75歳以上の医療費窓口負担2割化 コロナ危機こそ社会保障充実を|全国商工新聞

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 自公政権は、これまでの社会保障の構造を見直し、全ての世代で広く安心を支えて「全世代対応型の社会保障制度」を構築するとしています。憲法25条2項の「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」を投げ捨てるものです。
 全商連は、社会保障の解体と市場化を狙う「全世代型社会保障」改革を中止するよう求めてきました。
 菅政権は、「自助・共助」を前面に打ち出した施策にこだわり続け、医療体制の逼迫・崩壊を打開する対策を拒否しています。今国会では、75歳以上の単身で年収200万円以上、共に75歳以上の夫婦で年収320万円以上の世帯の医療費窓口負担2割化や国保料の値上げにつながる内容を持つ「医療制度改定一括法案」、医師数抑制や病床削減を進める「医療法改定案」など、国民の命と暮らしを脅かす法案を提出しています。
 75歳以上の高齢者の95%が外来受診し、そのうちの5割近くが毎月通院し、平均で年間約8万円の負担をしています。医療制度改定一括法案で2割負担になれば、窓口負担が1人当たり年平均3万4千円増加すると推計されており、高齢者は受診控えを迫られかねない事態となります。
 2割負担の導入は、必要な医療から遠ざけられ、経済的にも身体的にも大きなダメージとなりかねません。
 菅首相は、「現役世代の負担上昇を抑える」ためと言いますが、2割負担導入で「軽減」される現役労働者の保険料負担額は年間で1人当たり350円にすぎません。最も削減されるのは年980億円もの公費です。
 国保料・税は、2020年度に422の自治体で値上げされましたが、今回の法案では、さらに都道府県が策定する「国民健康保険運営方針」に「保険料の統一化」「公費独自繰り入れ廃止」に向けた取り組みを明記するようにと値上げを誘導する仕組みにもなっています。
 民商・全商連は、この間、国や自治体に働き掛け、コロナ禍による「傷病手当」「減免」などを実現してきました。
 新型コロナ危機で多くの国民が苦しんでいるからこそ、「社会保障充実を」の声をさらに広げていきましょう。

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