全国商工新聞

 新型コロナ対応の特別措置法が改正され、参院内閣委では、「経営への影響の度合い等を勘案」した事業者への財政支援を求める付帯決議が可決されました。「時短を徹底できるよう、協力金は事業規模や売上高などを考慮すべき」との道理ある声にもかかわらず、政府は、協力金を一律1日最大6万円とする方針を変えていません。「要請のない」飲食店の取引業者などは「一時金」の支給に留まります。「一時金」は2カ月間の緊急事態宣言に対して60万円(個人事業者は30万円)と飲食店との差は大きく、対象は原則、宣言対象地域の事業者に限られるなど分断が持ち込まれています。各地の民主商工会(民商)や県商工団体連合会(県連)は自治体に働き掛け、幅広い業種や減収を対象とし、新規開業者を含めたり、金額も一律でなく、減収に応じた額へと改善を図るなど成果を挙げています。コロナ禍で疲弊した幅広い事業者が支援を受け取れるよう、制度のきめ細かな見直しを求めていくときです。

【高知県】売上30%減も対象 一部地域で協力金上乗せ

対象者を拡充

県商工労働部と意見交換する高知県連(右側)=2月9日

 高知県は1月29日、年末年始の営業時間短縮要請に応じた飲食店の取引先などに、独自の給付金を支給することを明らかに。高知県連など県内中小業者の要請(12月下旬)を受けて、創設されたものです。
 この「営業短縮要請対応臨時給付金」は、食品関連事業者ら直接的な取引先だけでなく、要請で影響を受けた業種を幅広くカバーするもので、国の「一時金」より対象者を拡充しているのが特徴です。国の一時金は「昨年12月の売上高が前年比50%以上減少した事業者」が対象ですが、高知県は「前年から30%以上減少」を要件としています。
 額は法人で最大40万円、個人事業主で最大20万円で国の一時金と同額です。
 また、県内の各民商は全市町村に「時短要請協力金(1日4万円)を市(町村)において上乗せ支給すること」を要請。うち高知市、土佐市、いの町の3市町で1万円の増額が決定されました。緊急事態宣言が再度延長された中、「昼間営業の飲食店も苦境は同じ」「飲食業以外の業者も厳しい」状況です。県連は引き続き、減収に陥っている事業者の経営存続に向け、支援の拡充を求めていくことにしています。

昼間営業にも

 高知県宿毛市で喫茶店を営む中村民商の商工新聞読者、Nさんは「昼間営業の飲食店に支援がないのはおかしい」と訴えます。
 夜の飲食店には1日4万円の協力金が出ますが、昼間営業の店は対象外です。
 モーニングとランチを中心に、朝7時半から夕方5時まで営業。「外出や外食の自粛は、全ての店にとって死活問題。昨年暮れの売り上げは一昨年の167万円から92万円に落ちたが、支援はなかった」。
 高知県では、民商などが求めて、他の自治体にはない一時金を実現。宿毛市では売り上げが30%以上減った業者には県から20万円、市から10万円、計30万円の一時金が出ることになりましたが、「半分の補填にもならない」と話します。
 「厳しいのは、夜も昼も同じ。規模や売上高を考慮しない一律の協力金ではなく、昼間の業者も取引業者もアルバイト従業員もみんな困ってるのだから、それぞれの状況に即し、手を差し伸べるのが政治の責任ではないか」と力説します。

【群馬県】飲食関連へ40万円 時短要請中の7市2町で

支援金を創設

 群馬県は4日、時短要請中の7市2町の飲食店関連事業者へ最大40万円の支援金創設を決め、支援金の事業費約20億円を含む補正予算案を5日の県議会臨時会に提出しました。
 群馬県連をはじめ県内の中小業者の強い要望を受けてのもの。県連は「コロナ禍から中小業者の経営を守り、地域振興を求める要請書」を県知事に提出。1月28日の県交渉で全県での営業時間短縮と関連事業者への支援を求め、その席上、産業経済部の諸田隆志課長が「検討する」ことを約束していました。
 県が営業時間短縮を要請した7市2町では、協力した飲食店に56万円の協力金はあるものの関連業者への支援はありませんでした。
 しかし、対象地域外の飲食店でも指定地域と同様に自粛ムードが広がり、夜8時過ぎには客足も途絶え、感染への不安から閉店時間を早めるなどの対応がされています。
 前橋市で運転代行業を営む坂本均さん(仮名)は「飲食店と代行業者は一体。飲食店が休業すれば、代行の仕事はなく、生活できない。代行にも協力金を」と訴え、指定地域外の渋川市でスナックを営むSさんは「時短要請地域からお客さんが来ている」と告発。「一部地域の時短では駄目。自粛と補償はセットで、コロナを封じ込めてほしい」と求めました。
 萩原誠会長が「コロナ禍で中小業者が塗炭の苦しみに直面する今こそ、県が2016年に制定した小規模企業振興条例の理念に基づき『県経済が将来にわたって成長していくためには地域経済の原動力である』小規模企業に対する経営支援、直接支援が必要ではないか」と求めました。
 県当局の発表を受け、萩原会長は「コロナ禍の現状認識が甘く県の役割が見えなかったが、参加者の熱意を受け、県が一歩踏み出したことは大きな成果と評価したい」と述べました。
 県交渉には県連三役をはじめ民商から20人が参加。日本共産党の酒井宏明県議が同席しました。

【岩手県】北上市 減収額に応じ給付 全業種に最大30万円

民商など5団体

北上市内の経済5団体の要請書を受け取る市の企画部長(右端)。左から5番目が深沢卓哉民商会長

 岩手県北上市は15日から、3回目となる「地域小規模企業者給付金」(最大30万円)の申請受け付けを開始し、対象者には昨年新規開業した飲食店等をはじめフリーランスも含めると発表しました。
 北上民商をはじめ市内の経済5団体(北上建設組合、社交業組合北上支部、北上左官組合、北上民商、北上市政を考える会)が1月18日、髙橋敏彦市長に緊急要請。同給付金の継続と拡充、緊急経済対策住宅リフォーム支援事業補助金の補助要件等の緩和と次年度以降の継続、小規模企業振興基本条例の制定を要請していました。
 各団体の代表らがコロナ禍での商売の現状を訴え。民商の深沢卓哉会長=飲食=は「飲食業を30年以上営んできたが、こんなに景気が悪いのは初めて。国の持続化給付金や家賃補助、市独自の給付金や補助金があったから商売を続けてこられたが、これが終われば、商売の継続が困難になる。他の飲食店の経営者も同じ。切れ目のない支援を」と求めました。昨年7月に開業した飲食店の会員は「国の持続化給付金も家賃支援給付金も対象にならない。昨年4月以降に開業した店舗も対象になる支援金の創設を」と訴えました。
 商工部長は「コロナ対策の補正予算を組み、継続した支援を行いたい。特に飲食業界が厳しいことは承知しており、市としてできる限りの支援をしたい」と述べていました。
 今回の給付金は市内の小規模企業者を対象に、1~2月までの2カ月間の売上高が前年同期比30%以上減少している事業者に、減収額に応じて5万円から30万円を給付します。「新規創業者」も対象で、創業後、一番売上高が多かった月と直近1カ月の売上高を比較し、30%以上減少した事業者が対象です。
 市では、独自の「経営継続補助金」「家賃支援補助金」も実施しています。

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