
「”ホルムズ危機”の影響を受け、資材不足や値上がりで廃業寸前だ」「高市早苗政権が狙う大軍拡・改憲の動きを、力を合わせて押しとどめよう」「中小業者の明日の希望を開く民商を強く、大きく、楽しく」―。全国商工団体連合会(全商連)は5月23、24の両日、「神戸ファッションマート・アトリウムプラザ」(神戸市東灘区)に574人が集い、第57回定期総会を開催しました。中小業者の切実な声や、全国の民主商工会(民商)の取り組みに立脚しながら、方針を練り上げ、藤川隆広新会長(大阪)ら新しい役員を選出しました。
全商連第57回定期総会開催 方針など満場一致で採択 神戸市内
太田義郎会長は、あいさつで”平和でこそ商売繁盛””戦争の無い国を”の思いと共に歩んできた民商・全商連の歴史を振り返り「アメリカによる戦争、石油危機に伴う燃料・原材料不足で、『このままでは廃業だ』という声も出ている。お互いに知恵を出し合い、全ての商売人が団結する必要がある。集まって、みんなで相談し、要求を出し合って、強く大きな民商をつくりましょう」と呼び掛けました。
展望を語り合い




牧伸人事務局長は、常任理事会報告で「国連憲章や国際法を無視した戦争が続く下で、”平和でこそ商売繁盛”を信条とする民商・全商連の役割発揮が強く求められている」と強調。情勢と政治変革の展望▽営業と生活を守り、発展・充実させる運動▽国民本位の税金・社会保障を求める運動▽平和と民主主義、個人の尊厳を守る運動―について言及しました。組織づくりでは、56回総会現勢を上回った組織は商工新聞読者で38民商、会員で29民商でした(5月26日、最終集約)。「仲間増やしと組織の再建・強化に踏み出しましょう」と、さらなる奮闘を呼び掛けました。
1日目の全体会討論では、12人が発言しました。
各地で取り組まれた要求運動では「ホルムズ海峡封鎖などに伴う危機の打開をめざし、市に繰り返し予算要望を行い、業者に対する一律の現金給付が実現した」(岩手)、「消費税インボイス(適格請求書)制度に苦しむ現場の声を届け、議会での請願書採択につなげた」(沖縄)、「県内の全13民商を巡回するキャラバン宣伝に、延べ200人が参加した」(長野)、「県内の全7民商で1会員5署名以上の消費税署名を集めた」(宮城)といった活動が報告されました。
仲間づくり・組織づくりでは「参加しやすい雰囲気で、青年部の活性化を図っている」(埼玉)、「全県をオンラインでつないだ2回に及ぶ統一行動で、読者66人、会員19人を増やした」(長崎)、「総会の開催県として、拡大目標達成にこだわってきた」(兵庫)などの発言が続きました。
歓迎行事で魅了
1日目の討論終了後は、歓迎行事として、兵庫・須磨民商会員でジャズシンガーの荒畑佐千子さんがベース、ピアノ、トランペットの3人の奏者と出演。「A列車で行こう」などスタンダード曲を中心に披露し、参加者を魅了しました。
会場内や会場周辺では、総会成功を下支えする要員として、地元・兵庫県内の民商会員・事務局員など約100人が活躍。受付、交通案内、会場の準備・撤収、担当し、速報「PEACEひょうGO4th」が3回発行され、会場で配布されました。
2日目の午前中は、23の分散会に分かれ、活発な討論や経験交流が繰り広げられました。総会に向けた組織拡大では、延べ128組織(5月26日時点)が表彰されました。
今後2年間の方針、決算・予算、2026年修正「民商・全商連運動の基本方向」、「私たちの要求」を満場一致で採択。新役員を代表し、退任する太田義郎会長に代わって就任した藤川隆広新会長があいさつしました(上の別項)。
退任する役員を代表して、太田義郎さんがあいさつ。服部守延新副会長の閉会あいさつの後、「ガンバロー」三唱で閉会しました。
藤川隆広新会長あいさつ
運動の原点を大切に

まさに戦争の渦中で開催された総会です。国連や世論を無視した異常な戦争に対し、国内からも、世界からも、大きな批判が寄せられています。
今回、会長を退任した太田さんは「何かあれば、原則に立ち戻る。基本的な活動を続ける」と強調してきました。それを大切に、悪政や政府を追い詰めていくことが必要です。
江戸時代、浅間山の噴火などによる生活苦や飢饉に対する不満が頂点に達し、民衆による”打ちこわし”が発生しました。いま、民商運動が直面している問題とも共通するものがあります。ただし、”打ちこわし”は短期間で終わりましたが、私たちには75年間たたかってきた蓄積や、「民商・全商連運動の基本方向」という”教科書”があります。「平和でこそ商売繁盛」を大きなスローガンにして、新役員とともに、あらゆる場面で頑張っていきます。
総会への常任理事会報告
今こそ民商の役割発揮を
全商連 事務局長 牧伸人
期待と信頼の声民商に寄せられ


全商連の牧伸人事務局長は冒頭、米国やイスラエルによるイラン侵略戦争に触れ「『平和でこそ商売繁盛』を信条とする民商・全商連の役割発揮が強く求められている」と提起しました。
こうした情勢の下で、民商・全商連の活動に「会内外から期待と信頼の声が寄せられている」と強調。「ホルムズ海峡封鎖等による影響緊急調査」と「戦争終結と危機打開の直接支援を求める政府・自治体要請」▽一貫して消費税減税・廃止を求めてきた運動▽大阪・関西万博の工事代金未払い解決を求める取り組み▽「社保倒産」阻止など営業と暮らしを守る運動―などを紹介しました。
中小業者を巡る情勢を①大企業優遇政治の弊害と中小業者の危機②反撃する国民・中小業者と危機打開の方向―の二つの角度から分析しました。
「戦争する国づくりと大企業を優遇する政治によって、日本社会の持続可能性が問われる危険な状況が広がっている」と指摘。これに抗して広がる広範な市民による「新しい平和のムーブメント」や「コロナ禍並みの直接支援を求める中小業者の声」を紹介し「生活と平和を守り、日本経済を再生させるには、安全・安心な暮らしと雇用を支える中小業者・中小企業、地域社会・経済の振興が欠かせない」と訴えました。
営業と生活を守り、発展・充実させる運動では①「経営力を強め合う取り組み」②「融資獲得・資金繰りの対策」③「公正な取引ルールの確立」④「自治体要請と地域経済再生」―の4課題を取り上げ、「要求実現を自治体に迫り、直接支援など経営環境を守り発展させる取り組みがますます重要になる局面」と指摘。「特別措置」が明らかにした組織前進の4条件(①要求に応える②相談先として民商を知らせる③助け合いを強めて担い手を広げる④地域を変える意欲を持って多数派をめざす)に触れ、民商・全商連運動の基本は要求運動と組織建設を一体に進めることだと強調しました。
国民本位の税金・社会保障を求める運動では①消費税減税・インボイス(適格請求書)廃止の実現②社会保障の改悪を阻止し、改善・拡充③応能負担制度を確立し、生存権の擁護④自主申告を実践し、納税者権利の擁護・発展―の四つの分野の運動を取り上げました。
インボイス廃止地方から声上げ
消費税減税・インボイス廃止の実現を迫る運動では「自民、維新の与党が衆院の多数を占めているだけに、”良識の府”と言われる参院と併せ、地方議会への働き掛けが重要だ」と提起。「今、消費税増税に道を開く給付付き税額控除が画策され、いったん譲歩させたOTC(市販)類似薬の”保険外し”が強行されようとしている。税制と社会保障を一体で捉えた運動の強化に力を合わせよう」と呼び掛けました。
平和と民主主義、個人の尊厳を守る運動では「中小業者は85年前の戦争で営業と生活を奪われ、戦後は過酷な重税を負わされた。この痛苦の体験を繰り返さない決意を込めて、民商・全商連は『平和でこそ商売繁盛』の信条を貫き、平和を脅かす策動とたたかってきた」と強調。①「大軍拡を許さず、平和外交の実現を」②「憲法改悪を阻止し、平和・民主主義の擁護・発展を」③「被爆の実相を学び広げ、核兵器全面禁止の実現を」④「政治革新と革新懇運動への貢献を」―と呼び掛けました。
この中で「中小業者を苦しめる政治と自民党が絶対視する安保条約は決して無縁ではない」と強調。「総会に提案された2026年修正『民商・全商連運動の基本方向』案には『中小業者の政治的な無関心や沈黙を克服し、一致できる目標での国民的な共同行動の前進に貢献していきます』という一文が加筆された。基本方向案にも学んで、『政治革新と革新懇運動への貢献』を進めよう」と訴えました。
民商・全商連の現勢について「この2年間、活動の原点に立ち返り、『集まって、話し合い、相談し、助け合う』取り組みに注力してきたが、中小業者の倒産・廃業が増え、民商・全商連の悔しい会勢後退も脱していない」との現状を明らかにしました。
活動に張り合い楽しく増やして

民商・全商連は第56回総会期に、全国事務局員交流会(2024年7月)や全国会長会議(25年5月)、拡大キャラバン(同)などに取り組みました。25年8月の第2回理事会で「組織の再建・強化に関する支援の考え方と特別措置」を打ち出し、これに基づく取り組みを広げてきました。
報告では、取り組みの前進面として、各地の県連や民商の実践を取り上げ、四つの角度から紹介しました。
一つは、多彩な学習・相談から役員・会員の担い手を広げ、持続拡大を追求してきたこと。二つは、拡大への意欲の格差を縮めるため、拡大リレー・駅伝、ポイント競争、オンラインで結ぶ統一行動が取り組まれたこと。三つは、助け合いの相談を強め、記帳・申告も教え合い、民商活動に張り合いを感じ、楽しく参加する役員・会員を増やしてきたこと。四つは、「特別措置」も活用して「あるべき民商」を学び合い、地域にどんな民商をつくるのか、イメージを湧かせてきたことです。
これらの前進面を踏まえ①「旺盛な会員対話で、持続拡大に挑戦」②「要求に応える相談活動と担い手づくり」③「商工新聞を活用し、旺盛な学習・教育」④「機関会議の充実と班・支部の強化」⑤「成長・発展へ『あるべき姿』を探求」―の5点を提起しました。
青年・婦人・共済の支援と総合力発揮について「民商の青年部、婦人部、共済会は、中小業者と民商をより豊かにつなぐ存在だ」と強調しました。
青年分野では「方針案は、民商運動でも、商売でも、身近な先輩として30代後半から50代前半の会員・役員を中心に、民商と青年部の『架け橋』となる青年対策部の確立を呼び掛けた。厳しい時だからこそ”民商は何でも話していい場所”と伝えよう」と提起。婦人分野では「全婦協は、10月の第36回総会を『婦人部員を増やして成功させよう』と決意を固めている。支援を通じて婦人部・県婦協を活気づけ、中小業者とその家族に、民商への信頼とつながりをより豊かに広げよう」と訴えました。共済会と県連共済会について「『目くばり、気くばり、心くばり』を行き渡らせて参加を強め、『未受診者ゼロ』をめざす共済運動の推進に力を合わせよう」と呼び掛けました。
方針案は「民商の自立した運営を基礎にしながら、県連への結集を通じて、全商連方針への団結を強めます」と強調しています。報告では、小規模民商の事務局員が孤立しないために、近隣民商を結んだオンライン会議などの支援を呼び掛けるとともに「民商の再編・統合が求められる際には、県連として合意形成を図るための尽力も求められる」と強調しました。
牧事務局長は最後に、26年修正「基本方向」案に言及。修正の目的は、02年の前回改定以降の情勢の変化を反映させることだと強調し「世界大戦への反省をないがしろにする国内外の反動は、これを許さない運動を緊急に求めている。積み上げてきた平和を守る世界の努力と教訓を語り広げることが大切だ」と指摘しました。
まとめ報告 生きる道開く奮闘を
全商連 事務局長 牧伸人

本総会は「大軍拡・改憲阻止!消費税減税、インボイス廃止!明日を開く民商・全商連運動の発展を」をスローガンに、8年ぶりの地方開催となりました。日本共産党書記局長、全労連議長、憲法が輝く兵庫県政をつくる会・代表幹事から、激励のあいさつをいただきました。その内容は、2026年修正「基本方向」案、総会方針案と響き合うものでした。とりわけ、ロシアに続きアメリカが戦争に踏み出し、私たち日本国民・中小業者の日常にも深刻な影響を及ぼす下で「平和でこそ商売繁盛」という民商・全商連の信条に共感と期待を寄せていただいたことを大変、心強く受け止めました。激励に応え、さらに奮闘しましょう。
拡大では、第56回総会時現勢の回復・突破と表彰基準達成をめざしてきました。全国の仲間の奮闘に、改めて敬意を表したいと思います。
全体会討論は、総会方針案に確信を与える豊かな内容でした。マルシェ、税金対策、記帳カフェ、リフォーム助成など、中小業者の要求に応えることから、さまざまな取り組みが多彩に発展していることが紹介されました。「いま、平和を守ること自体が要求になっている」「何でも話し合える信頼できる仲間づくりこそ要求」と深めることもできました。経営アンケートを班で集約して中小業者の実態と要求を明らかにし、2桁の会員が自治体要請に参加しているという実践報告は、中東危機打開をめざす当面の運動に、大いに参考になったのではないでしょうか。12人の発言に学び、「民商のあるべき姿の探求」に生かしていただきたいと思います。
分散会討論は、発言が準備されたこともあり、充実したものでした。ある分散会では「中小業者の切実な要求に向き合う上でも『クライアント』ではなく『チームメイト』として、会員同士がつながれる組織が求められる」と、民商の原点が深められました。世間の風潮もあり、自分にとっての「メリット」が問われることが増えていますが、何をメリットと感じるかは人それぞれ多彩なだけに「きめ細かく応えるには、会員同士がつながり、何でも話せる班・支部が欠かせないのではないか」という点も深められました。
本総会では、中小業者の経営継続と民商の存続が危ぶまれる「二つの危機」打開に全会で力を合わせる決意を固め合いました。総会方針は会員比2%の読者拡大と1%の会員拡大を毎月の目標として、「減らさず増やす持続拡大」に取り組むことを提起しています。「運動しつつ学び、学びつつ運動する」伝統を発揮し、第57回総会方針の具体化と併せ、目標に見合う行動・実践に直ちに踏み出しましょう。
総会方針案、私たちの要求案、修正「基本方向」案は、3月の第3回理事会で練り上げて提案されました。発表以来、民商や県連で読み合わせや討議が行われ、深める努力が重ねられてきました。厳しい時代だからこそ、みんなが明るく楽しく取り組める創意工夫をして、全国が心一つに大きく団結していく指針としていきたいと思います。
第57回総会の成功を確信に、中小業者の生きる道を開く奮闘を、新たに開始しようではありませんか。

03-3987-4391






