「業者が正当に評価される社会へ」 全商連事務局長・岡崎民人に聞く 今年の民商・全商連運動|全国商工新聞

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 営業努力を上回る物価・エネルギー価格の高騰が、中小業者の経営と暮らしを圧迫しています。しかし、岸田政権は、裏金疑惑で底なしの金権腐敗政治を露呈する一方で、国民の声を無視して、消費税インボイス(適格請求書)制度導入を強行し、大増税・大軍拡に突き進んでいます。2024年は、暮らしや商売を守る政治に大きく転換させなければなりません。岡崎民人全商連事務局長に聞きました。

経営に強い民商を追求

 ― 元日の能登半島地震で甚大な被害が発生しました。諸物価の高騰から、経営を守る運動も切実です。

 能登半島地震の被災者の皆さんにお見舞い申し上げます。全商連は、被災県連と協力して救援活動を行い、支援募金を全国に訴えています。こんな時こそ、結び付きを大切にし、励まし合う「世直し、人助け」の民商・全商連を大きく発展させたいと思います。
 「集まって、話し合い、相談し、助け合う」活動こそ民商運動の原点です。身近に集まり、経営を学習・交流する取り組みを増やし、知恵と工夫で活路を開きます。経営に強く、業者青年やフリーランスに魅力ある、民商建設を追求します。
 全自治体要請に取り組んで10年目を迎えます。政策提案を継続し、「地方創生臨時交付金・重点支援地方交付金」の増額も活用して、役に立ち、使い勝手の良い支援策を創設・拡充させましょう。
 コロナ特別貸付の返済開始や税金、国民健康保険(国保)、社会保険料の納付猶予の打ち切りで金融・経営相談が切実です。金利・保証料の自己負担なしで借り換えと新規融資を可能にするなど、使い勝手の良い制度や返済免除の実施を迫り、資金繰りに生かします。
 全国中小業者団体連絡会(全中連)が呼び掛け、2月7日に東京・砂防会館で「インボイス廃止、消費税減税、保険証残せ、大軍拡を進める岸田政権打倒」を掲げる集会、省庁・国会議員要請が行われます。要求と署名を持って全国から参加し、成功させます。

自主申告に磨きをかけ

 ― インボイス廃止・消費税減税、納税者の権利を求める声が広がっています。国民の税金への関心が高まり、昨年末の世相を表す漢字は「税」が選ばれました。

 インボイスの実施から4カ月目に入り、免税事業者への値引きや取引排除、煩雑な実務に怒りと不安が渦巻いています。インボイス登録し、今年初めて消費税申告する126万の自営業者・フリーランスの相談に向き合います。
 民商では、「ガソリン税凍結、消費税減税、インボイス制度廃止を求める」請願署名に取り組んでいます。消費税減税こそ最大の景気対策です。世界108の国・地域で消費税(付加価値税)を引き下げており、日本でできないはずがありません。
 「税金の在り方と使い道」の是正が急務です。富裕層や大企業を優遇する不公平な税制を正せば、消費税に頼らずとも、営業や暮らし、社会保障などの財源は十分確保できます。
 4月施行の税務相談停止命令制度は、脱税や不正還付の指南を罰するもので、民商・全商連の「自主計算・自主申告」とは無縁です。自主計算パンフを積極的に活用し、税金相談員を増やして、納税者本人が所得と税額を決めて申告書を書き上げる自主申告に磨きをかけます。
 55回目を迎える3・13重税反対全国統一行動は、自主申告運動への弾圧をはね返すとともに、地域の広範な団体との連携を強める一大決起の場にします。法人申告の会員を含め、全ての会員と家族に呼び掛け、成功させましょう。
 10年目を迎える倉敷民商弾圧事件の禰屋裁判差し戻し審への支援を強めます。
 全商連は昨年、先進国が当然、備えるべき制度として「納税者の権利憲章」(第3次案)を発表しました。業者団体・個人との懇談を広げましょう。

国民が主人公の政治に

 ― 「平和でこそ商売繁盛」、悪政を終わらせ、国民が主人公の政治にしたいですね。

 ロシアやイスラエルによる国際法違反の軍事侵略など、戦争・紛争が相次ぐ中、即時停戦を求める国際世論が高まっています。日本政府は、憲法9条を生かした平和の国際秩序の実現に役割を発揮すべきです。核兵器禁止条約は、署名が93、批准が69の国と地域に広がっています。唯一の戦争被爆国である日本こそ、直ちに批准すべきです。
 岸田内閣の支持率が続落しています。大きな要因は、パーティー券による裏金作りに見られる「政治とカネ」をめぐる腐敗です。同時に、物価高に対する無策や8兆円近い大軍拡、辺野古新基地建設の強行、憲法改悪、原発回帰、個人番号カード一本化に伴う従来の健康保険証の廃止など、政権全体に対する批判が広がっています。国民に負担を押し付け、国を危うくする政策を、不信任を突き付けられているような政権が強行することなど許されません。
 内政でも、外交でも行き詰まる今の政治そのものを終わらせることが必要です。解散・総選挙に追い込み、アメリカ言いなりで財界中心の政治を、国民・中小業者が主人公の政治へと転換させましょう。

55回総会時現勢突破で

 ― 第56回定期総会(5月、東京都内)の年、仲間づくりと、共済会・婦人部・青年部の活動も期待されますね。

 中小業者の要求実現には、道理を掲げ、団結を強め、国民共同を推進する民商・全商連が大きくなることです。地域にどんな民商をつくるのか、展望を語り合いましょう。
 「困った時には力になる」のが民商です。身近な班・支部づくりや商工新聞中心の活動で、担い手を増やし、成果や実績、温かい仲間がいる民商を、地域の中小業者に知らせましょう。
 「自営業・小企業・フリーランスも相談は民商へ」と宣伝し、全ての組織が来たる第56回総会を、商工新聞読者と会員の55回総会時現勢の突破で迎えることを呼び掛けます。
 家族一人一人の思いや要求を大切にするのが民商運動です。今年、全商連共済会が40周年を、婦人部協議会が50周年を迎えます。共済会は、「助ける喜びと助けられる喜び」を分かち合い、いのちと健康を守る助け合いを広げます。婦人部は、所得税法第56条廃止、ジェンダー平等への理解を広げます。青年部は、業者青年実態調査結果を国・自治体への要請に生かし、経営意欲を高め合います。
 中小業者の役割が正当に評価される社会の実現をめざし、明るい展望を切り開きましょう。

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