新型コロナで国保に傷病手当金 自治体条例を作り対象の拡大を|全国商工新聞

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 新型コロナウイルス感染拡大に伴う政府の緊急対策の一つとして、国民健康保険(国保)から傷病手当金を支給することが打ち出されました。
 感染した被用者(事業者に雇用されている人)が安心して休める環境を整備し、さらなる感染拡大の防止という観点からも大きな意味があります。
 会社員が加入する健康保険には傷病手当金はありますが、国保にはありませんでした。今回、国保に傷病手当金を設けるためには、市町村の条例改正が必要です。
 新型コロナ感染者などに支給する際、国の財政支援が受けられることは、国から都道府県を通じて市町村へ周知されています。一方で、個人事業主や家族専従者、フリーランスは当面、支援対象になっていません。
 参院の厚生労働委員会で、対象拡大を迫った日本共産党の倉林明子議員の質問に対し、厚生労働省は、「(支給対象の拡大も)市町村長の判断で可能」と答弁。倉林議員は、国の支援対象者を被用者以外にも広げることを求めました。
 個人事業主や家族専従者が新型コロナに感染した場合、安心して休める保障として、傷病手当金の支給がされるよう、自治体に働き掛けて実現させましょう。
 2020年度補正予算・新型コロナ対策への全商連の緊急提言でも、「感染拡大をこれ以上拡大させない」決意を政府に求め、個人事業主への傷病手当金の支給については、「国が推進し、裏付けとして自治体への財政支援を強めるべき」と強調しました。
 民商・全商連は、「国保に傷病手当・出産手当を強制給付に」を要求として掲げ、中小業者の営業と暮らしを守る運動を進めてきました。業者婦人にとっては、産前産後の休暇が取りづらいこと、病気の時に安心して休める保障がないことから、出産手当・傷病手当の実現は切実な願いです。民商婦人部では長らく、二つの手当を実施した場合の試算運動に取り組んできました。
 新型コロナ対策で始まった傷病手当金の支給対象を、中小業者や家族専従者にも広げさせ、恒常的な制度へと拡充させる機会として、自治体要請を強めましょう。

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