医療費2割「重い」81% 民医連 75歳以上アンケート|全国商工新聞

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2割化アンケートを公表した記者会見

 「医療費を削るか、生活を切り詰めるしかない」「長生きすることが悪いかのよう」―。岸田文雄内閣が昨年10月に実施した医療費2割化にあえぐ高齢者の声が浮き彫りになりました。全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)は3月20日、厚生労働省内で記者会見し、「75歳以上医療費2割化実施後アンケート調査」の結果を発表しました。
 アンケートは、医療費負担が1割から2割に引き上がった75歳以上の高齢者を対象に昨年12月から今年2月まで実施。寄せられた回答(1万5368件)のうち、2割になった7615件の結果を分析したものです。
 2割後の負担感を「とても重い」「重い」と回答した人は合計で81%。「生活費全体の中で節約している」「家計全体にとって重い」と声が寄せられました。
 受診動向の変化を見ると、約8割が「今まで通り受診する」と回答したものの、「預金を切り崩して」(18%)、「光熱費を削って」(15%)、「食費を削って」(13%)受診すると回答。「病気で通っているため、回数を減らすことなどはできない」などの声が寄せられました。
 2割負担化で「受診をためらうようになった」との回答は14%となりました。「負担増ラインぎりぎりなので、とても重く、受診回数を減らすつもり」などの声が寄せられています。
 政府は、2割負担になった人に対し、3年間に限り、1カ月の負担増額を3千円までに抑えるとする「激変緩和措置」を設けています。しかし、アンケートではこの「激変緩和措置」を知らない人が51%に達しました。
 全日本民医連の岸本啓介事務局長は「負担増によって定期受診や投薬を控えるということは、多くの基礎疾患や慢性的な病気を抱える高齢者にとって相当程度の病状の悪化を引き起こす可能性がある」と指摘。「緊急に、負担を最低でも元に戻すことが必要だ」と強調しました。

寄せられた主な声(抜粋)

〈あまりに重過ぎる負担〉
●…一回の支払い金額を、2カ月に分割でカードで支払っている。
●…2割負担になり、生活に影響がないということはない。生活費全体の中で節約することになる。
●…家計全体にとって重いし、他を削るしかない。
●…医療費が急に高くなった。とりわけ薬代が高く感じる。1回で1万円を超えている。

〈受診控え、医療費を減らす〉
●…負担が重いのでリハビリなどのサービスを減らそうと考えている。
●…負担増のラインぎりぎり。とても重く受診の回数を減らすつもりだ。
●…受診を控える方向になり、結果、手遅れになる可能性が大となる。

〈医療の費用は減らせない〉
●…受診せざるを得ない。お金よりも命が優先。
●…病気で通っているため、回数を減らす事などはできない。
●…受診回数とか薬を減らすことは絶対不可能だ。
●…必要な治療・薬なので受診しなければならない。負担が増えるのは苦しいが、生きるために必要なので、他を削ってでもと思う。

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