2005年の合併以降で初 静岡県浜松市 国保料引き下げへ 1世帯約5千円の減額 浜松民商など 10年来の署名実る|全国商工新聞

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 静岡県浜松市は2月18日、国民健康保険(国保)料を引き下げる国保条例の一部改正案を市議会に提出しました。同市が国保料引き下げを打ち出したのは、2005年の市町村合併以降、初めてのことです。浜松民主商工会、浜北民主商工会、天竜民主商工会も加盟する「浜松・国民健康保険を良くする会」(良くする会)は10年以上前から毎年、国保料引き下げを求める署名に取り組んできました。今回の国保料引き下げは、こうした運動が実ったものです。

「良くする会」の国保料引き下げを求める請願署名の提出。右から2人目が浜松民商の疋田朋広会長

 今回の国保料引き下げは医療分の所得割を7・34%から7・2%への引き下げをはじめ均等割や平等割、後期高齢者支援金分(均等割、平等割)、介護保険料(所得割、均等割)を減額し(表)、未就学児の均等割は国の方針に添って半分に減額する内容です。国保料引き下げにかかる費用は約5億円で、1世帯当たり平均約5千円の引き下げが見込まれています。
 「良くする会」は昨年10月27日、署名2348人分を市議会の和久田哲男議長に手渡し、12月までに追加で1153人分を議会に提出しました。

 同市の国保運営協議会(高見亮会長)は昨年12月7日の会合で、料率「据え置き」と、医療分の所得割の引き下げなどを含む「改定」を提案しました。1月13日には、鈴木康友市長から諮問を受けた22年度国民健康保険料率について答申し、「引き下げが適当」と判断。高見会長は答申書を鈴木市長に手渡し、国保条例の一部改正案が2月議会に提出されたものです。
 同市は、一般会計から国保特別会計への法定外繰入額を減少させ、国保料が引き上がり、民商会員からも「高過ぎる保険料が払えない」と悲鳴が上がっていました。
 11月議会で、請願署名の趣旨説明を行った紹介議員の小黒啓子議員(共産)は「1世帯当たりの国保料は18万5千円と政令指定都市の中でも最も高く、最も低い北九州市の12万円と6万5千円も開いている」と指摘。「20年度の国保会計の黒字は29億7千万円、国保基金の21億8千万円を合わせると51億5千万円にも上る。保険料が原資であることを考え、国保料を引き下げて被保険者に還元すべき」と訴えました。
 浜松民商の疋田朋広会長=ウェブデザイン=は「毎年取り組んできた署名が大きな力になり、やり続けることの大切さを実感した。私自身も『国保料が高過ぎる』と相談したことがきっかけで民商に入会したので、本当にうれしい。さらに国保料引き下げを求め、『良くする会』の運動を強めたい」と話しています。

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