
全国商工団体連合会(全商連)は10月22日、「第2回・自主申告サポーター学校」の4回目をオンラインで開きました。関本俊子税理士が「消費税・インボイス対策の留意点と2025年の主な変更点」と題して講義。全国476カ所で視聴されました。
政府・自公与党(当時)が2025年度税制「改正」の目玉に、「物価高対策」や「働き控え防止策」として、所得税の「103万円の壁」の引き上げを打ち出しました。所得税の基礎控除や給与所得控除額が部分的に引き上げられ、特定親族特別控除が新設されました。この「改正」は12月1日に施行され、25年分以降の所得税に適用されるため、年末調整から大きな変更を強いられます。
関本税理士は、所得税の①基礎控除の見直し②特定親族特別控除の創設③扶養親族等の所得要件の見直し④給与所得控除の変更―などについて、全商連の「自主計算パンフレット2026」に掲載予定の図表を使って解説。「103万円の壁」見直しを巡る自民・公明と国民民主との駆け引きなどに触れ「政府は『大学生などが働き控えをせず、手取りを増やせるようにする』と言うが、バイトで学費を稼がなければいけない教育の貧困こそ問題だ」と指摘しました。
関本税理士は、26年9月末で終了・縮小するインボイスの「2割特例」「8割控除」について「継続を求める運動が大事になっている」と強調しました。
インボイス対策として「24年が課税事業者であっても、23年(基準期間)の課税売上高が1千万円以下であれば、2割特例が使えるので、注意が必要」と強調。特例廃止に伴う簡易課税の選択について「23年10月1日~29年9月30日までの日の属する課税期間中に、インボイス登録をする場合、その登録日の属する課税期間中に届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税を適用できる」と注意を促しました。
参加者の「住民税の基礎控除などは変更されたのか」などの質問に、関本税理士が丁寧に答えました。
「インボイスは複雑すぎる。結論として廃止すべきだ」(福島・白河、飲食)、「複雑化する制度に対抗するためには、学習と自主記帳・自主計算・自主申告で受けて立つしかない」(静岡・小笠掛川、野菜生産)、「これからの記帳の大切さを感じた。特例廃止までタイムリミットがあり、うかうかしていられない。運動の大切さを感じた」(佐賀、飲食)などの感想が寄せられました。
調査受ける心構えを 静岡・浜松民商 学校受け対策会議
全7回の予定で開催されている全商連の「第2回・自主申告サポーター学校」。「自主記帳・自主計算・自主申告の担い手を増やそう」との呼び掛けに応え、各地の民主商工会(民商)は、民商事務所や班・支部のたまり場などに役員や会員、事務局員が集まり、みんなで視聴する取り組みが広がっています。

静岡・浜松民商では集団で学校を視聴しています。1回目の講義(10月1日)は、8人が民商事務所で視聴。オンラインで視聴した1人を含めて計9人が参加しました。参加者は、税制の本来の在り方や強権化する徴収の実態を学び、自主申告の大切さや、仲間がいる民商の良さを再確認しました。
参加したある会員は講義後、「自主申告をサポートするための勉強で、ハードルは高いが、今後も勉強していきたい」と意気込みを語りました。
2回目(同8日)は、11人が参加(民商事務所で9人、オンラインで2人)。
集団視聴には、役員や会員をはじめ、税務調査の通知があった会員2人も参ちか加。立命館大学の望月爾教授の講演「納税者の権利と税務調査と徴収対策」と、沖縄県連の税務調査対策の実践報告を聞きました。
参加者は①民商での経験の蓄積が税務調査対策として役立つ②納税者の権利を学ぶことで税務調査の現場できちんと主張ができる③違法・不当な税務調査でも、たたかわないと改善されない―ことなどを学びました。
サポーター学校終了後、すぐさま2件の税務調査対策会議を行いました。学校で学んだことを交流し、自主計算パンフの「事前通知の11項目」などを再確認。税務調査への向き合い方を意思統一しました。
3回目(同15日)、4回目(同22日)には役員や会員、事務局員が、それぞれ2人(事務所1人、オンライン1人)、4人(事務所2人、オンライン2人)参加しました。

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