雇用保険の通知で「補佐経験」を証明 亡き夫の建設業許可を継承|全国商工新聞

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 「民商に相談して、亡くなった夫の建設業許可を無事に引き継ぎ、土木工事業を事業承継できてホッとしました」―。晴れやかにこう話すのは、長崎民主商工会(民商)南部支部のMさん=土木工事=です。

長崎民商 Mさん=土木工事

 5月、社長で夫のKさんが亡くなり、妻のMさんが社長となり、事業を存続させることになりました。建設業許可を引き継ぐには「経営業務管理責任者(経管)」や「営業所技術者(旧専任技術者)」の要件を満たす者が必要となるため、民商に相談しながら手続きを進めることに。Mさんは、2級土木施工管理技士(土木)の資格を取得していたため、土木一式工事やとび・土工・コンクリート工事、鋼構造物、塗装などの7業種で、営業所技術者になることができます。しかし、建築工事については「10年以上の実務経験」の要件が満たせず、残念ながら廃業届を出すことにしました。
 問題となったのは、経管の要件でした。この要件を満たすには「5年以上の社長や取締役の経験」もしくは「6年以上、経管を補佐した経験」が必要になります。Mさんには取締役の経験が無かったので、6年以上、経管を補佐した経験を持つことを証明する必要がありましたが、そのことを示す公的書類がなく、手続きは難航するかと思われました。
 しかし、過去にさかのぼって調べてみると、2018年7月に、元請けから求められて雇用保険と社会保険に加入していたことが判明。「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書」の写しを「6年以上の補佐経験」の証明としました。併せて、会社の議事録や組織図、辞令や登記簿謄本などの必要書類をそろえ、長崎県土木部監理課に、代表者、経管、営業所技術者の変更届と、建築工事業の廃業届を6月に提出しました。すると、3週間ほどたった6月26日、建築工事業の「許可取消通知書」が届きました。経管や営業所技術者の変更がどうなったかが判然としなかったので監理課に尋ねると「基本的には、経管や営業所技術者の変更は通知を行わないようになっている」と前置きしつつ「許可取消通知書の発送をもって、同時に変更の手続きは完了している」との回答があり、建設業許可が無事、Mさんに引き継がれたことを確認できました。
 その後、Mさんは7月末が期限の市の入札工事の参加申請も間に合わせることができ、胸をなでおろしました。

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