20年度確定申告の変更点|全国商工新聞

全国商工新聞

税理士 佐伯 和雅さん

 来年3月15日までに行う2020年度の確定申告ですが、大きな変更があります。重要と思えるものをいくつか取り上げます。

①基礎控除額の変更

 基礎控除の金額が48万円に変更されました。変更前は38万円で一律でしたが、変更後は合計所得金額が2400万円を超える場合には、基礎控除額が減額されることになりました。
 将来、基礎控除額が縮小される恐れがあります。これと同時に、給与所得控除の下限が65万円から55万円に引き下げられましたので、いわゆる「103万円の壁」の考え方は変わりません。

②ひとり親控除の創設

 従来の寡婦控除では認められなかった未婚の親に、ひとり親控除が認められることになりました。ただし、合計所得金額が500万円までと所得制限が課されました(図参照)。ひとり親について控除が拡大しましたが、住民票の続柄に未届の夫(妻)と記載がある場合には、寡婦控除もひとり親控除も適用されないことが明確化されました。

③青色申告特別控除

 正規の簿記で記録している取引に係る青色申告特別控除が65万円から55万円に引き下げられました。電子申告をする場合などの要件を満たせば、65万円控除の適用が受けられます。なお、青色申告の10万円控除は変更ありません。この引き下げは、行政が自らの作業軽減のために電子申告を推進することが目的です。
 その他、多くの変更点があります。給与所得控除や公的年金控除、配偶者特別控除の対象なども変更されました。また、所得金額調整控除が創設され、給与等の収入金額が850万円を超え、特別障害者あるいは23歳未満の扶養親族がいる場合には、一定額を給与所得から控除できることになりました。この項目も将来、控除額が縮小される心配があります。
 来年以降も所得税は改悪が目白押しです。大きな声で庶民増税反対の声を上げなければなりません。

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