電子帳簿義務化 国税庁「データ持ち帰る」 全商連がヒアリングで、ダウンロードは任意を強調|全国商工新聞

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「改正」電子帳簿保存法の問題点をただした国税庁へのヒアリング

 全国商工団体連合会(全商連)は12月15日、「改正」電子帳簿保存法(以下、電帳法、2022年1月1日施行)について国税庁へのヒアリングを行いました。
 電帳法では、各税法で原則、書面での保存が義務付けられている帳簿保存について、一定の要件を満たしている場合、特例として電磁的記録(電子データ)の保存が認められています。
 ①電子帳簿等保存②スキャナ保存③電子取引保存―の三つに区分され、①②は任意選択。③はインターネットや電子メールでやり取りした電子取引に関わるものです。これまで、領収書や請求書などの電子データは出力した書面での保存も可能でしたが、「改正」電帳法はこれを廃止し、電子データの保存を義務化しました(所得税と法人税が対象。消費税については書面保存が可能、2年間宥恕)。
 電子取引の保存は、「検索要件」(①取引年月日、取引金額、取引先で検索②日付または金額の範囲指定で検索③二つ以上の任意の記録項目の組み合わせで検索)がありますが、売上高1千万円以下の事業者は、税務署員による質問検査権に基づく電磁記録のダウンロードの求めに応じられる場合、検索要件は不要とされました。ヒアリングでは、その説明を求めました。
 担当者は「署員から電子データの提示または提出を要求された場合、電子データのダウンロードの求めに応じていただくことになる。その際、取引日付、金額、取引先の3要件が検索される機能が確保されていれば、画面上で確認できるが、3要件の検索機能が確保されていない場合、電子データをパソコンから読み込んだUSBを署に持ち帰って調べることになる」と説明しました。「電子データの写しは返却を前提としていないため『留め置き』には当たらない」との見解を示しています。
 ダウンロードの求めに一部でも応じず、要件に従った保存が行われていない場合は、帳簿または国税関係書類とはみなされないことも明らかになりました。
 「電子取引が一部しかない個人事業主が、電子データではなく、書面で保存していた場合どうなるのか」と質問すると「そのことだけで青色申告承認の取り消しや、経費を認めないことはない」と答えました。
 中山眞常任理事は「電子データのダウンロードに応じることは、あくまで任意。『改正』電帳法を機に、恒常的なデータの持ち帰りにつながる動きは許されない」と強調しました。
 ヒアリングには、奥津年弘、佐伯和雅両税理士が同席しました。

「電帳」申請は慎重に 全商連 自主計算の活用と電子帳簿保存法対策学習会

全商連が開いた自主計算の活用と電子帳簿保存法対策の学習会

 全国商工団体連合会(全商連)は12月16日、自主計算の活用と電子帳簿保存法対策の学習会をオンライン形式で開き、356カ所で視聴されました。
 中山眞常任理事が今回、初めて2分冊となった「自主計算パンフレット」の概要と特徴、活用事例などを報告。パンフ中心の自主計算活動を提起し、「税金相談員を増やして、1月班会を開こう」「役員中心で業者同士が教え合う申告班会を」と呼び掛けた学習会(大商連)や「税金相談員セミナー」(新潟・魚沼民商)など各地の取り組みに学び、自主計算・自主申告運動の担い手づくりを広げる活動を強調しました。
 さらに、帳簿を提出できない場合の加算税の加重措置など与党税制改正大綱の問題点を指摘。「春の運動」(1~3月)では、インボイス制度実施を中止させるたたかいや民主的税制を求める運動を強め、3・13重税反対全国統一行動を大きく成功させようと呼び掛けました。
 東京税経新人会会長の奥津年弘税理士は、電子帳簿法(電帳法)の概要と問題点、対応について報告。「申告納税制度と納税者の権利を守ってきた全商連の理念を踏まえた基本スタンスを確認することが大切。実務への対応だけになると、課税当局の思うつぼだ」と指摘。「納税者の負担軽減が趣旨だった電帳法が、政府が進めるデジタル化と税務調査の効率化を図ることが目的になり、多くの中小業者が過度の負担を強いられ、税務調査において乱用される恐れがある」と問題点を明らかにしました。
 また、65万円の青色特別控除の適用を受けるために電子帳簿保存の承認申請をすることについて、「慎重に考えて対応する必要がある」と強調。「国は、国民の個人情報をデジタル庁の下で管理しようとしているが、今回の『改正』電帳法もその流れの一つ。電子取引保存は2年間は特例的に猶予されることになったが、行政の動きには注意して一人一人が対応を考える必要がある」と訴えました。

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