全国商工新聞

平均賃金額の算定は不要に

 「書類を用意するだけでも大変、申請に時間がかかり、なかなか支給に至らない」などの批判を受け、厚生労働省は5月19日、雇用調整助成金の申請手続きのさらなる簡素化として5点を公表しました。
 第一は、小規模事業主の申請手続きでは、「平均賃金額」の算定を不要にしたことです。
 支給申請に当たっては、従業員1人当たりの平均賃金額を用いて助成額を算定していましたが、小規模の事業主(おおむね従業員20人以下)については、「実際に支払った休業手当額」から簡易に助成額を算定(※)できるようになりました。
※助成額=「実際に支払った休業手当額」×「助成率」
 また、休業についての申請様式を簡略化するとともに、支給申請をスムーズに行うことができるよう、申請マニュアルを作成しました。

オンラインで申請も可能に

 第二は、雇用調整助成金のオンライン申請の開始です。
 これまで、雇用調整助成金の支給申請は、窓口へ持参するか郵送しなければなりませんでしたが、5月20日からは、オンラインでの申請受付を開始します。
 なお、申請にはメールアドレスとショートメールが受け取れる携帯電話が必要になります。これを準備し、ホームページ(https://kochokin.hellowork.mhlw.go.jp/prweb/shinsei/)へアクセスします。
 第三は、「休業等計画届の提出」を不要としたことです。
 事前に提出が必要な休業等計画届について、初回を含む休業等計画届の提出を不要とし、支給申請のみの手続きとされました。
 第四に、小規模の事業主以外の事業主についても、支給申請の際に用いる「平均賃金額」や「所定労働日数」の算定方法が大幅に簡素化されました。
 第五に、雇用調整助成金の申請期限について、支給対象期間の初日が2020(令和2)年1月24日から5月31日までの休業の申請期限を8月31日までにしました。
 同省はさらに雇用保険助成金申請をまだ申請していない中小企業の従業員を対象に、企業を介さずに個人が直接、ハローワークに申請し、休業者の平均賃金の8割程度を給付する制度の創設へ、関連法案の提出を準備していると報道されています。
 従業員を休ませている企業に月額賃金の80%を給付する英国の制度を参考にし、上限額も英国並みの月額33万円を引き上げる方針といわれています。

全被雇用者の救済へ改善を

 しかし、問題は英国では被雇用者が全て雇用保険に加入しているのに対し、日本では個人事業者の下で働く被雇用者の多くが労働保険に加入していない実態があることです。
 保険料も出せないという経営の厳しさのほか、従業員の多くが短時間のパート労働者で雇用保険の対象外であること、被雇用者にも保険料負担があることも要因です。
 東日本大震災の際には雇用保険の特例措置を講じ、「みなし失業」と呼ぶ仕組みをつくるなどの対応も講じてきています。地震などの自然災害と同じく、感染症も避けられない災害と考え、雇用保険にセーフティーネットの役割を担うことを求めるなら、未加入者をなくす方策も本格的に検討する必要があります。
 政府はこれまで機械的な線引きで救済される人、されない人の分断を招いています。付け焼き刃の対応は、もう許されません。

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