
「『ぐんま賃上げ促進支援金』の申請数を非公開としていたのは誤りで、適切に公開する」「申請から支援金支給までの期間は2週間とする」―。群馬県商工団体連合会(県連)が9月5日に実施した群馬県産業経済部との懇談で、県側が、こう明言しました。
製造業へ支援も検討
懇談には、奈良民男会長=製缶溶接=ら7人が参加し、酒井宏明、大沢綾子の両県議(ともに共産)も同席しました。
奈良会長らは「ぐんま賃上げ促進支援金」について、全国に先駆けて実施したことを評価する一方、「提出書類が複雑で、申請数が伸び悩んでいるのではないか。正確な申請数を公表してほしい。小規模企業では、人件費が売り上げの約8割を占める。残りの2割から、どうやって最低賃金引き上げ分を捻出すればいいのか」「申請して1カ月以上過ぎたが、何の連絡も無い。いつまで待てばいいのか」などと訴えました。
県側は、支援金の申請数を非公開としている誤りを認め「適切に公開する」と回答。実際の申請から実行までの期間を2週間としました。また「トランプ関税の決定を受けて、県内の製造業への支援を考えている」とも述べました。
奈良会長は、昨年秋に県連が取り組んだ「営業とくらしの実態調査」結果に基づいて、回答者の6割以上が原材料が上昇したにもかかわらず「100%転嫁できている」のは1割程度にとどまっていると指摘。「中小業者の個人努力だけでは限界があり、県や国の支援が必要だ」と強調しました。
千代雅行副会長=塗装=は「仕事を始めた34年前、シンナーは1缶1800円だった。年々値上がりし、今年は5千円近くになっている。他の材料も値上がりしているが、工賃は上がらず、身銭を切っている。とても苦しい」。宝槻忠副会長=建設=は「交通費や工具代などの必要経費を取引先に請求できない。人工代と材料費から、自己負担している経費を差し引くと、ほとんど利益が残らない」と、厳しい状況を訴えました。酒井県議は懇談後、「経済支援策の実施について、議会からも提案していきたい」と意欲を見せました。
ぐんま賃上げ促進支援金
2025年4月1日~11月30日までに、従業員の賃金を5%以上引き上げた県内中小企業等を対象に、従業員1人当たり5万円(最大20人分)を支給する制度。引き上げ後の賃金水準を1年間継続することが要件。太田市、館林市、渋川市、玉村町、大泉町が上乗せ支援を実施しています。