きい。緊急相談窓口を設置し、緊急資金繰り支援を始める」と述べました。県内メディアが取材し、長崎国際テレビや長崎新聞などで報じられました。
徳永会長が冒頭、重点支援地方交付金を活用した電気・ガス代、資材高騰への直接支援策の実施や工場・家賃・リース料などの固定費補助、資金繰り支援など5項目の要請書を手渡しました。
左官業を営む大串副会長は「材料が入らず、仕事が止まった仲間もいる。休業が多くなれば、生活に支障も出る。事業者への直接助成をしてもらうのが一番」と訴えました。東彼民商の朽原明浩事務局長は「建設塗装の会員は、材料代が8割も上がったが、請求書を既に出してしまったので、金額は上げられない。別の業者は、材料の仕入れができず、夏以降の仕事のめどが立たない。内装業者もメーカーから値上げ通知が来たが価格に転嫁できず、借り入れを検討している」と告発。大村民商の宮田優二事務局長は「一番影響が出ているのは建設業。塗料やシンナーが入手しにくい。取引実績が無い業者へは販売しない材料卸も出ている。美容業では手袋が入りにくい」と述べ、資金繰り支援や条件変更に柔軟に応じることを求めました。島原民商の友永紀子事務局長は「建設資材が30~50%値上げされ、下請けには資材が回ってこない。賃上げもできず、県の『デジタル力向上支援事業費補助金』などの申請は難しい。簡単に申請できるようにしてほしい」と要望しました。
県側は「翌13日から、緊急相談窓口の設置、緊急資金繰り支援の運用を始める。直接給付策としては、賃上げ対応で33億円を予算化し、2万者規模を想定している。県の支援策の申請手続きが難しいなら、改善できる点は改善したい。中小業者への影響は大きいので、必要な対応はスピード感を持って行う」などと回答しました。
小山事務局長は「県が新設する賃上げ支援は、従業員1人以上の雇用が条件だ。雇用の有無にかかわらず、全中小業者への直接支援を行うべき。中小業者への大規模な支援を、国にも強く要望してほしい」と重ねて訴えました。
「事業者をつぶさない」 広島県連県に要望 政策提案「ありがたい」

広島県連は先ごろ、広島県にホルムズ危機打開に向けての要望書を提出し、懇談しました。県連からは坂井哲史会長ら3人が参加し、県から、商工労働部経営革新課の藤原利昌課長と應和誠士参事が応対しました。
坂井会長は、ホルムズ海峡封鎖等の影響緊急調査の結果に触れ「回答者の90・6%が『影響がある』『今はないが今後ある』と回答している」と指摘。「塗装や防水工事で材料が入らず、仕事はあっても施工できない」と仲間の声を紹介しました。
藤原課長は「事態を重く受け止めている。商工労働部だけでなく、関係部局を横断する庁内連絡会議を設置し、情報を共有している。相談窓口を設けているが、相談件数は少なく、皆さんから頂く生の声や政策提案はありがたい」と応じました。
緊急調査でも要望の多かった業者への直接支援をはじめ、県内の各自治体が行う支援制度への補助や、既往債務とは別建ての緊急融資制度創設、借り換え・据え置きへの利子・保証料の支援、税金の猶予など10項目を要望しました。県側は「予算に限りがあり、既存の枠組みで、どう支援できるか工夫したい。皆さんの声を基に、国に実効性ある支援を強く求めていく」と述べました。
参加者は「従業員を抱える事業者は、仕事は無くても給与を払わなければならず、影響はコロナ禍以上だ。雇用調整助成金の要件緩和を国に強く要望してほしい。県内事業者に対して『県が事業者を守る、一緒に頑張ろう』との強いメッセージを発信してほしい」と要望すると「事業者をつぶさないという視点では、私たちも同じ方向を向いています」と述べました。
県連は、今回の懇談を皮切りに、県内各自治体への要望・懇談を強めることにしています。
富士宮市が開催した 「意見交換会」で訴え 静岡・富士宮民商農林漁業者らと苦境共有
静岡・富士宮民商は5月14日、富士宮市が開催した「中東情勢の緊迫化に伴う原油資源調達不足等への影響に係る意見交換会」に小野田雅彦事務局長が参加し、中小業者の実情と支援策の必要性を訴えました。意見交換会には民商の他、商工会議所や信用金庫、農協や漁協など計8団体が出席しました(図1)。市からは、産業振興部の南條哲朗部長をはじめ、農業政策課、観光課、商工振興課の課長らが出席しました。

会員が調査回答
民商は4月の常任理事会で、意見交換会への参加を確認。市から依頼があった「中東情勢の緊迫化に伴う原油資源調達不足等への影響についての確認事項」に回答するよう会員に呼び掛けました。会員26人の回答から、8~9割が資材や燃料などの不足や高騰の影響を受けたり、見込んでいることが明らかになりました(図2~4)。



自由記述欄には「住宅のユニットバスが受注停止、納期未定。住宅塗り替え用塗料は入荷まで2~3週間かかる」(リフォーム)、「アルミ複合板が出荷停止。いつ入るか不明」(看板製作)、「ビニール手袋、衛生用品、オムツなどの消耗品が継続的に高騰。送迎業務があり、ガソリン高騰の影響も大きい。こうした状況が続く場合、事業継続に危機感」(技能訓練型デイサービス)、「6月以降、製造停止の可能性有り」(紙・ダンボール加工)など、幅広い業種の深刻な影響が、びっしり。「材料が一つでも欠けると、現場は手が付けられない」(建築塗装)、「うかつに見積もりできない。金額が高くて足踏みする客が多い」(看板製作)など、受注にも影響が出ていました。
意見交換会では、商工会議所からも同様の傾向が示され、他分野から多岐にわたる影響が報告されました。農協は「(茶葉を蒸したり、乾燥させる)一番茶用の重油は手当てできたが、二番茶以降は不透明。長引けば、死活問題だ」。酪農団体は「ビニール製品、ニトリルゴム手袋・長靴などは医療用が優先され、不足している。干し草を包むラップも確保できない。輸入飼料も上昇しているが、牛乳価格には反映しにくい」。森林組合は「チェーンソーオイルが不足。獣害防止柵の支柱は原油由来で、数量が制限されている。植林の時期は3~5月だが、獣害防止柵を設置できないと作業できない」。漁業組合は「(養殖の)ニジマス出荷時に使う発砲スチロールが5月から30%値上げされ、梱包用バンドは1.5~2倍になった。6月以降増える出荷に対応できるのか…」と切実な状況を語りました。
直接支援を求め
必要な支援策について、商工会議所が「資金繰りに支障を来す業者も出ているが、借り換えようにも、金利上昇局面では不利になる。利子補給してもらえないか」と提案。民商も賛意を示し「利子補給のほか、既往債務の返済凍結や条件変更などの支援を。重点支援地方交付金の活用で、電気・ガス代、資材の高騰に対する直接支援を」と求めました。
市の産業振興部長は、重点地方交付金については「使い道が既に決まっている」としましたが「各団体から寄せられた情報や要望を6月議会の参考にしたい。6月の『中小企業振興懇話会』でも取り上げたい」と、地域業者の声を傾聴する姿勢を見せました。
市は、2015年4月に中小企業振興基本条例を施行。条例に基づく「中小企業振興懇話会」に、小野田事務局長が委員として継続参加しています。
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03-3987-4391







