年金事務所の社保料徴収 過酷な取り立て改めよ 全商連が厚労省に要請 「丁寧に把握を」|全国商工新聞

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年金事務所による社会保険料の強権的徴収の是正を厚労省に求める参加者たち

 全国商工団体連合会(全商連)は2月5日、各地の年金事務所が行っている社会保険料の強権的徴収の是正を求めて厚生労働省に要請しました。民主商工会(民商)会員らが、事業者の実情を無視した過酷な取り立ての是正を求めました。
 岩手県の参加者は「これまでも厚労省要請で実態を伝えてきたが、年金事務所は『何も聞いていない』の一点張りだ。滞納者の実情に寄り添わず『破産した方がいい』などと暴言を放つ事例もある。社会保険料を納め切れない事業者の実情を丁寧に聞き取り、滞納処分の執行停止を柔軟に認めるべきだ」と訴えました。
 年金事務所と納付相談しながら、滞納解消を進めてきた大阪府の参加者は「売り上げが落ち込んだため、担当者に連絡すると『忙しいから応じられない』と断られ、その1カ月後に差し押さえ予告通知が届いた。事業状況を説明したが、担当者は『完納の見込みが無いから換価の猶予は取り消す』『話すことはない』と怒鳴られた」と告発し、担当者の交代を求めました。
 コロナ禍の影響を受けた沖縄県の参加者は「払える金額での分納計画を示したものの『バカにしているのか』『倒産するか、一括納付するかだ』と迫られた。別の担当者からは『年度末で完納するのが決まり』と無理な金額での分納を迫られた。年金事務所の判断で、年度末までの完納が押し付けられている」と実態を告発しました。
 省側は「年金事務所には、事業者の経営状況を丁寧に把握するよう伝えている。個別の事案については、年金機構を通じて年金事務所へのヒアリングを行う」と回答しました。
 全商連の中山眞常任理事は「コロナ禍の影響から立ち直っていない事業者も多い。『完納を強要しない』『コロナ禍の猶予分の納付は柔軟に対応する』という通知を厚労省は出すべきだ」と強く求めました。
 後日、省側から「大阪の事例について、担当者を交代するよう伝えた」と全商連に連絡がありました。

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