家計にのしかかる教育費 「権利としての無償化」進めよ|全国商工新聞

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 新年度、進級・進学の季節を迎えました。「子育てにお金がかかりすぎる」「親の経済状態で進路を狭めたくない」。子育て世代にとって、教育費負担の軽減は切実な願いです。特に、大学などの高等教育における教育費は多くの家庭で家計に重くのしかかり、生活費を削って捻出するほどです。
 日本政策金融公庫によると入学金や授業料、通学の交通費や教材費などにかかる4年間の費用総額は、国公立大学で平均481万円、私立文系で同690万円、同じく理系で同822万円です。奨学金の受給率は49・6%で、大学生の2人に1人が利用しています(2020年)。
 学生でつくる「高等教育無償化プロジェクト(通称”FREE”」が昨年12月から実施している「学費・奨学金に関する実態調査」では、物価高騰で私立大学や国立大学の一部で学費値上げが続く中、「学費が負担になっている」と6割が答え、半数近くがアルバイトのために学業や睡眠の時間が削られると回答。高学費が学生の意欲や可能性をつぶしていることを浮き彫りにしました。
 国による給付奨学金や授業料等の減免もありますが、現行制度は、年収が約270万円未満の住民税非課税世帯に限られています。
 政府は「異次元の少子化対策」の一環として25年度から「多子世帯の学費無償化」を打ち出しましたが、子どもが3人以上同時に扶養家族である世帯という、あまりにも狭い政策です。FREEも「子どもの数といった要件を課さない、すべての人に対する学費無償化」を求めています。
 いま自治体で広がっている、小学校・中学校の給食費無償化を国が全国一律で実施するとともに、学費を値下げし、無償化に進むのかどうかが問われています。
 軍事費の2倍化に突き進む岸田政権が「安保3文書」の閣議決定後に増やした軍拡費用の2兆5千億円で、学校給食の無償化や高校授業料の完全無償化、大学・専門学校の入学金廃止と学費半減を実現できるとの試算もあります。
 憲法が保障する教育の機会均等を実現するために、国の責任で「権利としての教育無償化」を求める運動を前進させましょう。

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