沖縄戦の教訓である「軍隊は住民を守らない」「戦争は国家の暴力」を想起させる事件が沖縄で起きました。8月6日、沖縄県の陸上自衛隊宮古島駐屯地トップの司令を兼ねる宮古警備隊長が、訓練を監視していた市民をどう喝したのです。早朝の「いらぶ大橋海の駅」駐車場での訓練に、市民団体「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」の女性が「きれいな朝日に迷彩服は似合わない」とハンドマイクで静かに語り掛けたところ「やるんだったら許可を取ってこい。早く取ってこい」などと怒鳴り付けて退去を迫りました。海の駅と駐車場を管理する宮古島市と県は、使用申請は必要ないとしています。
司令は同19日、当事者の抗議を受けて「威圧的と受け止められたなら、その点は申し訳なかった」と述べましたが、どう喝の事実は認めず、同22日の沖縄県関係野党国会議員団の抗議にも、謝罪・撤回しませんでした。
事件の背景には、自衛隊を、「専守防衛かつ必要最低限の存在」から、2022年の安保3文書で敵基地攻撃能力を保有して構わないと「軍隊化」した大転換があります。
いま、沖縄を含む南西諸島では、台湾の領有を巡る米中の軍事衝突の際、自衛隊がミサイル部隊などで中国に先制することを想定した基地新設が相次いでいます。16年の沖縄与那国駐屯地(隊員数約150人)を皮切りに、19年には宮古島駐屯地(約700人)、奄美駐屯地(約550人)、瀬戸内分屯地(約210人)、23年には石垣駐屯地(約570人)と基地建設が進められてきました。さらに鹿児島県の無人島・馬毛島では、2030年までに滑走路2本を備えた基地が整備され、米軍の空母離着陸訓練にも使用される予定です。
被爆・戦後80年を振り返れば、戦争は、ある日突然始まるのではなく、時の政権が、用意周到に準備を重ね、国内の反対の声を押しつぶして始まります。戦争する準備を進め、国家予算を軍備増強に充てる政治を食い止め、市民生活を守るために「税金はくらしの拡充に
戦争準備の軍拡は中止して、憲法、平和、いのち、くらしを守る政治への転換を求める請願」署名の運動を、この秋、大きく推進しましょう。