不公平な税制をただす会 応能負担、平和主義の税制を試算 51兆円の財源が生まれる|全国商工新聞

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不公平な税制をただす会共同代表・税理士 菅隆徳さん

 岸田政権は財源問題で袋小路に陥っています。軍備増強5年間で43兆円、少子化対策3年間で3・5兆円と打ち出しましたが、安定財源を示せず、先送りばかり。それどころか歳出改革(社会保障の切り下げ)や保険料の引き上げを言っています。国民生活を犠牲にして大軍拡をやろうというのでしょうか。

アメリカの戦争の肩代わりを許さず

 本当に軍備増強が必要なのでしょうか。軍拡競争は脅威をあおり、戦争につながります。アメリカも中国も莫大な損害を発生させる戦争を望んでいないのです。だから平和の準備は外交です。アメリカは日本に軍備や戦争の肩代わりをさせようとしているのです。
 消費税が導入されてから34年。法人税率と所得税率は引き下げられ、消費税は3%から10%へ大増税。法人の内部留保(ため込んだ利益)は消費税導入の1989年には116兆円だったものが2021年には516兆円に。個人の金融資産は同じく926兆円から2023兆円に、いずれも激増(6月9日、政府の国会答弁)。不公平な税制が横行したために、格差は広がり、景気は悪くなったのです。
 昨年8月20日付の日本経済新聞はソフトバンクG(株)が1兆4538億円の利益を上げながら、法人税を1円も払っていなかったと報じました。大企業優遇税制があるためです。89年の法人所得金額は46兆円でしたが、21年には99兆円へと倍増。ところが同じ年の法人税収は19兆円から14兆円に逆に減っています。なぜなのか。①法人税率の引き下げ②大企業優遇税制③法人税が累進税率(能力に応じた負担)になっていない―ためです。
 所得税の「1億円の壁」が問題になりました。株や配当の優遇税制があるために、所得1億円を超えると、大資産家ほど税負担率が低くなるのです。税金は能力に応じて負担するものです。所得税の優遇税制は廃止して、能力に応じた負担になるよう所得税の累進性を以前のように高めるべきです。

大企業や富裕層に応能負担を求める

 平和を守り、社会保障を充実させるためには、軍拡をやめ、大企業や富裕層に応分の負担が必要です。
 それを具体化し、税制改革として提案したのが、今回の財源試算です。
 応能負担原則に基づく税制改革です。つまり、各種の所得金額を合計して所得金額に応じた税率を適用し税額を計算するというものです(総合累進所得課税制度)。
 ①法人税については、大企業優遇税制を廃止して、法人税に所得税並みの累進税率を導入する。大企業は増税になりますが、中小企業は減税になります。
 ②所得税については、富裕層優遇税制を無くし、累進税率を以前のように高める。
 この税制改革によって、合計51兆7689億円の財源が生まれます。23年度予算の消費税の税収23兆3840億円が無くても十分な財源があるのです(図)。

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