マスコミでも「大義なき」「党利党略」と批判された衆議院の解散・総選挙が8日投開票で実施されます。高市早苗首相は、物価高騰にあえぐ中小業者の営業や国民の生活を支援することが最重要にもかかわらず、通常国会冒頭での解散を強行。自民党や中道改革連合(立憲、公明)が「消費税の食料品ゼロ%」を打ち出すなど、ほぼ全ての政党が消費税の減税や廃止に触れざるを得なくなった新たな局面も生まれています。全国商工団体連合会(全商連)と民主商工会(民商)が一貫して求めてきた消費税の一律5%減税やインボイス(適格請求書)廃止を正面から訴え続けてきた政党が伸びてこそ、私たちの願いを実現できます。物価高対策や社会保障など総選挙の争点を解説します。
争点①消費税減税など インボイスも廃止
一律5%こそ
全野党が消費税の減税・廃止を公約に掲げた昨年の参院選に続き、自民党までもが総選挙公約で「飲食料品は、2年間に限り消費税の対象としない」(「令和8年政策パンフレット」)と打ち出しました。「物価高対策として最も有効な消費税減税を」との中小業者・国民の切実な声が政治を動かし始めています。今度の衆院選は、1989年4月の消費税導入以来、一度もなかった消費税減税を実現させる大チャンスです。
導入以来36年間で、消費税収の累計は571兆円。一方、同じ期間の所得税と法人税の減収額の累計は606兆円に達しました。消費者が物価の一部として支払い、事業者が納めた消費税は、社会保障に使われたのではなく、大企業と富裕層減税の穴埋めに消えた計算です。輸出大企業に莫大な恩恵をもたらす消費税の輸出還付金制度によって、トヨタ自動車や本田技研工業、日産自動車など30社に、消費税収の約1割に当たる2兆7千億円余りが還付(2024年度)されています。これらの大企業は、消費税導入後の36年間、同税の納税額はずっと0円です。
その一方、中小業者やフリーランスは、赤字でも納税を求められ、消費税の滞納額は全税目の53%(5298億円、24年度)に達する異常さです。
2023年10月に導入が強行された消費税のインボイス制度によって、中小業者・フリーランスには新たな増税と事務負担が発生。税負担の押し付け合いが生じ、取引関係も破壊されました。廃業を選択せざるを得ない業者やフリーランスも多く生まれています。高市政権は、中小業者・フリーランスが求めるインボイス廃止に背を向け、26年度税制「改正」で、同制度の負担軽減措置である「2割特例」を「3割特例」へ、「8割控除」を「7割控除」へと縮小・改悪することを、もくろんでいます。
高市政権と中道改革連合が共に、「食料品を消費税の対象としない」(自民)、「食料品消費税ゼロ」(中道)を打ち出しています。物価高騰に苦しむ国民の願いに応える第一歩です。
しかし、その減税規模は約5兆円に過ぎません。食料品への消費税率ゼロ%の導入で、複数税率化が一層進み、インボイス制度の廃止は遠のきます。飲食店では、かえって消費税負担が増えます。物価引き下げ効果も期待できません。
物価高対策として最も有効なのは、消費税の一律減税です。5%に一律減税すれば、減税規模は約15兆円。消費税を廃止すれば、減税規模は約31兆円に上ります。「複数税率」を導入の口実としたインボイスも廃止できます。
衆院選では、与党の自民、維新両党が26年度税制「改正」大綱で打ち出した、高市政権の大軍拡予算を支える防衛特別所得税の創設や、青色申告特別控除額をe―Tax利用者と申告用紙の活用者とで差をつける改悪などにも厳しい審判を下しましょう。

争点②物価高騰対策 「賃上げ」への補助を
直接支援策で
「3年前と比べると仕入れ値が5~8割も上がって営業不振に」(千葉・小売り)、「物価高騰のなか、働く人の賃金引き上げは小規模事業者にとって大変厳しい。公的支援が必要だ」(静岡・廃棄物処理、修理、整備)―。全商連付属・中小商工業研究所の「2025年下期(9月)営業動向調査」の「ひとこと欄」には、中小業者の切実な声があふれています。多くの中小業者が、物価上昇に対応するため、価格転嫁や経費削減に努力してきましたが、物価高は既に5年を超え、いまだに終わりが見えません。個々の企業努力による許容範囲を超え、利益を圧迫し続けています(図)。
国は、中小業者への物価高対策として①影響を受ける全ての中小業者を対象にした直接支援②最賃引き上げなどによる賃上げ補助と、社会保険料の事業主負担の軽減③既往債務の凍結と無利子・無担保・長期据え置き融資④家賃やリース料などの固定費補助⑤物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金の増額による自治体施策の推進―などを行い、雇用の7割を支える中小業者の経営を下支えすべきです。

争点③社会保障 国保逃れせず軽減を
公費投入こそ
中小業者やフリーランスが加入する国保料・税の重い負担が、暮らしや経営を圧迫しています。国は、各都道府県内での「保険料水準の統一化」を掲げ、2035年までの完全統一をめざしています。既に統一化された大阪府や奈良県では、国保料が大幅に引き上げられ、自治体独自の減免制度が廃止されました。
昨年12月、日本維新の会に所属する地方議員らによる「国保逃れ」が発覚しました。本来、応能負担の原則に基づき国保制度に加入すべき地方議員が、維新の会元秘書が代表を務める一般社団法人「栄響連盟」の理事に就き、月1万7千円の報酬で、社会保険に加入。議員報酬で加入した国保料よりも著しく低額な社会保険料しか支払っていませんでした。大阪市で試算した場合、大阪市議の報酬は年1056万円と期末手当などで、国保料109万円が社会保険料4万1千円となり、100万円以上、浮くことに。維新の会の議員約800人のうち、半数近くが社会保険に加入し、「国保逃れ」をしていた可能性があり組織的で脱法的な行為に、批判の声が高まっています。
国保料を引き下げるには、「国保逃れ」のような脱法的な方法ではなく、全国知事会なども主張しているように国保財政への公費1兆円の投入こそ求められます。社会保障費の増大を目の敵にして、OTC(市販薬)類似薬の負担増などを国民に押し付けるのではなく、日本経済の重要な部分を占める社会保障を拡充すべきです。

争点④平和 軍拡やめ景気対策に
平和貫く党は
高市首相は、米国防総省が非公式に打診した軍事費を国内総生産(GDP)比の「3.5%」に引き上げる大軍拡を念頭に、トランプ米大統領に”防衛費増額”を伝達しました。「専守防衛」を超える敵基地攻撃能力を保有する長射程ミサイル配備や、武器輸出を全面的に解禁し、他国への武器の輸出や共同開発など、日本を「死の商人」国家に変貌させようとしています。製造業をはじめ、幅広い中小業者が戦争加害に加担させられる恐れも否定できません。
一方、野党も中道改革連合(立憲、公明)や国民民主党などが敵基地攻撃能力の保有、集団的自衛権行使を容認。憲法「改正」でも、9条や緊急事態条項改正などで自・維連立政権と立場を同じくしています。れいわ新選組、日本共産党、社民党などは「戦争する国づくり」に反対。共産党は米国言いなりの政治を改め、憲法9条を中心に据えた平和外交の推進を主張しています。


争点⑤政治とカネ 統一協会との癒着正せ
疑惑隠し解散

「追及を避けるための疑惑隠し解散だ!」―。そんな声も高まっています。
霊感商法などの反社会的活動や、政治家への影響力行使に暗躍してきた統一協会(現・世界平和統一家庭連合)との癒着で、高市政権は”歴代政権最悪”とも言われています。最近明らかになった「TM特別報告」(TM〈トゥルー・マザー〉=韓鶴子総裁への協会幹部の報告)でも、安倍晋三元首相や、高市首相の側近幹部らと同協会が深く関係してきたことが暴露されました。関係する自民党の現職国会議員は100人以上とも。
自民党の各派閥は長期にわたり、政治資金パーティーによる収入を政治資金収支報告書に記載せず、「裏金」として内輪で分配してきました。これまでも、閣僚の交代や派閥の解散に追い込まれる事態に。昨年の参院選で自公など与党(当時)が過半数割れに追い込まれた一つの原因にもなりました。ところが今回の衆院選では、裏金議員・候補者を軒並み公認するありさま。事実上の賄賂である企業・団体献金が温存されてきたことも、金権腐敗の原因です。
争点⑥人権・ジェンダー 56条廃止の議員こそ
平等目指して
国際的な男女格差を示すジェンダーギャップ指数で日本は昨年、調査対象の148カ国中118位。中でも、政治分野は125位と低迷する中、日本初の女性首相が誕生し、高い内閣支持率を得ています。
しかし、高市内閣は、2024年に国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)から勧告された「家族従業者の働き分を認めない所得税法第56条の改正」「(国保に)傷病手当金・出産手当金」「選択的夫婦別姓制度の導入」などに否定的な立場です。世論と乖離した家父長制への回帰を強めています。
昨年12月に示された第6次男女共同参画基本計画の答申案には、56条改正に向けた記載はなく、家制度を堅持する「旧姓使用の法制化の検討」が突如、明記されました。旧姓使用の拡大を指示した高市首相の意向に、内閣府が忖度したものです。有識者らから批判が出され、答申は不提出となりました。
国際基準のジェンダー平等を実現するには、CEDAW勧告を速やかに実施するとともに、差別と分断をあおる極右・排外主義の政治に反対し、誰もが人間らしく、尊厳を持って生きられる社会への転換が求められます。


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