新型コロナ 自治体の制度拡充進む 事業継続へフル活用|全国商工新聞

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福岡・八幡民商など 情報交換しながら申請

 新型コロナウイルス感染拡大防止の自粛要請などで、収入が大幅に急減した事業者に対する支援制度の活用が広がっています。国、都道府県、さらに市町村で、制度によって締め切り日や申請要件が異なるため注意が必要です。国の「持続化給付金」の要件を満たさない場合でも、自治体の支援制度の対象になる場合があったり、複数の支援を重複して受けられる場合もあります。各地の民主商工会(民商)では、仲間との情報交換を進めながら、一人一人に合った支援制度を申請しています。

どれが使える?フローチャート

八幡民商作成のフローチャート。民商のニュース「民商やはた」に掲載しています

 福岡・八幡民商では、「どの持続化の対象?フローチャート」を作成。月別の「売上」を記載できる台帳をつくり、会員からの相談に乗っています。
 対象者となる37人の申請を終え、29人が給付金を受け取っています。山下徳雄会長は、「自主計算ができている会員が多く、毎月の売り上げもすぐ出せたので手続きをスムーズに進めることができたのではないか」と話します。
 国の「持続化給付金」は対前年同月比で売り上げ50%以上減が要件ですが、要件を満たさないからと、諦める必要はありません。
 福岡県の「持続化緊急支援金」は、国が対象としない前年同月比「30%以上~50%未満減少」を対象にしています。ただし、東京都や大阪府の休業協力金や支援金は国の「持続化給付金」と併給ができますが、これは「持続化給付金を申請していないこと」が要件で、併給できません。
 申請期間は、国の持続化給付金が来年1月15日まであるのに対し、県の締め切りは7月31日までと短くなっています。

八幡民商の学習会

 現時点で県の支援金の対象外であっても、今年12月までに売り上げが50%以上減少した月が出た場合には国の給付金の対象になりますので、注意が必要です。
 さらに、国は第2次補正予算で家賃支援給付金を創設しました。①5月から12月までのいずれか1カ月の売上高が前年同月比で50%以上減少の他、②連続する3カ月の売上高が前年同期比で30%以上減少した者を対象にします。②を満たす場合、持続化給付金を受けられなくても、家賃支援給付金を受けられる場合もあります。

締め切りが早い自治体に注意を

八幡民商には連日相談者が訪れています

 北九州市では、県の緊急支援金の対象となった業者は市の持続化緊急支援金も申請可能になります。締め切りは8月末ですので忘れずに申し込みをする必要があります。追加で10万円が加算されます。
 締め切り日はそれぞれ異なり、締め切りが早いものもありますので特に注意が必要です。また、国はウェブ申請しか認めていませんが、福岡県はウェブ申請を基本にしながらも申請支援窓口も設けています。

国と併用可能な独自家賃補助も

 国に先駆けて、家賃補助を決めていた自治体が多くあります。
 東京都文京区の緊急家賃助成事業は、直前1カ月の売り上げもしくは営業利益が前年比5%以上減少を対象に、事業所の月額賃料(1カ月分)の5分の4以内、20万円を上限に1回限り支援します。国の支援との併給は可能です。
 茨城県高萩市「たかはぎ小規模企業者・個人事業主応援補助金」は、「最近1カ月の売上高が20%以上減少し、その後2カ月の売上見込額を含む3カ月間の売上高も20%以上減少が見込まれる方」が対象です。不動産家賃・地代等を1事業所30万円を上限に支援を行うものですが、併給も可能です。締め切りは9月末です。
 神戸市はテナントではなく物件オーナーを対象に、2020年4月分および5月分の家賃2カ月に対して、申請者が減額した金額の10分の8を、200万円を上限に助成します。
 これはオーナーへの助成ですから、テナントは別途家賃補助を受けることができます。

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