
消費税のインボイス(適格請求書)制度に反対が97.3%、課税事業者の90.8%が消費税を負担に感じており、77.0%が価格転嫁できていない―。2023年10月に強行されたインボイス制度が、多くのフリーランスや個人事業者に深刻な痛みを押し付けている実態が明らかになりました。「インボイス制度を考えるフリーランスの会」(STOP!インボイス)による「インボイス実態調査」の結果です。
STOP!インボイスは5月28日、国会内で集会を開き、1万人を超える回答を得た調査結果を公表。財務省や国税庁、経産省などに調査結果を手渡し、同制度の廃止を求めつつ、緊急対策として「『激変緩和措置』『経過措置』の延長」を求める請願を提出しました。
実態調査は3月28日~4月14日の18日間実施し、1万538人のフリーランス、個人事業者らが回答しました。
インボイス制度に「とても反対」(83.1%)、「反対」(14.2%)の回答を合わせると97.3%となり、業種や規模、インボイス登録の有無にかかわらず、ほぼ全員が反対の意思を示しました。
消費税については「非常に負担」78.4%、「負担」12.4%と、課税事業者の計90.8%が負担を感じています。
消費税分などを「価格転嫁できている」と答えたのは「転嫁できた」4.0%、「一部転嫁できた」16.1%の計20.1%。「転嫁しなかった」27.4%、「転嫁したくてもできなかった」49.6%と、計77.0%が、消費税負担を価格に上乗せできていませんでした。新たな消費税負担や事務コストを「所得や貯蓄から補填した」は43.6%、「借り入れして補填」は10.9%となりました。
自由回答欄には「インボイス経過措置期間終了のタイミングまでに廃業が最良の選択に見える」(神奈川、運輸・通信)、「2割特例が終了すると納税額が増え、仕事を続ける理由がない」(岡山、運輸・通信)、「インボイス登録しないと仕事がもらえないので、しょうがなく登録しました。物価高などの中、何とかやってきたが、消費税まで持っていかれると廃業どころか首吊りまで考えてしまう。国は私を殺す気ですか」(長野、建設・土木・工業)などの切実な声が多数寄せられました。
STOP!インボイス呼び掛け人の小泉なつみさんは「調査結果は、消費税・インボイス制度が個人の尊厳を踏みにじる異常な税制であることを浮き彫りにしている」と告発しました。