消費税減税・インボイス廃止 地方議会で意見書相次ぐ|全国商工新聞

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自公を追い詰め要求実現を

 消費税の減税とインボイス(適格請求書)制度の廃止が、参院選(20日投開票)の大きな争点に浮上してきた6~7月、20を超す地方議会で「消費税減税を求める」意見書や「インボイス制度の廃止を求める」意見書が可決されました(図、11日時点、本紙調べ)。各地の民主商工会(民商)などが、会派回りや陳情・請願などを行い、意見書可決に奮闘しました。

岩手県奥州市 二つの請願が採択に 
胆江民商が趣旨説明「市民の声を国政に」

岩手県奥州市での意見書採択を喜ぶ胆江民商の会員ら

 岩手県奥州市議会は6月定例会の最終日となった2日、本会議で「消費税インボイス制度の中止を求める意見書採択について」と「消費税率5%以下への引下げを求める意見書採択について」を求める二つの請願を、いずれも賛成多数で採択しました。二つの請願が採択されたのは、北上市に続き県内で2番目です。
 「インボイス制度の中止」を求める請願は、胆江民商も加わる国民大運動実行委員会が3月の定例会に提出。継続審議となり、5月20日の総務常任委員会で採択されていました。

小規模ほど負担

 本会議での審議では、「インボイスの登録は、事業者が決めること。登録していない事業者の排除も禁止されており、制度は適切だ」「消費税免税事業者への”益税”問題の解決のために必要」など、請願への反対意見も出された一方、「商工会議所の調査でも、2~3割の事業者が負担を感じている」「小規模ほど負担が大きい」などの賛同の声が上がり、採決の結果、賛成多数で採択されました。
 「消費税率5%以下への減税」を求める請願は、国民大運動実行委員会が6月定例会に提出したもの。6月23日に行われた総務常任委員会の審議では、「消費税は社会保障の財源となっており、税率引き下げは将来の福祉切り捨てにつながる」などの意見も出されたほか、「消費税率の問題は、地方議会に決定権がない。この請願は地方議会にそぐわない」などと憲法第16条で保障された請願権を無視する暴言も飛び出しました。

景気刺激策にも

 議会で請願について説明した民商の永山哲事務局長は「草の根から声を上げることが大事だ。市議会として、市民の声を国政に届けてほしい」と反論。議員からも「草の根の声を取り上げるのが議会の役割」との意見が上がり、賛成多数で採択されました。
 本会議の審議では、「景気刺激策として消費税減税が最も有効」との意見が出され、賛成多数で採択されました。
 二つの請願が採択され、本会議では「消費税インボイス制度の中止を求める意見書」「消費税率5%以下への引下げを求める意見書」が可決されました。奥州市での中小業者の声が、石破茂首相や財務省へ送付されます。

高知県土佐清水市 「暮らしと営業守れ」
中村民商 共闘団体とも連携し

高知県土佐清水市役所前で意見書採択を喜ぶ中村民商の会員ら

 高知・中村民商は、各市町村の6月議会での「消費税減税、インボイス制度廃止でくらしと営業を守る意見書」の可決をめざし、民商や地元住民(会員・商工新聞読者ら)、県商工団体連合会(県連)、共闘団体の連名で「消費税減税、インボイス制度廃止でくらしと営業を守る意見書採択を求める陳情書」を提出。賛同者を広げようと議員訪問などを行ってきました。その結果、土佐清水市議会では、6月25日の本会議で同
 意見書が可決されました。意見書の可決を振り返り、民商会員の前田晃・土佐清水市議(共産)は「2023年3月議会で、『消費税インボイス制度の中止を求める意見書』を可決させたことが、大きな力になった」と話します。

市議と相談して

 「中止を求める意見書」が可決された当時、民商会員らが「インボイスが実施されると、事業者が大変困る」などと、班会などで前田市議に切々と訴えました。これを受け、前田市議が同意見書を議員提案し、賛成多数で採択された経緯があります。
 今回、可決された意見書は、前田市議と民商が相談し、商工新聞読者の坂下文宏市議(共産)が議員提案として提出しました。民商の橋崎律子事務局長が、インボイス制度を巡る経過と、今の状況を説明しました。これを受け、坂下市議が市議会に意見書(案)を提案し、本会議で賛成多数で原案通り可決されました。
 意見書の可決後、坂下市議は「消費税は『減税でなく廃止』という議員や、『前回の採択ではインボイス中止の意見書に反対したが、内容をよく読んだら、インボイスは廃止が良いので意見書に賛成する』という議員もいた」と振り返りました。
 橋崎事務局長は「議員の間でも、消費税減税や廃止、インボイス制度廃止へ、理解が深まってきている」と話します。民商の黒潮班の会員が議員訪問した際、「賛成してもいいよ」と思わぬ反応もありました。

つながりを糧に

 宿毛市では、市議会産業厚生常任委員会で、橋崎事務局長と、宿毛生活と健康を守る会の今村充会長が、1時間にわたり陳情について意見陳述しました。同委員会では賛否同数となり、委員長採決により不採択となりました。
 四万十市議会では、民商副会長の谷田道子市議(共産)が「物価高騰の緊急対策として消費税の減税を求める」意見書(案)を議員提案。本会議で賛成8、反対9で否決されましたが、賛否が拮抗しました。
 民商の船口千代松会長=左官=は「共闘団体や個人などと一緒に、議会への陳情運動ができた。今回得た”つながり”を糧に、消費税減税、インボイス廃止に向けて頑張りたい」と話しています。

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