コロナ感染症「5類」へ引き下げ 今こそ医療拡充や業者支援策を|全国商工新聞

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 岸田政権は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げることを1月27日に決めました。
 審議に参加した委員や現場の医療従事者からは、「なんのために5類にするのか、目的が分からない」「ウイルスの特性が変わらないのに、類型変更で特別な医療体制でなくなる方が、病院機能がまひしてしまう」「医療費の一部自己負担では、抗ウイルス薬の投与は1回3万円となり、受診控えで、重症化が出るのでは」「1年に3回も流行が起こり、医療提供体制が逼迫する疾患は5類に当てはまらないのでは」など、懸念の声が上がっています。
 これまでで一番の感染力といわれているオミクロン株「XBB・1・5」が広がり、1カ月のコロナ感染死者数が、初めて1万人を超えた(1月28日)時期の発表に加え、国会の場での説明もない中での今回の決定に、多くの国民が戸惑っています。
 一方、WHO(世界保健機構)のテドロス事務局長は30日、新型コロナについて、「健康や医療体制に大きな被害をもたらし得る危険な感染症」とし、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を継続する」と表明しました。
 全国商工団体連合会(全商連)は、コロナは災害と同じと位置付け、「誰一人取り残さない」立場での活動を展開してきました。先に発表した「国保提言2022」は、コロナ禍で浮き彫りとなった、脆弱な医療体制の実態を明らかにすると同時に、「国保は社会保障」という視点からの運動で、国保の傷病手当(被用者)やコロナ特例減免制度の創設につなげたことを紹介しています。
 コロナ5類化への引き下げは、医療現場の実態を見ていないことに加え、新型コロナ医療への公的な財政措置をやめることを宣言したようなものです。今必要なのは「類型の変更」ではなく、コロナ禍の教訓を生かした医療提供体制の拡充や、コロナ禍と資材高騰、過剰債務に苦しむ中小業者の営業を支援することです。
 受療権の確立、暮らしと営業を守れの声を大きく広げ、統一地方選挙(3~4月)で、国保など医療制度の改善を訴え、一大争点に押し上げましょう。

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