ハンコ押せば済む話 収受印廃止 納税証明書を求められた、市や育英会が日付印を要求… 余計な負担押し付けるな|全国商工新聞

全国商工新聞

 「国税庁は、収受日付印の押印廃止で、中小業者に余計な負担を押し付けるな」「ハンコを押せば済むことだ」―。各地から参加した業者の怒りが、あふれました。全国商工団体連合会(全商連)は4日、国税庁が1月から廃止を強行した確定申告書控えなどへの収受日付印の押印再開を求め、国会内で同庁に厳しく迫りました。

収受日付印トラブルの実態を告発する千葉民商の鈴木正彦会長=4日、国会内
国税庁に署名を提出する全商連の服部守延・税金対策部長=4日、国会内

 国税庁が収受日付印の押印を廃止したことで、各地の行政機関や銀行、保険会社などから、民主商工会(民商)会員らが、収受日付印が押印された確定申告書控えを求められるケースが続出。行政機関などから、収受日付印が押された書類に代わる納税証明書などを求められ、取り寄せ作業や金銭的負担を強いられる事態も頻発しています。
 国税庁は、押印廃止に際し「納税者に不利益は与えない」「行政機関や金融機関への各種届け出で、収受日付印が無くても受け付けるよう要請した」と説明していましたが、実際は、現場に徹底されていないことが明らかになりました。
 全商連の服部守延・税金対策部長(愛知県商工団体連合会〈県連〉会長)は「収受日付印の押印を再開すれば、不要なトラブルを解消し、申請を受け付ける公的機関などと納税者の負担を軽減ができる」と押印再開を要請。各民商から寄せられた「押印再開を求める請願署名」2890人分を国税庁に手渡しました。
 埼玉、千葉、東京、愛知、兵庫、京都、滋賀の7県連の役員らが参加。各地で起きているトラブルを突き付けました。
 千葉市では、収受日付印が廃止されたことを受け「中小企業者エネルギー価格等高騰対策支援金(第3弾)」の申請に必要な書類として納税証明書の提出が求められるようになりました。千葉民商の鈴木正彦会長は「収受日付印の廃止は、納税証明書を取る新たな負担を中小業者に強いることになる。民商が市に『納税証明書の提出を求めるな』と要請したところ、市は『税務署が配布したリーフレットは信用性に欠き、申請書類として認められない。確定申告書の控えに、税理士の印が押してあるのなら納税証明書は不要』と言ってきた。税理士に頼らず、自主申告をする納税者の権利をないがしろにするものだ」と告発しました。
 「保育所の入所申請の際に、市が『収受日付印のある確定申告書控え』の提出を求めてきた。税務署には、同様の問い合わせが毎日10件ほどあると聞いている」(滋賀)、「今春、大学に進学した子どもの奨学金申請時に、収受日付印のある確定申告書控えを求められた民商会員が、民商独自の提出印を押したものを提出したら、育英会から『それでは駄目』と言われ、『どうしたらいいか』と問い合わせがあった」(京都)などの発言が相次ぎました。

無責任な回答に終始

 国税庁は「税務行政のデジタル化」を口実に、押印廃止を正当化する姿勢に固執。各地でのトラブル事例を顧みず「1年以上前から金融機関などに、収受日付印の押された確定申告書控えなどを求めないように要請してきた」と開き直りました。参加者が指摘した「納税者の不利益」については「必要書類は、あくまでも金融機関側が判断するもの。われわれが『ああしろ、こうしろ』とは言えない」と無責任な回答を繰り返しました。
 参加者から「あまりにも無責任」「納税者の利便を考えれば、収受日付印を押印すれば済むだけ」「行政機関や金融機関、各税務署の職員も迷惑を被っている」などの抗議が相次ぎました。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから