効果は薄い「定額減税」 経済対策には消費税減税こそ|全国商工新聞

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 岸田政権の経済対策として、6月から実施される定額減税。1人当たり4万円(所得税3万円・住民税1万円)を、給与所得者の場合、源泉徴収される税金から差し引くことで「減税」とするものですが、各社世論調査でも「期待しない」「評価せず」が6割を超えています。「減税するなら消費税」の声を大きく広げましょう。

煩わしい実務が強いられ続ける

 給与金額や賞与の有無、扶養家族の人数など従業員一人一人で異なることから、事業主は面倒な実務負担を強いられます。控除額が源泉徴収額を上回り、「引き切れない」ときは、余った減税額を翌月以降に繰り越すことになるため、煩わしい実務を何カ月もやる羽目に。毎月2万円を源泉徴収されているケースで、扶養家族が3人いれば、本人分と合わせて所得税の減税総額は12万円(3万円×4人)です。6月分で引ききれなかった残り10万円は翌月以降に繰り越され、減税が終了するのは11月です。
 住民税分は、定額減税を加味した額が自治体から通知されるので、その額を徴収(納付)します。

消費税減税ならGDPは2倍に

 物価高騰が続く中、所得税減税よりも消費税減税の方が、経済効果が高いことは明らかです。第一生命経済研究所のエコノミストは、消費税減税の方が実質GDPの押し上げ効果は1年目に2倍以上も大きくなると試算(図)。食料品の消費税率を英国などのようにゼロに下げれば、より効果的だと論じています。

 1回限りの定額減税では、物価高に苦しむ中小業者は救われません。国保料や社会保険料などの引き上げ、ミサイルや戦闘機などを購入して敵基地攻撃を可能にする「防衛増税」など、国民への負担増が待ち構えています。
 軍拡大増税、社会保障費削減をやめさせるとともに、物価を引き下げる効果があり、個人消費拡大の起爆剤ともなる消費税減税こそ必要です。

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