確定申告のワンポイントアドバイス(3)節税のアドバイス|全国商工新聞

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 私たちは、申告納税制度によって、所得金額や納税額を自ら決定することができます。余計な税金を払いたくないのは、個人事業主から大企業まで同じです。今回は、納税額を少しでも減らすための節税について解説します。
 確定申告は所得計算や各種控除など、幾つかの過程を経て所得税額を計算しますが、ここでは事業所得の経費について触れます。
 皆さんが特に興味があるのは、「どのような支出が事業経費になるのか」ではないでしょうか。大変重要な論点です。家事費(事業とは関係のない生活費等の支出)は経費にならないというのはご存じかと思います。(本連載7回目で詳しく解説)。これを事業経費面から言い換えると、①家事費でない②事業に関連する―支出は経費と認められるということになります。
 例えば、パソコン代や書籍代、自宅の一部を事務所にしている場合、携帯電話料金なども事業に使用していれば経費になります。冒頭の通り、所得金額や納税額を決定するのは納税者自身ですから、税務署に「事業のために必要だ」と主張できるものは、事業経費になると考えてよいでしょう。
 時折、「支出した経費が事業に利用されたことを納税者が証明しなければならない」という解説もありますが、これは明確に間違っています。皆さんが確定申告で経費としたものを税務署が認めないという場合には、「事業に関係ない」ことを税務署側が証明しなければなりません。この点は誤認・誤解されがちですが、非常に重要なポイントですので覚えておいてください。
 少し特殊ですが、例えば翌年1月分の家賃の支払いを行っている場合は、本来は来年分の支出に当たりますが、「短期前払費用」の特例として、本年分の経費とすることが可能です。短期前払費用の特例利用には、①継続的な役務の提供②支払いが終わっている―などの要件がありますが、多くの納税者が適用できるので知っておくとよいでしょう。
 最後に、漏れてしまうことが多い経費について。「打ち合わせの時の食事代を割り勘したため領収書がない」「自動販売機で買った飲料水代」「ICカードで支払った交通費」などがよく漏れているように感じます。例えば、建築現場で1本150円のペットボトル飲料×1日3本×月20日としても、年間10万円以上の経費が認められます。領収書やレシートを紛失したり、文字が消えてしまった場合でも、支出した事実は存在していますので、支出内容を伝票や帳面などに記録しておけば、経費として計上して差し支えないでしょう。


 >> 確定申告のワンポイントアドバイス(4)白色申告と青色申告

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