自分の商売を仲間と分析 学び合い、経営意欲向上へ 全商連 経営対策交流会|全国商工新聞

全国商工新聞

「事業計画の重要性が分かった」「補助金活用に挑戦したい」など感想が寄せられた全商連の経営対策交流会

 全国商工団体連合会(全商連)は11月11日と17日、「経営対策交流会」を2回にわたってオンラインで開催。全国延べ310カ所で視聴され、各地の実践事例などを学び、「事業計画の重要性が分かった」「補助金活用に挑戦したい」など前向きな感想が寄せられました。

SWOT分析で課題を明らかに

報告する菅原さん

 1回目(11日)は「経営対策のポイント」として、民主商工会(民商)会員3人が報告。
 岩手・一関民商の菅原郁子さん=カフェレストラン=は開業3年目で売り上げは伸びていたものの、運転資金が残らないことを民商に相談。仲間と一緒に「SWOT分析」を行い、料理メニューの質を保ちつつ、「国と一関市の補助金計100万円を獲得し、『一関産野菜のカタラーナ』(スイーツ)を開発した」ことで、自治体・メディアからも注目を集め、利益率を向上させた経験を披露。
 兵庫民商の城谷隆司さん=樹脂加工=は、新型コロナのエクモ(呼吸器)装着の際に患者がせき込んで飛沫がかかるのを防ぐアクリル製のボックスを試作し、病院へ届けて活用が進んだ事例を紹介。「困ったを良かったに」をモットーに、地域の困り事から需要をつかむ経営努力を語りました。
 新潟・三条民商の佐藤豊さん=建築=は、市長交代を機に今年度から創設された「三条市すまい快適断熱リフォーム補助金」を活用。ペアガラスに交換するなどの断熱リフォームで「施工費用の1割が還元される」ことが喜ばれ、「顧客のニーズに応え、誠実に仕事に向き合う中で、施工依頼が増えている」と報告しました。

スイーツを誕生させた経緯を説明した、一関民商の菅原郁子さんのスライド

異業種交流など自己認識深める

 2回目(17日)は「民商の経営対策の実践」として、3民商が報告しました。
 長野・上伊那民商副会長の有坂ちひろさん=カフェ・カイロプラクティック=は「業者青年を中心とした異業種交流」を報告。「“厳しい指摘を受け止められないなら、経営はできない”と何でも言い合える仲間づくりを進めてきた」と語り、「部員のお仕事訪問と座学」で経営への理解を深め、経営セミナーや商工フェアの開催につなげてきました。
 三重・伊賀上野名張民商の杉本秀逸事務局長は、小規模事業者持続化補助金に「コロナ対応の特別枠」が創設されたことを機に、申請相談に着手。学習会で「参加者が互いの事業計画を見せ、指摘し合うことで自分の商売を客観的に分析でき、経営への自己認識が深まった」と話しました。
 大阪・茨木民商副会長の岡野行雄さん=アパレル企画=は、役員を中心にした異業種交流会の取り組みを紹介。申告相談にしか来なかった若手会員が「民商ってこういうこともできるんですね」と参加が広がり、「商売について①大事にしているポイント②現在の課題・悩み③3年後の商売の目標を出し合い交流した」と運営の工夫を披露しました。
 第一経営相談所・コンサルティング室の弥永巧児さん(1回目)と、京都府商工団体連合会(京商連)前事務局長の池田靖さん(2回目)が講演。弥永さんは、最低賃金、円安、原材料の高騰など、中小業者を取り巻く環境要因を解説。実践報告の内容から、どのような好循環を生み出して商売を伸ばしているかに触れ、経営環境に見合う、科学的な分析に基づいた事業計画などの重要性を指摘しました。
 池田さんは、コロナ禍と物価・原材料高騰、過剰債務の三重苦がのしかかる経営・金融情勢を確認した上で、資金繰り対策を実践的に紹介。資金獲得のポイントとして、自主計算を基本にした事業計画作りや融資交渉への臨み方を解説。経営対策と経営環境改善の運動を、民商として進める必要性を語りました。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから