消費税減税、インボイス廃止に「減税公約守れ」と実現迫る 各界連が国会行動|全国商工新聞

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消費税廃止各界連絡会が取り組んだ昼休み宣伝で訴える全商連の岩瀬晃司副会長=10月24日、国会前

 「国会議員要請に回ると、野党議員が中小業者の実情を案外、理解してくれていると分かった。立民や国民民主の議員も消費税減税とインボイス廃止の請願署名の紹介議員になってくれた。地元で、もっと頑張らなきゃ」―。こう話すのは、神奈川・秦野民主商工会(民商)会長の山口千代松さん=清掃。全国商工団体連合会(全商連)も加わる消費税廃止各界連絡会(各界連)が10月24日に多彩に取り組んだ国会行動の感想です。この日は、7月の参院選から3カ月の政治空白を経て、ようやく開会した臨時国会の初日。消費税減税を公約に掲げる政党が多数を占める本会議場で所信表明演説に立った高市早苗首相は、消費税減税について一言も語りませんでした。

国会議員要請 紹介議員が新たに12人

 午前中、国会議員要請に取り組みました。各地から参加した40人が24組に分かれ、113人の衆参両院の議員事務所を訪問。新たに12人の議員が「消費税率5%以下への引き下げとインボイス制度の廃止を求める請願署名」の紹介議員になることを表明し、紹介議員は計62人に達しました。

法案出す動きも

 前出の山口さんら神奈川からの参加者3人は、国民民主、立民、自民の6人の衆院議員事務所を訪ねました。
 山口さんは、各議員事務所で「物価高やインボイスによる新たな税負担で、中小業者の暮らしと営業は深刻です。消費税減税、インボイス廃止に力を貸してほしい」と訴えました。
 要請を受けたインボイス問題検討超党派議員連盟会長の末松義規議員(立民)は「消費税率5%への減税法案を超党派で出す動きもある。食料品ゼロ%では、インボイスは無くせない。皆さんとともに頑張りたい」と決意を語り、山口さんと握手を交わしました。
 事前に紹介議員になることを承諾していた西岡義高議員(国民民主)は「承りました」と答え、相模原民商と大和民商が集めた署名を受け取りました。確定申告書控えなどへの収受日付印の押印廃止も話題に。吉田剛県商工団体連合会(県連)事務局長が「中小業者は余計な事務負担を強いられている」と訴えると、西岡議員は「この署名でも、紹介議員になることを検討したい」と応じました。

署名に思い込め
津村啓介衆院議員(左)に署名を手渡す坂井哲史さん(中央)と工藤雄起さん

 札幌東部民商の工藤雄起会長=内装=と、広島県連と広島西部民商の会長を務める坂井哲史さん=保険代理=は、自民、維新、立民の7人の衆院議員事務所を訪問。各事務所で「今、中小業者はインボイス制度に悩まされています」(工藤さん)、「署名に業者の切実な思いが込められています」(坂井さん)などと訴えました。
 事前に紹介議員になることを承諾していた津村啓介議員(立民)は、「確かに署名を受け取りましたので、頑張ります」と応じました。
 同じく紹介議員になることを承諾していた福田玄衆院議員(国民民主)の事務所では、秘書が署名を受け取りました。

地元も回りたい

 議員要請後、山口さんは「議員個人としてだけでなく、党として消費税減税やインボイス廃止に向けて動いてくれるように、運動をさらに広げなければいけないと強く感じました」。
 工藤さんは「民商の班会などで『消費税の負担が本当に大変。来年9月末で2割特例が無くなったら、一体どうなるんだ』などの不安が出される。紹介議員になり、署名を受け取ってくれた津村議員のように、中小業者の暮らしや商売の実態に心を寄せる議員を増やさないと。帰ったら、地元の議員事務所も回りたい」と意気込んでいます。

昼休み宣伝・全国代表者会議 チャンス生かす運動を

 午後からの「全国代表者会議・国会内集会」に先立ち、衆院第二議員会館前で実施した昼休み宣伝には、中小業者やフリーランス、労働者、医療関係者ら約30人が参加。開会した国会に向かって「消費税率5%への減税、インボイスを廃止し、物価高から暮らしを守れ」と訴えました。

社会保障も守る

 各界連の加盟団体が決意表明。全商連の岩瀬晃司副会長は「参院選で示された民意は消費税減税だ。さらに運動を強めよう」と呼び掛けました。
 全労連の秋山正臣議長は「軍事基地の増強よりも、社会保障や教育の予算を拡大すべき」と力を込め、全国保険医団体連合会の工藤光輝事務局次長は「政権入りした維新の医療費抑制策のトップがOTC(市販)類似薬の保険外しだ。医療や社会保障を守るたたかいが重要だ」と強調しました。
 日本共産党の辰巳孝太郎衆院議員が駆け付け「消費税減税、インボイス廃止に向け、野党は力を合わせる」と意気込みを語りました。インボイス制度の廃止を求める税理士の会の湖東京至さんは「『食料品ゼロ%』では、物価は下がらず、インボイスは温存され、将来の消費税増税も招く。消費税廃止に向けた減税こそ必要」と力説しました。
 「STOP!インボイス」の小泉なつみさんは「インボイス廃止や消費税減税は、ポピュリズムでも、排外主義の”養分”でもない。私たちが運動するのは、ただただ商売に邪魔だから」と訴えました。

私たちの運動で
各界連全国代表者会議で講演する大門実紀史参院議員=10月24日、国会内

 全国代表者会議・国会内集会には、31団体から73人が参加。
 日本共産党の大門実紀史参院議員が「激動の政治情勢、どうなる消費税減税・インボイス廃止」と題して講演しました。「消費税減税、インボイス廃止を公約に掲げた野党の本気度が問われている情勢だ」と強調。「消費税廃止に向け、まずは一律5%減税。インボイスは廃止するしかない」と述べ「最終的には、私たちの運動が起こす世論と国会との力関係で決する。たたかってこそ展望は開ける」と呼び掛けました。
 各界連の中山眞事務局長(全商連常任理事)が「消費税減税を実現する”かつてないチャンス”」として、各地域で①国会議員への要請②宣伝、署名、対話、学習の強化③集会・デモの開催④地方議会への陳情・請願活動―に旺盛に取り組もうと提起しました。
 消費税をなくす全国の会の上敷領千枝子事務局長は「『消費税、憲法変えれば戦争税』を合言葉に、たたかいを進めてきた。軍拡を阻止するために、消費税をなくさなければならない」と強調。東京土建の御崎誠人中央執行委員は「インボイス制度が、元請け業者と一人親方に分断と対立を生んでいる。消費税減税とインボイス廃止を求める隊列を大きくしよう」と呼び掛けました。

業者が駆け寄り

 各地の各界連の代表は、「高知県連や消費税をなくす会が県内の全34自治体に陳情。14自治体が『消費税減税』『インボイス廃止』に関わる意見書を可決した」(高知)、「シールアンケートで対話すると、自営業者が駆け寄って『インボイスで、えらい負担にびっくりや』『2割特例が廃止されたら大変や』などと署名してくれた」(大阪)など、運動の広がりを報告しました。
 参加者から「県内で、民商1会員当たり5人分の統一署名を集めた。終着点とせず、さらに大きく取り組みたい。一刻も早く、物価高対策の切り札の消費税減税を実現させたい」(宮城)、「インボイス強行2年目の10月1日の昼休み宣伝に向けて、県内の各野党を訪問。社民党の代表が初めて参加し、運動の広がりを実感した」(滋賀)などの発言がありました。

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