全国商工新聞

 新型コロナウイルス感染症の拡大が収まらず、株価の急落やインバウンド需要の急減、輸入部品の不足など日本経済と中小業者の営業に深刻な影響が及んでいます。安倍内閣は3月10日、緊急対応策第2弾を打ち出しましたが、目新しいものはありません。全国商工団体連合会(全商連)は3月23日、政府に対し、地域経済と生業、国民生活を守れと2回目の緊急要請を行いました。

特別貸付「積極的に応える」 経産省

業者要求踏まえ 緊急対応を迫る

緊急事態に即応した対応を求める全商連の橋沢政實副会長

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「自粛要請」などで経済活動が停滞。旅行、宿泊、外食産業など実質休業状態に落ち込むなど危機的状況が広がっています。
 「開店休業だ。融資を利用してくれと言われても返す当てもないのに借りることはできない」「売り上げはなくても経費は出ていく。家賃など固定費の直接支援を」「自粛要請で生じた損害については所得補償を」など、直接支援の声は切実です。
 こうした要求を踏まえ、要請には全商連から橋沢政實副会長はじめ15人が参加。橋沢副会長は冒頭のあいさつで「日々状況が変わる、かつてない深刻な緊急事態に即応し、これまでにない措置を」と求めました。
 各地の県商工団体連合会・民主商工会(民商)からの参加者は、訪問・対話の内容や、コロナ影響実態調査を踏まえ、経済産業省、総務省、厚生労働省、国税庁、財務省、文部科学省の6省庁に要請。固定費などの直接支援の創設、休校措置に伴うキャンセル被害の補償、雇用調整助成金の拡充、社会保険料や国保料・税、国税等の納税猶予などについて直接要望を伝え対策を求めました。この中で、いくつかの具体的な成果も確認されました。

コロナ特別貸付 税滞納でも検討

 創設された5年据え置き、3年無利子の新型コロナウイルス感染症特別貸付制度(日本政策金融公庫)について経産省は、「税金の滞納があるから即刻融資ができないということではない」「債務超過だから融資ができないと入り口の段階で、断ることはしないようお願いしている」と回答。金融機関に「配慮要請」を行っており、資金繰り需要に積極的に応えることを約束しました。
 学校給食のキャンセルに伴う補償について、文科省は「自治体が損害金や違約金を支払った場合は、その額を補償する」と述べ、自治体の判断を尊重し柔軟に応じる考えを示しました。

雇用調整助成金 柔軟対応を表明

 厚生労働省は、雇用調整助成金の「休業等」の要件について「適正支給のため実態確認が必要」と述べながらも、「今回の特例では『休業届』の事後提出も認められているので、個別のケースに応じ可否については現場で判断していくことにする」と述べ、柔軟に対応していく考えを表明しました。払い切れない社会保険料に関わって「不要不急な差し押さえは抑えて、事情を聞いて事業者に寄り添った対応を指示している。万が一にも差し押さえがあれば連絡を。個別に対応する」と答えました。

納税の猶予適用 実情をよく聞く

 また、国税庁と総務省は、「納税(徴収)の猶予」について、新型コロナウイルス感染症の影響で「利益が5割程度減った場合」に適用になると基準を明らかにし、「それ以下であっても、柔軟に実情をお聞きし、中小企業に配慮して適用していきたい」と述べました。
 主要国も中小企業等への直接支援に動いており、米政権はリーマンショックを上回る2兆ドルの経済対策を打ち出し、中小企業向けに「3000億ドルの融資枠」を設け、従業員の雇用と給与を維持すれば返済不要とする案も検討中と伝えられます。コロナ危機の回避へ、一層の対策、予算の充実が求められています。

「所得補償して」 業者の切実な声

経営維持の資金 固定費の助成を 生花店主

政府の「新型コロナウイルス感染症対策」の基本方針を踏まえ臨時休業する飲食店(神奈川県内、一部画像処理)

 都内で生花店を営むTさんは、「今月決算だが、どれだけの落ち込みになるか分からない。1月、2月の店頭での売り上げはほとんどなかった。例年は卒業式、入学式などで相当に動く時期だが、全く動かない。キャンセルも5件や10件程度の話ではない」と状況を話します。
 店に商品がないと、お客さんにも迷惑がかかるので、ほぼ毎日市場に仕入れに通っています。花は生ものなので、売れなければ廃棄せざるを得ません。自分の年金もつぎ込んで経営を維持しています。
 「売れなくても、家賃に光熱費、駐車場代など固定費はかかるし、仕入れも月に百数十万円になる。この状態が続けば、いつまで持つか分からない」とTさん。「融資を受けてという話もあるが、借りるというのは、返す見込みがあっての話だ。もう70歳なので借金ができる年ではない。政府が打ち出す『対策』では救われない。われわれの現実は、そんな生やさしいものではない。維持する資金がほしい。消費税もゼロにしてほしい」と直接支援の実現を切望します。

突然キャンセル 損失は月商8割 学校納入業者

 東京近郊の小学校8校に、給食用の青果を納入しているある業者は、「『一斉休校』要請を受け、2月28日の午後12時半ごろ突然、キャンセルの連絡が入った」と言います。夫婦2人で月の売り上げは200万円から280万円ですが、給食関係はそのうちの8割を占めます。
 「市は実損については支払うと言っているが、約1カ月分が丸々キャンセルとなっているのだから、売り上げのせめて半額は所得補償してもらわないと生活していけない」と政府が行った要請によって生じた損失への補償を求めます。

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