全国商工新聞

 総選挙を前に、土地利用規制法の施行に異議を唱える動きが始まっています。6月議会で北海道旭川市は同法の再ちゃたんちょう検討を、沖縄県北谷町は廃止を求める意見書を採択し、政府に送付しました。
 土地利用規制法は、内閣総理大臣が米軍・自衛隊基地、原発など安全保障上の「重要施設」の周囲約1キロと国境離島を「注視区域」に指定するものです。特に重要とみなすものは「特別注視区域」とし、土地・建物を売買する当事者は、あらかじめ氏名、住所、売買物件の利用目的などの情報を届け出なければなりません。怠った場合、6月以下の懲役または100万円以下の罰金を科されます。届け出義務があることは宅建業法の「重要事項説明」の対象で、不動産業者が説明しなかった場合、業務停止命令などの処分を受け、これに反した業務の継続は2年以下の懲役または300万円以下の罰金という刑事罰の対象です。
 政府は「注視区域」や「特別注視区域」の不動産価格下落の可能性を認めながら、6月29日に「補償は不要」と閣議決定しました。自衛隊基地だけで「注視区域」の候補は全国で四百数十カ所、「特別注視区域」の候補は百数十カ所に上ります。政府が同区域の「機能を阻害する行為」や、その「明らかなおそれ」があると判断すれば、利用中止が勧告・命令され、命令に背けば2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金です。
 機能阻害行為を理由に、国が不動産の買い取りを申し出ることができるなど、強制収用につながる危険があります。国家が「安全保障」の名の下に、国民が自分の土地を自由に利用する権利を制限する―まさに憲法に反する戦前回帰の悪法です。
 防衛省は2013~20年度に全国約650カ所で所有者約8万人を調査しています。軍事施設が密集する沖縄では政府の判断次第で全県民が監視の対象となります。「基地などに対する運動が抑圧される」と怒りの声が上がるのは当然です。
 秘密保護法、戦争法、共謀罪法など戦争する国づくりに向けた違憲立法が相次いでいることは重大です。立憲主義の回復をめざす市民と野党の共闘を成功させ、迫る総選挙で政権交代を実現することこそ危険な流れを変える道です。

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