デニーさんで「平和で豊かな沖縄」へ|全国商工新聞

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県知事選挙:8月25日告示、9月11日投票
玉城デニー知事に聞く
新基地建設ストップ 中小業者支援拡充を

 「平和で豊かな沖縄をめざし、力を合わせましょう!」―。翁長雄志前知事の遺志を継ぎ、4年前に初当選した玉城デニーさん。9月11日投開票の沖縄県知事選で、2期目に挑戦します。選挙戦では、名護市辺野古の米軍新基地建設の是非や経済発展の方向性などが問われます。沖縄県商工団体連合会(県連)と県内の民主商工会(民商)は7月24日、デニー知事に推薦書を手交、必勝を誓って奮闘しています。デニー知事に抱負を聞きました。

たまき・デニー
 1959年、与那城村(現うるま市)生まれ。与那城小、与勝第二中、前原高校、上智社会福祉専門学校卒。沖縄市議、衆院議員(沖縄3区)を経て、2018年、故・翁長雄志前知事の後継者として知事選に立候補し、当選

 ―知事は5月7日、「平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書」を発表しました。立候補の決意をお聞かせください。
 推薦書を頂き、本当に力強いご支援を賜りまして、ありがとうございます。1期4年、県民の暮らしの向上、中小業者の生業を支えるため、頑張ってきました。

コロナ対策を強化し

 首里城の火災・消失、豚熱のまん延に続き、新型コロナウイルスが国内・県内でも広がり、2年余りの間、経済、医療、福祉、教育などで、非常に大きな影響を被りました。医療の現場の方々には、昼夜分かたぬ対応をしていただき、また、PCR無料検査、介護施設への医療支援チームの派遣など、「沖縄ならでは」との評価もあります。
 観光関連産業の裾野が広い沖縄では、利子補給金などでの県予算の上乗せもしてきました。先が見えない中で、さらなる感染拡大を食い止めるため、全県一体となって対応しています。
 地方創生臨時交付金の機動的かつ柔軟な拡充を政府に求めています。
 「本当に支えられている」という実感が広がっていくように、しっかり対策を進めたい。

平和こそ地域の発展に

辺野古新基地建設中止や中小業者支援などを要求する「推薦書」を手渡し、玉城デニー知事に要請した沖縄県商工団体連合会などの役員ら

 ―知事は「基地のない平和で豊かな沖縄」を掲げています。他の候補者の方と比べ、対照的ですね。
 沖縄県は今年、復帰50年を迎えました。復帰後生まれが人口の半数を超え、世代交代が着実に進んでいます。若い世代では、すでに生まれた時に米軍基地があり、知らぬ間に「やむを得ない慣れ」を感じていることもあるでしょう。
 「基地のない平和な島・沖縄」をめざすことは、50年前の復帰当時の屋良(朝苗主席=当時)建議書にも思いが込められていました。新たな建議書でも、「平和な島をめざす」ことを確認しています。
 「基地が無くても、いや、基地が無いからこそ、順調に経済が発展する」―。若い世代の皆さんにも、十分イメージしていただけるよう訴えていきます。
 戦争は、人々や世界、社会にとって有益なものを何一つ生みません。ウクライナの状況を見ても、明らかです。77年前の沖縄戦で悲惨な被害を被った沖縄県民の立場から見ると、恒久平和、平和の実現そのものが世界の発展、地域の発展にもつながっていきます。
 その最たる象徴は、当然、辺野古新基地です。
 政府は、「辺野古移設が唯一の解決策」と繰り返しています。しかし、基地の建設完了まで、どれくらい時間がかかるのか。膨大な予算と技術的にも困難な軟弱地盤の改良工事があり、「基地の完成」は、おそらく政府も十分見通せていないのが事実でしょう。
 一方、今すぐ普天間基地が返ってくる状況にはない。辺野古の新基地建設にかかわらず、普天間基地の一日も早い危険性の除去こそ、最優先すべきです。
 「対話による解決策を求めていく」という私の姿勢を、しっかりと国に伝えていきます。沖縄の米軍基地問題は、日本国民全てに共通する課題です。日米地位協定は、国民全ての方々に打ち込まれた「見えないくさび」です。ひとたび事件・事故があると、日本の法律が適用されず、警察も消防も対応できない。そういう情報も発信し、「なぜ、沖縄は平和の島をめざすのか」「なぜ、国民の皆さんに理解していただきたいのか」を訴えます。

返還で経済成長実証

 ―「平和でこそ商売繁盛」が信条の私たち民商と響き合う中身ですね。
 一般の県民が疑問に思うようなことに対して県も、「基地に関するQ&A」をホームページで紹介しています。「米軍基地は何も無いところに造られたのではないか」「米軍統治下、沖縄は豊かだったのでは?」「米軍基地があるからこそ、経済が発展している」「基地が無くなったら、経済に悪影響がある」というような点に真摯に、きちっとお答えしています、
 例えば、これまで返還された那覇の新都心地区、小禄金城地区、北谷町の桑江・北前地区の3カ所を見てみましょう。返還前は軍用地使用料や雇用など89億円の「経済効果」があった一方、返還後は2459億円と28倍になっています。雇用者数は約72倍になりました。
 今後返還が予定されているキャンプ桑江、キャンプ瑞慶覧、普天間飛行場、キャンプ・キンザー(牧港補給地区)などで試算すると、返還前の約500億円に対し、8900億円、つまり18倍の経済効果があると見られます。基地が返ってくれば、そこに雇用が生まれ、経済が循環し、税収も上がることは、実証されています。
 沖縄に新たな米軍基地を造らせず、今ある基地を返還させます。国土面積の約0.6%しかない沖縄に、日本全体の米軍専用施設面積の70・3%が置かれているのは異常です。基地由来のPFOS(ピーフォス)やPFOA(ピーフォア)などの環境汚染もある。地位協定を改定し、国内法を適用させて全容を究明し、県民に安全安心な水を届ける環境づくりを整えるための申し入れもしました。
 「平和で豊かな沖縄」のためには、ただ「基地が無くなればいい」ということではありません。
 日本政府との対話によって関係を構築し、民主主義のあるべき姿にのっとっていきます。

労務単価引き上げも

 沖縄でも、企業の99%が中小・小規模企業です。県民の所得や給与を引き上げ、可処分所得を増やすために財源を振り向けたい。
 例えば、今年4月から、子どもの医療費助成制度で、窓口負担が中学卒業まで無料になりました。これまで市町村によって対象年齢に差がありましたが、県からも積極的に協力をお願いし、ご理解をいただきました。
 沖縄県には、建設関連従事者が多く、公契約条例に基づいて最低労務単価を引き上げ、理念型から実効性のある実務型の条例を検討していきます。
 一つ一つ、着実に成果を出したいと思います。
 今回、多くの市町村議選が県知事選と同日選挙で行われます。協力関係にある議員の方々と「みんなで手をつないでいこう」と呼び掛け、県民の暮らしの向上と県政の発展に向け、一致団結していきます。
 ―県内各地の民商も、一緒にたたかいます。
 みんな笑顔で、希望のある将来をつくっていくために、一緒に力を合わせ、団結して頑張りましょう。

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