新型コロナ 営業継続に緊急支援を 民商・県連が自治体交渉|全国商工新聞

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迅速・柔軟な対応を要求 融資改善など要請

 東京・豊島民主商工会(民商)は3月24日、豊島区に対し、新型コロナウイルスの感染拡大で区内中小業者が受けている影響を伝え、スピーディーで実効性のある制度融資の改善を求めました。齊藤雅人副区長はじめ、生活産業課長、国保課長ら3人が応対。民商からは7人が参加し、御影池秀夫税理士、日本共産党の渡辺くみ子区議、清水みち子区議が同席しました。

副区長 「できること全て行う」

豊島区に対してスピーディーで実効性のある融資制度の改善などを求めた豊島民商の役員ら

 区は、2月28日に設置した特別窓口・電話相談に、計888件の相談が寄せられていることを紹介。「多くが資金繰りの相談で、政策金融公庫の融資制度など、相談者の実情に合った融資を紹介している」と話しました。また、既存の「小企業資金」の保証料を区が負担する特例対策をしており、現在まで32件の申し込みがあると説明しました。
 区の制度融資について、長谷川清会長は「明日100万円が欲しいという業者の願いに応えた融資にするべき。スピーディーな対応が求められている」と訴え、区が損失補てんする直貸し融資の復活を求めました。
 御影池税理士も「コロナに加え、消費税の増税が打撃になっている。不況が長く見込まれることも踏まえ、他自治体の不況融資なども参考に対応してもらいたい」と要請しました。現在、金融機関から借り入れを行っている業者は「金利のみ払う」など、条件変更を行っているケースも多いことを指摘し、「保証協会は条件変更をしている人には貸さないのでは」と質問。区は「保証協会から、コロナで影響が出ている業者にはなるべく貸し出せるようにしていると報告を受けている」と回答しました。
 宿泊業を営む参加者は「2月に入り、キャンセルの電話ばかりで売り上げは90%減。オリンピックの観光客を見越して、融資を借りて設備投資を行ったが、返済がつらい。行政は柔軟に対応してほしい」と訴え。他の参加者も「イベントの自粛で予定していた仕事もなくなりそう。家族同然の従業員のクビを切るわけにはいかない」「3月は仕事が1件も入っていない」「近所でコロナ感染者が出て、飲食店は風評被害を心配している。予定が立たないので仕入れもできない状況」と窮状を訴えました。齊藤副区長は「区として、できることは全て行っていきたい」と応えました。
 また、国民健康保険料については「滞納者に対して、差し押さえではなく、保険料の減免制度の適用ができるかなど、しっかりと聞き取りをしていく」と報告がありました。

「震災と二重苦」訴え 熊本県連 税減免など県に要請

 熊本県商工団体連合会(県連)は3月17日、県労連と共に苦境に立つ中小業者等の救済を求めて県商工観光労働部に緊急要請を行いました。
 県連の松尾正会長は、「建設業をやっているが、建設資材が入らず、多くの業者が仕事をストップし、資金繰りが大変。消費税が上がって税金の負担も大変」と訴え。飲食店や旅館、生花店など、多くの業種でキャンセルが相次ぎ、苦境に立たされている実態を示して、直ちに対策を取るよう求めました。
 宇城民商の末野博子さん=中華料理店=は、「熊本地震で店舗が全壊。グループ補助金を活用し、やっと再建にこぎつけ、お客も元に戻りつつあった中での今回のコロナ問題。3月からのキャンセルは1500人に上り、借り入れも目いっぱいやっているので先行きがとても不安」と切実な思いを訴えました。
 要請項目は、①固定費(家賃、リース代、従業員給与など)の補助②県の制度融資を無利息・無担保にし返済を長期にすること③地方税、固定資産税など税金、健康保険などの減免や延納。社会保険料や所得税、消費税の延納、減免を国に要請すること④自営業者、フリーランスの補償を県独自で上乗せし、対象を広げ申請を簡素化すること⑤雇用調整助成金の要件緩和、補助率の引き上げを国に要請すること―などです。

「県は独自の支援を」 岩手県連 固定費補助など要請

 岩手県商工団体連合会(県連)は3月16日、県に対して新型コロナの対策について緊急要請を行いました。
 県連の関沢淨会長は、「新型コロナの影響が全ての業種で出ている。中でも観光業や飲食業は深刻。2月~4月の県内の旅館等のキャンセルは13万件を超えているとのことだが、会員の旅行業者は冬場の海外旅行が全てキャンセルになった。春の就学旅行は秋に延期となり、最悪の状況になっている」と訴え。「建設業も中国から建設材料が入らずに工事が中断している。飲食業に至っては、客が全く来ない日が続いている」と厳しい状況を説明しました。
 県側は、商工観光部の経営支援課と商工企画室が応対。9項目からなる緊急要請に対し、「国の支援策を柱としながら、相談窓口の充実と既存債務の借り換えを検討したい」などの説明がありました。
 県連の参加者は「政府の支援策である融資等の対策だけでは間に合わない。経営基盤の弱い中小業者の新たな借り入れは営業継続の足かせになる。県は、国の対応を待たずに固定費の補助など独自の支援策を講じてほしい」と訴えました。
 民商・県連では、県議会終了後に再度県交渉を行うことにしており、それまでに各民商では営業実態について集約し、要求項目を詰めていくことにしています。

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