全国商工新聞

 政府は12月21日、2021年度税制改正大綱を閣議決定しました。しかし、その中身は、新型コロナウイルスの感染拡大で倒産・廃業、失業者の増大など国民の命と暮らし、地域経済が未曽有の危機にあるという非常時に対応するものになっていません。迅速に実施でき、全ての国民に恩恵をもたらす消費税率5%への減税を求める願いには背を向ける一方、菅政権肝いりの脱炭素化やデジタル化、中小企業の再編を促進する「改正」が目立ちます。以下、主な内容を紹介します。

 中小企業向けに打ち出したのはM&A(合併・買収)を促進する措置です。菅政権が成長戦略で進める事業再編による生産性向上を税制面で後押しするという触れ込みですが、事実上の中小企業・中小業者の「淘汰」を促進する税制です。
 法人課税では、デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制を創設。デジタル環境の構築(クラウド化等)による事業変革を行う場合に、設備投資額の最大5%を税額控除するものです。脱炭素化につながる設備投資額の最大10%を税額控除する投資促進税制も創設します。
 個人所得課税では、コロナ禍で苦しむ家計への支援として、住宅ローン減税やエコカー減税の延長を盛り込みました。しかし、いずれも資産を所有している人にだけ恩恵があるものです。コロナで営業自粛が強いられている飲食店などを対象にした、持続化給付金や家賃支援給付金を無慈悲に打ち切るのと対照的です。
 ギャンブルを成長エンジンと考える菅政権は、統合型リゾート施設(IR)に関する税制を新設。カジノへの外国人の集客を図ろうと、ばくちでもうけた利益を非課税とします。

富裕層優遇を温存

 大企業・富裕層を優遇する税制の是正に手を付けなかったことも見過ごせません。「アベノミクス」による株価つり上げで空前の利益を上げているのに、株式配当や売却などの利益にかかる金融所得への税率は一律20%を維持。所得1億円を超える富裕層ほど実質的な税負担が軽くなる不公平税制を温存し、格差と貧困をさらに拡大させるものです。
 税制改正を行うなら、大企業や富裕層を優遇してきた不公平な税制こそ正すべきです。
 納税環境整備では、23年10月実施のインボイス制度の導入を見据え、電子帳簿等保存制度に誘導するための要件緩和や過少申告加算税の軽減を行います。手書きの帳簿を否定し、税務調査をしやすいように記帳させる策動です。与党税調は「検討事項」で「正規の簿記による青色申告の普及を含め、帳簿水準の向上を図りながら(中略)、『人的控除』のあり方を全体として見直す」「帳簿等の税務関係書類の電子化を推進」「トレーサビリティ(仕訳入力を遡及して確認できるようにすること)の確保を含む帳簿の事後検証可能性の確立」など、納税者の自主記帳のありようを大きく変えることを迫る方向も打ち出しています。それだけに、あらためて自主記帳・自主計算運動を重視していく必要があります。

消費税減税運動を

 全商連が提起した「コロナ危機打開・緊急署名」を大きく広げ、消費税減税と減免を求める世論と運動を大きく広げることが求められています。
 自主記帳を納税者の権利確立や経営対策、給付金獲得などに生かすとともに、コロナ禍でも自主申告を貫き、今年の3・13重税反対全国統一行動を成功させ、民主的な税制・税務行政の確立を迫ることがますます重要になっています。

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