廃棄物を活用し、SDGsに貢献 バナナ名刺を推奨|全国商工新聞

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バナナ名刺を手にする古川さん
フェアトレードに配慮したバナナペーパーで作られたバナナ名刺

 持続可能な開発目標(SDGs)の「12つくる責任 かう責任」。環境問題の解決に、商売を通じて貢献する事業者が増えています。「微力だが、環境負荷のより少ないものを顧客に薦めたい」と話すのは、佐賀民主商工会(民商)会長で、全商連理事の古川勝矢さん。創業100年を超す「古川正文堂印刷」を営み、環境に配慮した「バナナ名刺」を広げています。
 その名の通り、バナナの茎から作られた環境に優しい紙「バナナペーパー」を使った名刺です。収穫時に根元から切り倒し、ゴミとして大量に廃棄される茎の繊維を、薬品を一切使わない製法で紙の原料となるパルプにし、古紙を74%混ぜて作ります(別項)。
 紙を大量に使う仕事柄、環境問題に危機感を募らせていた10年ほど前、フェアトレード製品「バナナ名刺」に出会いました。コンセプトに共感し、取引先の紙業者が扱っていたこともあり、早速導入しました。名刺を作るお客に「商売にフェアトレードの視点を加えてみては」とお薦めしています。
 「100枚入りで1200円と少し高いけれど、紙がしっかりしていて、色もオフホワイトで優しい。微力中の微力かもしれないけど、薦めて使ってもらえることで、環境破壊ストップに協力できたら」
 妻の祖父が始めた古川正文堂印刷は1913(大正2)年創業で、110年を迎えます。「環境問題が深刻化すれば、代々継いできた商売も続けられなくなる。未来のためにも、自分にできることはしていかないと」。孫とのジョギングで、街中のゴミ拾いをするのも日課です。

▽環境負荷の少ない「バナナペーパー」

①廃棄物の有効活用
廃棄されるオーガニックバナナの茎から繊維を取り出し、日本の和紙の技術を用いて生産。茎は1年以内に再生し、環境負荷が少ない上質な原料。

②森、野生動物、生物多様性を守る
木を切る必要がないため、森林保護や絶滅危惧種を含む、野生動物の生息地を守ることにつながる。

③貧困の解決につながる
生産地ザンビアの平均寿命は55歳と短く、その原因の一つが貧困。バナナペーパーの生産で、雇用を生むことができる。

④子どもや女性の教育を支える
売り上げの一部を教育支援に充て、女性や子どもの就学・教育を支える。

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