インボイスは廃止に 導入1カ月で実害続出 STOP!インボイス(フリーランスの会)|全国商工新聞

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 STOP!インボイス(インボイス制度を考えるフリーランスの会)は13日、国会内で記者会見し、「インボイス制度開始1カ月緊急意識調査」の結果を公表。調査結果を踏まえ、「制度開始1カ月の実害を踏まえたインボイス制度の運用停止・中止・廃止を求める」要請書を財務省、国税庁、公正取引委員会、中小企業庁に提出しました。

「免税事業者への迫害」緊急意識調査2868件を公表

調査結果を発表する小泉なつみさん(右端)

 調査は10月20日から31日までの11日間、オンラインで実施。フリーランスや会社員、経営者などから2868件の回答が寄せられました。
 回答者(会社員を含む)の約7割が「事業・仕事の見通しは悪い」「廃業を検討」「退職・異動を検討」と回答。インボイス(適格請求書)制度によってマイナスの影響を受けています。
 取引先からインボイスの登録をしなければ、「仕事をもらえないと言われた」「報酬を値下げすると言われた」は、各1割超。未登録を理由に、一方的な取引排除が行われた事例は200件以上に上りました。「免税事業者は使わない」とする社内の”お達し”により、取引が静かに消えていく「サイレント取引排除」が多発している状況も浮かび上がりました。
 免税事業者に対して消費税分の値引きが強要される中、「着服、ネコババ」「脱税の手伝いはできないから、ちゃんとしろ」など、誹謗中傷が発生していることが報告されました。
 インボイス制度によって、2人に1人が「経理事務負担」を実感。「社内外への説明や交渉などの業務負担が増えた」(35 .7%)、「消費税の負担増や値引きによって手取りが減る」(34 .5%)との回答も目立ち、新たな事務と消費税の負担が、フリーランスや中小業者、経理担当者を襲っています。
 STOP!インボイス発起人の小泉なつみさんは「インボイス制度の開始以降、免税事業者に対する迫害とも言える状況が起こっている。”登録して課税事業者になるも地獄、免税事業者にとどまるも地獄”だ」と告発。「公正取引委員会などによる独占禁止法違反の取り締まりが機能していない実態も、あらわになった。現実の商取引や経理の実務にそぐわないインボイス制度は、運用停止や中止・廃止を含め、見直しが必要だ」と訴えました。

運用停止・中止・廃止を財務、国税、公取、中企に要請

各省庁に要請書を提出する「STOP!インボイス」のメンバーら

 STOP!インボイスの要請書は、緊急意識調査に寄せられた不安や実害を①不景気・物価高の中での”インボイス増税”②免税事業者に対する一方的な値下げ、取引排除の横行③インボイス未登録事業者への差別・バッシング④過重な事務負担で疲弊する現場⑤自由な商取引の阻害⑥税務のプロの誤った指導と理解不足、相談窓口不足―に整理。「六つの問題点を是正できない限り、インボイス制度の当面の運用停止・中止・廃止を」と求めています。
 要請では、声優の甲斐田裕子さんが、寄せられた手紙を代読。「(インボイス制度で)納税額が利益を上回り、廃業以外の選択肢はなかった。プロが安全性と味を追求した作物が消えていく。インボイス制度はお金だけの話ではなく、国民の健康にも深く関わるものだ」(茨城県の農家)、「常連の客から『インボイスを出せないなら10%値引きしろ』と求められた。コロナが終わり、お客さんが戻ると思った矢先に物価高。そしてインボイスが始まった。インボイス制度で良かったと思ったことは一度もない」(都内の飲食業者)と紹介しました。
 参加したフリーランスや税理士、国会議員らは「インボイス制度は現実の商取引や経理の実務にそぐわない」「公正取引員会やインボイスコールセンターなどの相談窓口は機能していない」と口々に告発しました。
 インボイス制度の中止を求める税理士の会の湖東京至税理士は「これまでの帳簿方式で悪いところは、どこにもない。インボイスを導入したから、現場が大混乱している。インボイス制度は早くやめるに越したことはない」と訴えました。

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