岸田政権の大軍拡路線 平和の再構築へ運動を強めよう|全国商工新聞

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 岸田自公政権は、ロシアのウクライナ侵略に乗じて、中国などへの対抗をあらわにするなど、軍事力の抜本的な強化を掲げています。この政治姿勢を反映し、防衛省の2023年度予算の概算要求は、過去最大の5兆5947億円となりました。加えて金額を示さない「事項要求」が異例の100件超です。「事項要求」の額は「国家安全保障戦略」「防衛計画大綱」「中期防衛力整備計画」の改定を踏まえて決められますが、最終的に、軍事費は6兆円台半ばになる見込みで、22年度を1兆円規模で上回る大軍拡です。
 その中身も大問題です。「敵基地攻撃能力の保有」は既定事実とされています。地上発射や戦闘機搭載の長射程ミサイルの早期配備・量産化、極超音速誘導弾の研究、攻撃型無人機の整備などが狙われています。司令部の地下化や航空基地の防護などにも言及され、日本の国土が戦場となることも想定されています。
 9月末には省庁横断で、防衛省以外が所管する宇宙・サイバー対策や国連平和維持活動を念頭に置いた「国防関連費」の創設が検討されていると報じられました。戦後かつてない大軍拡路線が敷かれ、暮らしや生業を押しつぶす予算編成を許さず、広く告発する運動が求められています。
 今日、日本政府に求められるのは、軍事対応優先ではなく、日本国憲法と国連憲章に基づいて、平和的手段による問題解決に徹することです。
 中国との関係も、50年前の国交回復の際に交わされた「日中共同声明」に立ち返ることです。台湾問題も挑発と威嚇の応酬をやめ、「すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えない」ことを再確認するべきです。また、中国の覇権主義的な海洋進出・領有権の主張や尖閣諸島の紛争も、軍事緊張や軍拡競争を避け、国際法を基準としてお互いの主張に耳を傾ける姿勢が求められます。日本によるかつての侵略戦争の歴史修正を許さず、日本の戦争責任の反省を改めて示して、日本、中国、アメリカを含む「対話と協力」の包括的な関係強化を図るべきです。
 憲法理念で「税金の使い道」をただし、平和の再構築へ、政治の流れを変える世論と運動を広げましょう。

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