
全国商工団体連合会(全商連)は先ごろ、石破茂首相に対し「『骨太の方針2025』の具体化に際して小規模事業者への支援強化を求める要請」を行いました。内閣府と厚生労働省が応対しました。
石破政権は6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2025」を閣議決定しました。「減税政策よりも賃上げ政策こそが成長戦略の要」とし、中小企業・小規模事業者の賃上げ支援の施策促進を打ち出すものの、その中身は従来型の「生産性向上」「経営基盤強化」策にとどまっています。
一方、税務署による確定申告書控えなどへの収受日付印押印廃止などの口実となってきた「デジタル社会にふさわしい税制の構築」を一層進める方向や、??持続可能な社会保障制度のためを口実とした「病床削減」や「OTC類似薬の保険給付のあり方の見直し」など、社会保障制度の削減を盛り込んでいます。
要請では、「骨太方針」に基づいて進められる2026年度予算編成で「軍事費を削り、中小企業・小規模事業者の支援策や社会保障の拡充を盛り込むべきだ」と強調。①消費税とインボイス(適格請求書)制度を廃止し、その財源を軍事費削減と税制のゆがみを正して確保する②中小事業者の社会保険料負担の軽減、高額療養費の上限引き上げ中止、OTC類似薬の保険適用継続③地方創生臨時交付金を増額し、中小企業・小規模事業者が行う賃上げなどに対する直接支援―などを求めました。
内閣府は「来年度予算の概算要求はすでに各省庁で準備を進めている」「『骨太の方針』は当初予算の方向性を示すものであり、すでに閣議決定されており、政府として実行するものだ」と言明しました。
厚生労働省は、中小企業の社会保険料の軽減について、「『中小企業だから』という理由で負担を軽減することはできない」と拒否。高額療養費の上限引き上げは「関係者の意見を丁寧に聞き、負担に配慮しながら検討する」と回答しました。OTC類似薬の保険適用「見直し」は「現時点で何も決まっていない」と繰り返し、内閣府の「(骨太方針は)政府として実行するもの」という見解と矛盾する姿勢を示しました。