軍拡を進める二つの法案 平和憲法守れの運動強め阻止を|全国商工新聞

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 岸田文雄政権が昨年末に決定した「安保3文書」に基づく大軍拡への二つの重要法案が国会で審議されています。
 一つは「軍拡財源確保法案」です。3文書では、敵基地攻撃能力の保有など、今後5年間の軍事費総額を43兆円と見積もり、14・6兆円の新たな財源が必要とし、①税外収入で4・6兆~5兆円強②決算剰余金の活用で3・5兆円③歳出改革で3兆円強④残りを税制措置(増税)で賄う方針です。
 ①の税外収入4・6兆円は「コロナ予算による積立金や基金の国庫返納」などで確保。国庫返納には、国立病院機構や地域医療機能推進機構の積立金のほか、中小企業向けの「ゼロゼロ融資(無利子・無担保)」の基金残金2350億円が含まれ、「コロナ禍での資金繰りや物価高で苦しむ中小業者にこそ使え」と怒りの声が上がっています。④の税制措置は、2023年度「税制改正大綱」で、法人税やたばこ税の増税のほか、東日本大震災の復興財源である復興特別所得税の約半分を流用し、課税期間を延長。段階的に実施し、27年度には1兆円強を確保する大増税です。
 もう一つの法案は「軍需産業支援法案」で、「武器輸出」の円滑化や製造施設の国有化のための措置などを盛り込んでいます。「武器輸出」で自民党は、現状では原則禁止である殺傷力のある兵器の輸出解禁を狙っています。製造施設の国有化では、事業の継続が困難になった企業の製造施設を政府が保有し、他の企業などに管理・運営させることを可能にし、戦前・戦中の国営軍需工場の復活につながります。また、戦後初めて施設整備費と艦船建造費の計4343億円を建設国債の対象に。かつて大量の国債発行が侵略戦争拡大につながった歴史の教訓に背くものです。
 ウクライナ侵略や台湾有事などで危機をあおり、「戦争する国づくり」へ突き進む岸田政権の大軍拡を許せば、大増税や暮らし関連予算の大幅削減につながることは必至です。全国商工団体連合会も参加する憲法共同センターは、「平和、いのち、くらしを壊す大軍拡、大増税に反対する請願署名」に取り組んでいます。平和憲法守れの運動とともに、平和を願う広範な市民に呼び掛け、大軍拡・大増税を阻止しましょう。

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