年金は、憲法25条の生存権に基づき、加齢や障害、死亡により所得が途絶えた際、それを保障する制度です。「将来にわたって安定した生活を」という国民要求に応えます。
生活の保障には、物価や賃金の伸びに合わせた年金の増額が必要ですが、自公政権は引き上げを抑制し、この13年間で実質8.6%も公的年金を目減りさせました。多くの中小業者が加入する国民年金(老齢基礎年金)は、満額でも月約6万9千円余りと過少です。
いま40年ぶりの物価高に直面し、年金生活者の暮らしは追い詰められ、現役世代にも老後不安が広がっています。参院で審議中(9日時点)の年金改革法案には、物価高を超える引き上げで年金の目減りを止め、低過ぎる基礎年金を底上げすることが切実に求められました。しかし、「基礎年金の底上げ」は、自民・公明・立民の3党合意で、2029年に制度の在り方を検討すると、先送りされました。
年金の伸び率を物価や賃金の伸び率よりも低く抑え、「年金の目減り」を招く「マクロ経済スライド」も温存されました。今後12年間も実質削減が続き、高齢者も、現役世代も年金が実質10%削減されます。これを廃止し「減らない年金」を実現すべきです。
年金改革法案の国会審議で、マクロ経済スライドの廃止を唯一、主張した日本共産党は、現在290兆円、給付の5年分に相当する年金積立金を活用し、年金を引き上げることを提案。年収1千万円で頭打ちとなる厚生年金保険料の上限を医療保険並みに年収2千万円まで引き上げ、現役労働者の賃金・待遇の抜本改善を図るなど”保険料収入と加入者を増やす”対策を進め、「物価・賃金に応じて引き上がる年金」を保障するとしています。食費や光熱費、医療費など命に関わる費用も削る低年金・無年金者の苦境を救済し、就職氷河期世代の困難を避けることも求められます。
民商・全商連は、全ての国民に国庫負担で月額8万円の最低保障年金制度の創設、国民年金支給額の14万円への引き上げ、社会保険料の中小企業の負担軽減などを要求しています。参院選で、自公政権と一部野党による年金削減を告発し、安心の老後を保障する政治への転換を図りましょう。